sucreに続いてのレーベル紹介シリーズ第2弾です。今回は名古屋発インディーポップ・レーベル、abcdefg*recordのレーベル・オーナーの一人、野村真弘さんにインタヴューさせていただきました。同様の趣旨で、All About - テクノポップ的に引っかかるレーベル・オーナーの方が居られましたら、ご連絡お待ちしております。

abcdefg*recordの歴史

――先ずは、レーベル名について。abcdefg*recordって、キャッチーないいネーミングですね。ただ、電話に出られる時に「エービーシーディーイーエフジー・レコードです」って言うのはちょっと大変ですが。込められた意味とかあるのでしょうか?

レーベル名は、考えてる時に、とりあえず「A」から始まる名前がいいねって話をしてて。じゃあ、ABCD...となって、なぜだかGまで行ってしまいました。意味は特にないです。

――レーベルを設立されたのは、1998年ですから7年近くやってられるんですね。しかも、まだ大学生の時に始められたとは志が早いですね。きっかけを教えてください。

最初のきっかけは、僕がバンドメンバー募集の張り紙をしたところに、橋本さんから連絡があって、バンドは結局やらずに、なぜだかレーベルをやろうかということになってしまいました。何か目標にしてたレーベルがあったわけでもなく、なんとなくのスタートです。1998年にレーベル名を考えたってことで、設立年にしてるんですが、最初のCDリリースはさらにその1年後です。当時はまだ大学生だったので、問屋さんも契約できるところが少なくて、なかなか大変でした。それで実質ちゃんとコンスタントにリリースするようになったのは、2002年の後半くらいからです。

――インディーレーベルを継続させる事は結構大変な事だと思うのですが、レーベルの運営だけで生計を立てられているのでしょうか? 継続の秘訣があれば教えてください。意見の衝突とかもないのでしょうか?

そうですねー。継続するのは大変な気がします。今はレーベルで生計立てているような立てていないような。続ける秘訣と言うか、うちの場合はバンドやスタッフや助けてくれるまわりの人に恵まれてるっていうのが大きいと思います。意見の衝突はしょっちゅうです。

――レーベルの歴史を見てみると、サブレーベルや他のインディーレーベルとの連携、そして海外進出までされていますね。フットワークの軽さが素敵ですね。

フットワークは軽いですね。思い立ったらスグやらないと気がすまいので。サブレーベルが急にできたりしたのも、新しく手伝ってくれる人が現れたりして、おもしろそうだしやってみるかーっていう軽いノリで。海外とのやりとりは、偶然好きなバンドのディストリビューションを手伝ったことがきっかけで、あれよあれよと言う間に繋がりができていきました。海外も含めて共感できる人同士が繋がっていくっていう辺がインディーのおもしろいところなんじゃないかなぁと思ったりします。

Intro. 01

――レーベル・コンピとしては第3弾、初のミニ雑誌付CD『Intro. 01』(2004年)を出されましたが、先ずは雑誌の方から。レーベル・アーティストも参加してのちっちゃいけれど、盛りだくさんな内容ですね。雑誌不況なご時世ですか、これは昔からやりたかった企画なんでしょうか?
01. sprito:2CV (live at daisy*cafe 2004.04.18)
02. MJ-Classical:Dance Floor
03. heidi:赤いレーシングカー
04. クノシンジ:オレンジジュース・グレープフルーツジュース
05. Sonicberry Favour:flash and feather
06. スロウキャンプ:leaf
07. naivepop or petitfool:ちいさなすずらん
08. roly poly rag bear:ryan's favorite
09. miette-one:Rain and Snow
10. YOUNG TONGUE:ロールプレイ(ROUGH MIX)
11. CASA (Shinya Kato"sprito" & Akira Okabe"StrawberryMachine"):sanctuary


これはですね、一応CD付き雑誌なんです。でも誰がどう見てもミニ雑誌付きCDですよね。最近ではあきらめて、ミニブック付きCDってことで折れましたが。元々僕は大学の頃にフリーペーパーを作っていて、音楽とは全く関係ない物だったんですが、その延長でレーベルに繋がっていったようなところがあるので、こういう雑誌っぽいものを一度作ってみたかったんです。中学生の頃から漠然と雑誌を作りたいっていうのも思っていたし。

――『Intro. 02』も予告していますね。しかも、目次まで!

これは冗談です。次号はあるのか、ないのか、どうなんでしょうか。Introというのは無くならないんですが、次回のは01とは形を変えることになりそうです。

――肝心のCDの方に話を移しましょう。コンピは11組のアーティストによる11曲。ジャンル的には、ギターポップ、ソフトロック、ポップトロニカなど幅広く、名古屋に突如現れたポスト渋谷系インディーポップって感じですが。ジャンル的な統一感よりも、アーティストが放つ空気のようなもので選ばれているのでしょうか?

