Perfume歴史的考察

チャネル人気記事ランキングで久しぶりにテクノポップの記事(「Perfume~サマソニの快挙!!」)が、1位になりました。じわじわとですが、来ていますね、Perfume。で、調子に乗って、Perfumeシリーズ第4弾です。今回の記事を読んで頂ければ、テクノ革命以降、Perfumeがcapsuleと連動しているのが分かります。

萌えテクノ・アイドル?~Perfume
Perfume~サマソニの快挙!!
Perfumeで盛り上がるニコニコ動画

先ず、ビートルズ、YMO、ダフト・パンク、capsuleなどと同じく、Perfumeも歴史的変化を現在まで遂げています。ビートルズなら、マージービートの初期、YMOならフュージョン・テクノの初期とか・・・Perfumeの変遷を見てみると・・・

普通のローカルアイドル~模索期(2002年)


彼氏募集中
OMAJINAI☆ぺろり


「ぱふゅ~む」と表記され、まだ中田ヤスタカを起用する前の時期です。広島で限定でリリースしたのが、『OMAJINAI☆ぺろり』(2002年)と『彼氏募集中』(2002年)。当然、廃盤でヤフオクとかに出ると値段が吊り上ります。両曲ともパッパラー河合プロデュースで、テクノ路線ではなく、ちょっとだけ力を入れてアイドル仕事したというレベル。

「OMAJINAI☆ぺろり」は、アイドルにありがちな自己紹介ソング。あえて言えば、「彼氏募集中」は、演歌調のイントロから始まるプッチモニの「ちょこっとLOVE」っぽいスカ歌謡。ハロプロ的なものを意識していたのでしょうかね? アイドルとしての定石を踏みつつも、Perfumeとしての個性はまだ見えてきません。この路線で行けば、そのまま消滅する危惧感さえあります。

なお、「彼氏募集中」は、『ファンサーヴィス[bitter]』収録の「Perfumeメドレー」に収録されています。この時期からPerfumeを知っている人は、よっぽどの筋金入りのアイドルオタクか広島県人です。

この模索期を経て、ついにPerfumeにテクノ革命が起こるのです。

日常的テクノアイドル~黎明期(2003年~2004年)


ビタミンドロップ
モノクロームエフェクト
スウィートドーナッツ


まだインディーズ(BEE-HIVE)ですが、中田ヤスタカ+木の子を起用して、テクノアイドル化します。『スウィートドーナッツ』(2003年)、『モノクロームエフェクト』(2004年)、『ビタミンドロップ』(2004年)という3枚のシングルをゆったりとしたスピードでリリースします。中田ヤスタカのcapsuleもまだ今ほど認知度がなかった『CUTIE CINEMA REPLAY』(2003年)~『S.F. sound furniture』(2004年)ぐらいと被ります。

僕がPerfumeを知ったのは、『スウィートドーナッツ』。というか、カップリングされていたジューシィ・フルーツのカヴァー「ジェニーはご機嫌ななめ」です。この時期の傾向としてあるのが、食べ物を題材とした曲です。「スウィートドーナッツ」「おいしいレシピ」(『モノクロームエフェクト』収録)、食べ物と言えるか微妙ですが、「ビタミンドロップ」・・・これら全ての作詞は木の子です。

木の子って誰だろうと思っていたのですが、capsuleデビュー前に中田ヤスタカは木の子といっしょにSYNC⇔SYNCというユニットとして活動していたという事を、最近ネットで知りました。これらだけではないかも知れませんが、「病んでる」「冷蔵庫に納豆」という2つの曲をこのユニットで作っています。「冷蔵庫に納豆」・・・これも食べ物ソングですね! この「冷蔵庫に納豆」は、ただ納豆を歌った歌ではありません。食べ物を比喩に人間の心理を表現しています。Perfumeの歌詞の多くが、アイドルものとしては高度な暗号的表現となっている事とも繋がるでしょう。

capsule自体はほとんど中田ヤスタカによる作詞作曲ですが、capsuleにも「プラスチックガール」(タイトルからして意外ですが)、「アイスクリーム」「cosmic tone cooking」「ミルクティーの時間」「do do pi do」と食べ物ソングが結構あります。「ビタミンドロップ」が食べ物というよりも薬の歌だとすれば、capsuleの「music controller」(恋の病に利くカプセル型の薬がテーマ)と繋がっている見ることも出来ます。どちらにしても、一つの世界感を共有していると思えます。

PVの方も、「モノクロームエフェクト」から力が入ってきます。80年代に見たようなマリオネットのような振りから始まります。Perfumeの振り付けの多くは、MIKIKO先生らしいですが、どの曲から始めたのか気になるところです。

