裏YMOカヴァー

YMOのカヴァー曲やYMOがカヴァーした曲などを現在まで特集してきましたが、今回は裏YMOカヴァーをハイライトします。裏YMOカヴァーとは、YMOのメンバーが他のアーティストのために作った曲をカヴァーしたものです。80年代、テクノポップと並んで、テクノ歌謡というものが生まれましたが、YMOのメンバーの手がけたものにはテクノ歌謡と分類されるものも多いわけです。

細野晴臣トリビュート・アルバム

ちょうど時期的にもどんぴしゃで、4月25日に『細野晴臣トリビュート・アルバム- Tribute to Haruomi Hosono -』がリリースされます。リリース元は、教授が中心となってavex傘下に設立したビジネス50、アート50の理想のバランスを目指した新レーベル、commmons("m"が三つ並んでいますが、スペルミスではありません)です。

細野本人も含めYMOのメンバーも参加していますが、新旧取り混ぜた前代未聞の豪華な布陣です。旧という以上に超大御所と言うべき人たちも居ますね。YMO、はっぴいえんど、細野ソロ以外にも、ここで言う裏YMOカヴァーもあります。こうしてカヴァーを聴いてみると、時代もジャンルも多様性に富んでいますが、細野ならではのダンディズムとエキゾチズムの遺伝子を感じます。また、今回の企画一度では収まりきらなかったようで、Part IIも予定されているみたいです。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
細野晴臣トリビュート・アルバム
Disc 1:
01.細野晴臣:ろっかばいまいべいびい- Piano Demo ver.-
02.ヴァン・ダイク・パークス:イエロー・マジック・カーニバル
03.坂本龍一 + 嶺川貴子:風の谷のナウシカ
04.コシミハル:わがままな片想い
05.リトル・クリーチャーズ:ハイスクール・ララバイ
06.東京スカパラダイスオーケストラ:アブソリュート・エゴ・ダンス
07.高野寛 + 原田郁子:終りの季節
08.miroque:Omukae De Gonsu
09.テイ・トウワ + ナチュラル・カラミティ:ハニー・ムーン
10.□□□(クチロロ):北京ダック
11.ワールドスタンダード + 小池光子:三時の子守唄

Disc 2:
01.ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ):恋は桃色
02.高橋幸宏:スポーツマン
03.畠山美由紀 + 林夕紀子 + Bophana:ミッドナイト・トレイン
04.コーネリアス + 坂本龍一:Turn Turn
05.といぼっくす:銀河鉄道の夜
06.ウッドストック・ヴェッツ(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー & ガース・ハドソン他):蝶々さん
07.ヴァガボンド + 片寄明人:ブラック・ピーナッツ
08.たまきあや + 谷口崇 + ヤマサキテツヤ:風をあつめて
09.サケロックオールスターズ + 寺尾紗穂:日本の人
10.ジム・オルーク + カヒミ・カリィ:風来坊
11.細野晴臣:Humming Blues -Demo ver.-


風の谷のナウ~シカ♪

風の谷のナウシカ
まずは、ナウシカガールこと安田成美が歌った「風の谷のナウシカ」のカヴァー。「ナウシカガール・コンテスト」で優勝しデビューした安田成美は、宮崎駿の映画本編で使われない映画の主題歌を歌うという離れ業をやってくれます。もちろん、ナウシカの衣装で。それはイメージシンボルソングと名づけられました(苦しー)。それは、まぁ彼女の音程破壊力によるものかと思いますが、この歌は何度も聴いているとだんだん不安定さが快感に変わってきます。安田成美は歌手の域を超えて、ひとつのジャンルを形成したとも言えましょう!