今回の収録バンドは、ほとんどがうちからリリースしているか、来年リリースする予定のバンドです。音はかなりバラつきがありますよね。うちは毎度コンピを作るとこうなるんですが、でもabcdefg*recordっていう括りで統一した雰囲気が出てるんじゃないかなぁと。って言うのは初めて聴く人にはわかんない話なので、レーベルやバンドの事をよく知ってもらえば、さらにその雰囲気が伝わるんじゃないかということで、今回のコンピにはあの変てこりんな本が付いてるわけです。人間性まで含めてトータルでみてもらうと、妙な統一感があったりなかったりで。

Sonicberry Favour

――コンピにも参加しているSonicberry Favourは、デビュー・アルバム『epiqurean 4D garden』を2004年にリリースしていますね。Rah Bandとかを思わせるスペーシーなラウンジポップなんですが、曲によってはもろテクノだったり、R&Bだったり、ギターポップだったり、隠し味的な面白さがありますね。
01. Drivin'
02. Green hill 
03. ララルゥとわたし
04. Sister ! Sister ! (Fly me to the mars) 
05. Free style composition
06. Sylvie
07. Epiqurean
08. Mekurumeku
09. Sweet switch
10. Atakamo 
11. Flapper restored new
12. Ray gun 
13. Sonicberry magic
14. ぬるい水 ~霞谷奇想 I ~


Sonicberry Favourは結構歴史が長いバンドで、レーベルを始める前か、始めた頃に偶然カセットを買ったことで出会ったんです。その間なんやかんやあったり音沙汰無くなったりしたんですけど、2004年に再会して、バンドの形態も変わって、デビュー・アルバムがリリースできました。この人達も音はかなり幅広いでね。なんでしょうかね、ついついあれこもれこやりたくなるんですよね。たぶん。

スロウキャンプ

――こちらもコンピに参加していますが、スロウキャンプは12月15日にセカンド・ミニアルバム『Ensemble』をドロップですね。フィッシュマンズ、ポラリスに続く、ダブポップ界期待の星と言いたくなる、いいメロを持ったバンドだと感じました。何なんでしょう、このあふれる郷愁感。
01. スワロウ
02. emotion
03. シンクロ
04. 永遠未来
05. クリスタル(ライブバージョン)


スロウキャンプは郷愁感ありますね。『Ensemble』は特に歌詞も含めて切ない感じで。前作とは比べ物にならないくらいメロディのよさも際立ってきてますし。元々がネオアコ出身なんでメロディが素晴らしいものを作りますよね。今まだまだ成長段階にあるんで、次のフルアルバムではダブポップシーンに一石を投じるような、すごいものができるんじゃないでしょうか。

名古屋について

――abcdefg*recordは、名古屋を拠点とするインディーポップ・レーベルとありますが、所属アーティストはやはり名古屋中心なのでしょうか?

特にその辺は意識してなかったんですが、最近は名古屋のバンドが多く集まってきてます。今回のIntroコンピもroly poly rag bearとYOUNG TOGGUE以外はすべて中部地区のバンドです。意外と名古屋は面白いバンドがいるなーという感じですね。

――音楽活動の場合どうしても東京を拠点としないと難しいケースが多いようですが、現在の名古屋のシーンというはどのようなものなのでしょうか? 80年代、日本各地にパンク~ニューウェイヴ的シーンがあったのですが、名古屋と言うとザ・スタークラブぐらいしか思いつきません。

たしかに名古屋拠点では難しい部分は多いです。でもそれならそれなりにやり方はあるんじゃないかと言うことで模索中と言う感じですね。今名古屋は僕らみたいなポップスのシーンは全然といっていいくらいないです。点在はしているのかもしれませんが、シーンと呼べるものはないですね。

――お勧めの名古屋スポットなどあれば、教えてください。

名古屋と言えば、大須ですね。巣鴨と秋葉原と下北沢が混ざったようなおかしな街です。うちも大須の近所なんです。最近はレコード屋さんも増えてきたし、今どんどん新しいお店ができてきてます。一番名古屋っぽい街じゃないでしょうか。

お勧めディスク

――『Intro. 01』でエレクトロクラッシュのレヴューをされていますね。Avenue DやChicks On Speed、A Touch Of Class系(Scissor Sistersがブレイク)などを選ばれていて、結構趣味が近いのではないかと。abcdefg*record(又はサブレーベル)として、和物エレクトロ(クラッシュ)発掘とかどうでしょう? 理想的にはビッチな女の二人組。

いっときエレクトロクラッシュばっかり聴いてた時があって、僕のまわりでも極一部の人達の間で一瞬ブームだったんですよ。で、勢い余って、エレクトロクラッシュなやつやろうぜーなんて言ってて、実は真剣にコンピ作ろうかと思って、動いてたんですけど、どうも日本人が作ってもダサイだけでイマイチなんですよねー。スタイルだけ真似してもしょうがないなぁってことで、エレクトロクラッシュブームは今ひっそりと静まり返ってしまいました。

――abcdefg*recordの公式ページはとても充実していますね。当然レーベルの情報は押さえていますが、日記、「俺盤」でのディスク・レヴュー、ショップと作っている顔が見える内容で好感が持てます。これはレーベルの重要な戦略なのでしょうか?

インターネットはうちみたいな弱小レーベルが唯一言いたいことを言える場所なので、力を入れています。日記やカタログ情報はもちろん、レビューやネットラジオやショップなどトータルで、やりたいことが伝わるようにしたいなと。365日どこかしらが更新されてます。今後はネットならでは企画などもどんどんやっていく予定です。とりあえずは、12月15日目標でINTROのWEB版(indiepop.jp)をオープンする予定です。

――海外作品の取り扱いもされていますが、All About テクノポップの読者へ特にお勧めディスクがあればご紹介ください。

今うちのネットショップで、Tiger Babyというデンマークの女の子ボーカルのエレクトロポップユニットのアルバム『Lost in You』(2004年)がバカ売れ中なんですけど、これはテクノポップ好きはもちろん、渋谷系ファンからお洒落なのが好きな人までいけるんじゃないでしょうか。北欧ならではの空気感みたいなのが素晴らしいアルバムです。

(ご協力ありがとうございました。)

【関連サイト】
abcdefg*record online(今回紹介したレコードはこちらで購入できます)

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