真性テクノアイドルとは?

今回は、テクノアイドルの中でも“真性”と呼べる人たちについて特集します。アイドルが、サウンド的にテクノポップまたはテクノ歌謡と呼ばれる曲を歌う事はさほど珍しい事ではありません。真性テクノアイドルと呼ぶにはそれだけでは十分ではありません。

真性であるということは、例えば、クラフトワークの「The Robots」、YMOの「Technopolis」、バグルズの「ラジオスターの悲劇」、ゲイリー・ニューマンの「Are 'Friends' Electric?」、トーマス・ドルビーの「彼女はサイエンス」のように彼らの作品のコンセプトからもテクノ精神が感じられ、かつ彼ら自身にもテクノなオーラが感じられなくてはいけない。だから、Styxの「Mr. Roboto」では物足りないのです。分かりますよね、言わんとすること。

そういった厳しい目で見ていくと、かなりのアイドル達がふるいにかけられます。あまり真性になっちゃうと、アイドルとしてはメインストリームから外れそうな勢いさえあります。前半の講義はテクノアイドル・グループについて。

アパッチ

宇宙人ワナワナ
1976年に『恋のプロックサイン』で正式デビューしたアパッチ。「ソウルこれっきりですか」のヒットによりスタジオ向けに作られた副産物ですが、アパッチという投げやりな名前からキャンディーズ・フォロアーを狙っていたのか疑問をもってしまいます。テクノアイドルと言える曲は後にも先にも、シングル『宇宙人ワナワナ』(1980年)だけですが、あまりにもインパクトが強いのでテクノアイドル認定します。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
テクノマジック歌謡
『宇宙人ワナワナ』は、背水の陣としか思えないジャケは脅かしではない矢野誠によるハードコアなテクノ歌謡です。『テクノマジック歌謡』(2005年)にも収録。

フィーバー

テクノ歌謡コレクション~東芝編 デジタラブ
フィーバーは、ずばりキャンディーズ・フォロアーですが、プチ・セクシーな売り方(期待しすぎるとダメですよ)もされおり、「セクシー・グループ70's&80's」でも取り上げました。実際のところラスト・シングルとなった糸井重里・鈴木慶一・難波弘之による『デジタラブ』(1980年)のみがテクノと言える作品ですが、『テクノ歌謡コレクション~東芝編 デジタラブ』の主役を飾った功績からもテクノアイドル認定します。

宇宙三銃士・スターボー

テクノ歌謡コレクション~Polydor編 ハートブレイク太陽族
80年代を代表すべきテクノアイドル・グループと言えば、スターボー。アイドルなんて言うと失礼かもしれません、彼ら(性別不明)は宇宙人なんですから。謎の宇宙服を着て、鉢巻、そしてテクノカット。後にも先にもテクノカットしたアイドルは彼女達だけしか知らない。命名者でもある細野晴臣により『ハートブレイク太陽族』(1982年)という不朽の名作を地球に残してくれたのです。そして、栄誉ある『テクノ歌謡コレクション~Polydor編 ハートブレイク太陽族』の主役を飾るわけです。

たんぽぽ畑でつかまえて
01. プロローグ
02. 月世界ナイト
03. TOKYOベイ・ブルース
04. 火星のプリンセス
05. 100億光年の恋人
06. ハートブレイク太陽族
07. エピローグ
08. たんぽぽ畑でつかまえて
09. 踊れLA・TA・TA
10. センチ メタリック ナイト
11. 摩天楼パラダイス
12. テレパシー ライダー
13. CAN'T SLEEP
14. WA・KA・RE


彼女達の唯一のアルバム『STARBOW I』(1983年)は、ジャケこそ非テクノですが、A面(トラック1~7)は松本隆=細野晴臣=清水信之(平松愛理の旦那さんですが、テクノなアレンジ作も多し)による壮大なる宇宙を舞台にしたテクノ・コンセプト・アルバムとなっております。しかしながら、当初の志の高さは何処へ行ったのか、スターボーはたんなるキャンディーズもどきに成り下がります。サポート陣も一新され、B面(トラック8~14)は、はっきり言ってつまらない。なんとなく宇宙っぽく頑張っている曲(「踊れLA・TA・TA」)もあるんですが、基本的に凡庸なるアイドル歌謡の域を出ていません。元々アイドルのオーラが欠けている3人ですから、これはつらい。

なお、このアルバムは、『たんぽぽ畑でつかまえて』として1999年に強引に「電子音楽イン・ジャパン」シリーズの一角としてP-VINEよりCD化されています。

Dislocation Dance Rock
折角ですから、カヴァーも紹介しましょう。大阪のORANGE RECORDSからリリースされたTHE ORANGERSの12インチ『Dislocation Dance Rock』(1999年)のB面に「HEART BREAK TAIYO-ZOKU in FRANKFURT 1993」が収録されいます。とってもジャーマンテクノな出来なんですが、このカヴァーのセンスは大大大好き。裏ジャケには、振り付けも懇切丁寧に載せています。

不作の90年代

90年代において、真性のテクノ・アイドルに認定できそうなグループはボクが知る限りいません(ソロはいますが・・・)。地下系アイドルにいたら、すいません。時代は、トリオからカルテット以上、「セクシー・グループ90's」で特集したようなセクシー・グループ、パードル(東京パフォーマンス・ドール)、そして終盤ではハロプロ勢が幅を利かせます(音楽的な意味ではないですが)。敢えて挙げれば、電気グルーヴの「虹」をカヴァーしたflip flapぐらいですが、彼女たちもコンセプト的にはそれほどテクノではありませんね。

Perfumeは救世主

10年以上のブランクを経て、流星のように広島から現れたのテクノアイドル・グループこそが、広島アクターズ・スクール出身の大本彩乃(のっち)、樫野有香(かしゆか)、西脇綾香(あーちゃん)からなるPerfumeです。伝統あるテクノアイドルとしてトリオというのが、泣かせます。もみじレーベルといういかにもローカルなインディーから『OMAJINAI★ペロリ』(2002年)、『彼氏募集中』(2002年)という2枚のシングルを広島限定リリースします。

スウィートドーナッツ
その後、BEE-HIVE RECORDSに移籍し全国区となり、シングル『スウィートドーナッツ』(2003年)で化けるのです。capsuleの中田ヤスタカにより、Perfumeはテクノポップ・アイドル化を果たすわけです。このシングルでは、ジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」のカヴァーもしています。

ビタミンドロップ
モノクロームエフェクト
その後も、『モノクロームエフェクト』(2004年)、『ビタミンドロップ』(2004年)とテクノなコンセプトがさらに盛り込まれていきます。

2005年には見事、徳間ジャパンコミュニケーションズからメジャー・デビュー。

リニアモーターガール
第1弾は、『リニアモーターガール』(2005年)は文字通り近未来の世界が目くるめく、テクノポップ。渋谷系的おしゃれ感というかピチカート・ファイヴ的な側面もあるcapusleですが、彼らの根底に流れるのは間違いなくテクノポップ。アイドル向けに作った曲というよりも、これはテクノアイドルが歌うcapusleサウンドです。ハロプロ系、avex系など今までのアイドル歌謡とは一線を画しています。ちなみに、この曲はダフト・パンクの「デジタル・ラブ」と見事に繋がります。

コンピューターシティ
第2弾の『コンピューターシティ』(2006年)も負けずに劣らず素晴らしいテクノポップ。間違いなくテクノポップ。近未来の中に潜む悲哀こそが、テクノポップです。それを理解している中田ヤスタカ仕事をボクは絶賛します。21世紀の記念すべきテクノアイドル・グループはPerfumeです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。