CHAT CHAT
今回の「ナウシカ」カヴァーは、教授といっしょにやっていますが(夫婦で別々に教授とコラボとは粋です)、嶺川貴子はアルバム『CHAT CHAT』(1995年)で単独カヴァーをしています。

嶺川は、、フリッパーズ・ギター(彼女は現在、小山田圭吾夫人)がプロデュースしたオムニバス『Fab Gear』でFancy Face Groovy Name(カヒミ・カリィとのユニット)としてデビューし、その後、L⇔Rに参加し、脱退後(確かに相容れない気がする)のデビュー・ソロ作品としてこのカヴァー中心のアルバムを出しました。嶺川ヴァージョンは、音程が安定したちょいとフレンチ・ウィスパーなテクノ歌謡。彼女のカヴァー選曲センスの良さが伺えるアルバムでもあります(もう一つ裏YMOカヴァーがありますが、こちらは続編で)。今回、教授とのコラボ・ヴァージョンは、和みのボッサしています。

レコードではありませんが、「歌ドキッ!」というテレビ東京の番組のアニメソング特集で矢口真里が「ナウシカ」を歌っています。結構、普通に歌い上げている。もっと、成美ちゃんのように歌って欲しかった。

わがままな片想い≫カナリア

天国のキッス
コシミハルの「わがままな片想い」は、松田聖子の『天国のキッス』にカップリングされていた曲ですね。「天国のキッス」は「君に、胸キュン。」の一位を阻んだヒット曲ですが、カップリングの方が断然好きです。

EN BOX Volume 21-Bonus Disc Female
でも、もっともっともっと(3回ぐらいで許しておこう)好きなのは、小池玉緒の「カナリア」。タイトルと歌詞は変更されましたが、これが「わがままな片想い」の原曲なんです。「わがまま」のアレンジがアイドル歌謡的に中和されているのに比べ、こちらは完全なるテクノポップ。カナリアに自分を置き換えた可愛すぎる歌詞(作詞は小池自身)を舌足らずで歌う小池玉緒を聴いて、心が動かない男は男ではありません。

不幸な事に、この曲は当時正式リリースをされませんでした。『EN BOX Volume 2』の『Bonus Disc Female』(ジャケが女子トイレっぽいと思うのは僕だけでしょうか?)に小池玉緒の7曲が収録されていますが、その中に含まれています。でも、このBOXも廃盤です。小池玉緒だけで一枚のCDが出ることを切に願います。

コシミハルのカヴァーに戻りましょう。今回のカヴァー曲の中で一番のお気に入り。歌詞は松田聖子ヴァージョンですが、ENレーベルのテイストもたっぷりのフレンチ・テクノポップ・ヴァージョンであります。

ハイスクール・ララバイ

ハイスクール・ララバイ(ジャケ違い)
ハイスクール・ララバイ
リトル・クリーチャーズ(バンド名はTalking Headsのアルバム・タイトル由来でしょうか)は、テクノ歌謡史上最高の売り上げ(1,500,000枚)を誇ったイモ欽トリオの「ハイスクール・ララバイ」(1981年)をオリジナルとは対照的なスロー&ジャジーなカヴァーに料理しています。一般的には左のジャケが知られていますが、右のジャケ違いもあります。2003年のTV番組「決定!日本のベスト20」で、イモ欽トリオは、再結成ライヴ(?)をしています。また、「ナウシカ」カヴァーでも紹介したTV番組「歌ドキッ!」では、メロン記念日をバックに長江健二が「ハイスクール」を歌っています。

テクニコフ
その認知度のわりに意外とカヴァーされていなかった「ハイスクール」ですが、月刊プロボーラーがアルバム『テクニコフ』(2005年)で「Blue Monday」を思わせるエレクトロ風カヴァーをしています。正に青春テクノを提唱する月刊プロボーラーに相応しい選曲です。

月刊プロボーラー~青春テクノ

ミッドナイト・トレイン

ベスト・イン・スリー・ディグリーズ I
畠山美由紀(元Port of Notesのヴォーカリスト)+ 林夕紀子(元choro azulのヴォーカリスト)+ Bophana(山田里香)という豪華なる歌姫三姉妹による「ミッドナイト・トレイン」のオリジナルは、70年代ソウルのスリー・ディグリーズ。松本隆=細野晴臣によるこの曲は、シングル・ヒットにもなりましたが、彼女たちの日本語、フランス語、スペイン語曲を含む独自編集セカンド・アルバム『世界の恋人』(1975年)に収録されています。同アルバム収録の安井かずみ=筒美京平による「にがい涙」も、日本でヒットしました。

今回は、『細野晴臣トリビュート・アルバム』からの裏YMOカヴァーを探ってみましたが、続編にてさらに裏YMOカヴァーを掘り起こしていきます。乞うご期待。
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