PVのファッションチェックもしましょう。この時期のPerfume、『ビタミンドロップ』のジャケにもあるように、明らかにcapsuleの影響が見られます。意図的にカプセルを見せているとしか思えない。capsuleがピチカート・ファイヴ的だった頃、つまり「キャンディーキューティー」とか「idol fancy」のこしじまとしこのようなレトロモード系ワンピースが主体になっています。

革命は進行します。スターボーもたどり着けなかった前人未到の世界へと。

近未来テクノアイドル~発展期(2005年~2006年)


エレクトロ・ワールド
コンピューターシティ
リニアモーターガール


メジャー移籍(徳間ジャパン)も果たし、攻めの姿勢が感じられるPerfumeです。通称、近未来テクノ三部作と呼ばれる『リニアモーターガール』(2005年)、『コンピューターシティ』(2006年) 、『エレクトロ・ワールド』(2006年)の3枚のシングルです。この近未来コンセプトは、capsuleでは『S.F. sound furniture (2004年)、『NEXUS-2060』(2005年)あたりで顕著です。少し薄れつつありますが、『L.D.K. Lounge Designers Killer』(2005年)にもその傾向は見られます。つまり、capsuleと少し遅れる感じで、Perfumeへ近未来が導入されているんですね。

木の子が作詞を手がけたのは、『コンピューターシティ』のカップリング「Perfume」(Perfumeのテーマソングですね)までですが、この近未来のコンセプトがどのように始まったかは、ぜひご本人に聞いてみたいところです。Perfumeには、「スーパージェットシューズ」(Peachyのカヴァー)、「イミテーションワールド」「カウンターアトラクション」というライヴだけで披露した未CD化の曲がありますが、とてもシュールな歌詞の「カウンターアトラクション」も木の子による作詞である事を付け加えておきましょう。

この3部作はPVも含めて、圧倒的な統一の美学があります。楽曲、振り付け、ファッション、PVのCG全てに対する執拗なこだわりで、3部作は一つの近未来物語として成り立つのです。

Perfumeは、アイドルとしては珍しくテクノポップというジャンル用語を自分たちの音楽性を表すために使ってきました。この3部作は、コンセプト的にも近未来=テクノポップとしての集大成と言えましょう。実際、彼女たちの発言からすると、メジャーデビューまでテクノポップをやっていることが、メンバーたちのコンプレックスになっていたようです。テクノポップとは、YMO世代の用語ですから、ティーンエイジャーの彼女たちにとっては、私たちはYMOの孫娘ですと言っているようなもんですからね。まぁ、だからと言って、フューチャーポップとかネオ渋谷系とか名乗っても違和感いっぱいですけどね。

乙女エレクトロ・アイドル~成長期(2006年~現在)

中田ヤスタカがcapsuleのアルバムでやってきているのが、次の変化を暗示する作品を収録する事です。ラウンジハウス的な『L.D.K Lounge Designers Killer』に収録された「グライダー」とかは、次作でのエレクトロを予見しています。

Perfume~Complete Best~
Perfumeのデビュー・アルバム『Perfume~Complete Best~』は、2006年8月2日にリリースされたのにも関わらず、昨今のPerfume人気でオリコン100位に再チャートインする、J-POP枠としては異例のロングセラーとなっています。このアルバムで唯一、新録音されたのが「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」。capsuleの『FRUITS CLiPPER』(2006年)ほどエレクトロではありませんが、酒井景都とのCOLTEMONIKHAの『COLTEMONIKHA』(2006年)の「そらとぶひかり」や「パーティーキャロネイド」で見られた乙女エレクトロと連動しています。

ファンサーヴィス[sweet]
予想通り、ネット先行配信の「Twinkle Snow Powdery Snow」では、PV的には近未来的コンセプトは多少残しながらも乙女エレクトロ路線。いい意味で垢抜けたと言いましょうか。「Twinkle・・・」も収録された『ファンサーヴィス[sweet]』(2007年)では、「チョコレイト・ディスコ」という食べ物乙女エレクトロというPerfumeワールドが爆発します。ディスコという流れを知っている人間としては、歌詞ではないですが、計算された楽曲であり、PVです。どれだけの人が理解してくれるかは自信なしですが。

なお、「remix」誌の懸賞で7インチシングル『チョコレイト・ディスコ -extra remix-』が100名に贈られました。capsuleはリミックス集が10月に出ますが、Perfumeも出して欲しいですね。

ポリリズム(初回限定盤)(DVD付)
さて、最新作『ポリリズム』はどうでしょう? 大きな流れとしては、乙女エレクトロと言えるます。ダフト・パンクやアンダーワールドっぽいという指摘もありますが、それらを完全に昇華し、「ポリリズム」というタイトルでアイドルの曲が出来上がってしまうとこれは日本音楽界における革命です。いや、言い過ぎなのは分かっていますが、それほどすばらしく、これからこの曲を超える試練を自らに与えた中田ヤスタカに敬意を表します。

これからも楽しみです、Perfume。次は僕の予想では飛躍期となるはずなんですが・・・
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