ポップマニアならはまるフェニックス

2004年になって、一番はまっているバンドが、フランスのフェニックス(Phoenix)。フィルターハウスを中心としたフレンチタッチの勃興期であった2000年のファースト・アルバムを当時購入した時、ちゃんと聴いていなかったのか、それほど、はまりませんでした。しかし、あるきっかけで、ファーストを聴きなおしてみると、これは侮れないと・・・やっぱりレコードは聴きこまないと。そして、2004年のセカンド・アルバムで完全にフェニックスの虜となる。どうやら、現時点で日本のフェニックスのファンサイトも存在しないようなので、ディスコグラフィーを中心とした、この記事をもってして、フェニックスのファンサイトとします。

Dior Hommeとフェニックスの関係

豪華な招待状(表)
2004年5月15日(土)にDior Hommeの表参道店オープンを記念して、大井埠頭の某倉庫にてパーティーが行われました。なんと、スペシャル・ライヴはフェニックス。どうして、フェニックスなの? Diorのデザイナーと言えば、ジョン・ガリアノとハイジ・スリマネなのですが、このハイジ・スリマネがフェニックスのアルバム『Alphabetical』でのフォトグラファーとして起用されているのです。所謂、ファッション業界関係者を招待したプライベート・パーティーなのですが、フェニックスの公式サイトと東芝EMIのサイトで、一般抽選枠というのもありまして、それに当たって行ったわけです。招待状には「Do not forget, this is a fashion party : Dress to Kill!)」なんて書いてあり、プレッシャーをかけていましたが、招待客の格好は、カジュアルもかなり多い、いい加減なものでした。セレブ系では、フランソア・モレシャン、ハイパーメディア・クリエイター高城剛さんなどをお見かけしました。僕が知らない有名人が居たかもしれませんが。

豪華な招待状(裏)
じゃ、フェニックスはDior Hommeのスーツでばっちり決めてきたのか? 今頃、グランジ・リヴァイヴァル・・・みすぼらしいニルヴァーナで、おしゃれなフレンチなんてイメージを見事に破壊しました。ヴォーカルのトーマス・マーズ君は、「Hawaii」ロゴ入りのTシャツ着用。ギターのローレン・ブランコウィッツ君は、上下破れまくりのジミー・ペイジ状態。 確信犯と思ったりもするのですが、天然のダサ(かっこい)い人たちなのかもしれない。しかし、『United』リリース後のライブでは、全員黒いスーツ×白いシャツ×黒いネクタイでばっちり決めていたという報告もあり、ますます困惑します。

ジャンルが不明のよれよれながらも、意外としっかりとした演奏のステキなライヴでした。「Too Young」「If I Feel Better」「Everything Is Everything」「Victims Of The Crime」「Run Run Run」「Funky Square Dance」などの代表曲を中心とした満足できる内容(トラックリストを完全に控えた人がいれば、教えてください)。この夜をきっかけに、ますます変な屈折した愛情が生まれました。不思議な愛です。

さて、次のページからはフェニックスのあゆみ。

フェニックス~ディスコグラフィー(1)

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
『Party Time』(1997年)7"
A1. Party Time (original version)
B.1 City Lights

Sourceレコード契約への呼び水となった、自らのレーベルであるGhettoblasterからわずか500枚のみプレスされた7インチ限定シングル。「Party Time」は、デビュー・アルバムにも収録されますが、アルバム・ヴァージョンは違います。エールが彼らのファースト・アルバム『Moon Safari』にも影響を与えた曲として選曲した、プロモ・コンピレーション『Deck Safari』(2002年)に「City Lights」は収録されいています。

『Heatwave』(1999年)CDS
01. Heatwave
02. I Love You (Remix by Cruz Esteban)
03. Heatwave (Edit)

Sourceレコードがフォークっぽい曲を求めたにもかかわらずに、リリースした初シングルは、盛り上がるようで盛り上がらない焦らし系ハウスとも呼べる。公式サイトでは、ファンが作ったPVが見れるんですが、今のフェニックスとかなり違います。この曲を聴いていると、メンバーの一人は、ダフト・パンクの前駆体とも言えるダーリンというバンドに居たのも頷ける。

『Source Rocks』(1999年)CD
Virgin Franceが中心となって作ったムーヴメントと言えるフレンチタッチ・シーンですが、その傘下のSourceレコードからのコンピレーションでは、シングル『Heatwave』の1曲目と2曲目が収録されていますから、こっちを買った方がヴァリューは高いかも。ベルトラン・ブルガラ、メロウ、コスモ・ヴィッテリなども収録。

フェニックス~ディスコグラフィー(2)

『United』(2000年)CD
01. School's Rules
02. Too Young
03. Honeymoon
04. If I Ever Feel Better
05. Partytime
06. On Fire
07. Embuscade
08. Summerdays
09. Funky Square Dance
10. Definitive Breaks
11. Too Young (Zoot Woman Remix)*
12. If I Ever Feel Better (Todd Edwards Remix)*
*日本盤のみのボーナストラック

1997年のダフト・パンクのアルバム『Home Work』、1998年のStardustのシングル『Music Sounds Better With You』、1998年のエールのアルバム『Moon Safari』、2000年のタヒチ80のアルバム『Puzzule』といった作品が、ここ数年のフレンチ・シーンでの指針となったと考えるのですが、この『United』というアルバムも認知度では劣るものの、後世に評価されるべき作品でしょう。一言でも申し上げると、偉大なる折衷サウンド。ポップとロックとクラブ・ミュージックの折衷、アメリカンとヨーロピアンの折衷、ソフトロックとハードロックの折衷。出だしは、ハードロック的ギターから始まる、でもどこかハウスっぽいインスト・・・そして2曲目の泣きメロ即死系「Too Young」へと・・・哀愁のカントリー「Honeymoon」、即死したのにまた即死する美メロ系「If I Ever Feel Better」,、ガレージっぽい「Party Time」、ソウルフルなAOR「On Fire」・・・ジャジーなサックスが聴ける「Embuscade」、ありゃ気分はタヒチ80な「Summer Days」・・・カントリーでファンキーでハウシーでハードロックな折衷サウンドの百貨店と言える「Funky Squaredance」。エンディングは、ムーディーなサックス曲で閉める。

『Too Young』(2000年)12"/CDS
01. Too Young
02. Too Young (Zoot Woman Mix)
03. Too Young (Le Knight Club Remix)

アルバム『United』からのファースト・シングル。この曲は、映画『Lost In Translation』でも使用されている名曲ですが、リミックスが2曲収録されています。一つは、日本盤のボーナス・トラックにもなっているZoot Womanのリミックス。好きなアーティストによる好きなアーティストの曲のリミックスという期待にこたえる内容。当然、Zoot Womanのファースト的ニューウェイヴなリミックス。もう一つは、Le Knight Club・・・そう、ダフト・パンクの片割れのGuy-Manuel de Homem-ChristoとEric Chedevilleによるユニット(二人は、Crydamoureレコードの設立者でもある)によるフィルター・ハウス。どっちが良いと言われても困ります。どっちも最高!

『Too Young』(2001年)12"
A1. Too Young (Final Edit)
A2. Too Young (Zoot Woman Mix)
B1. Too Young (Le Knight Club Remix)

2001年に再度リリースされたヴァージョン。最初の「Too Young」と同じリミックスが入っているのですが、原曲はFinal Editと名付けられた、パッと聴いてもあまり区別のつかない若干ミックスの違うバージョンになってます。(thanks to Wさん)

『If I Ever Feel Better』(2001年)12"/CDS
01. If I Ever Feel Better
02. "If I Ever Feel Better, I'd Go To The Disco," Said The Buffalo Bunch
03. On Fire (Nash Kato Version)

オリジナルも素晴らしいポップ・ソングですが、Crydamoureレコード系列のThe Baffalo Bunchによって、完全なるフィルター・ディスコと化した「If I Feel Better, I'll Go To The Disco」。メンバーのPaul de Homem-Christoは、ダフト・パンクのGuy-Manuelの弟、Romain Séoは、We In Musicのメンバーとしても活動。このリミックスは、フレンチ・タッチ・コンピ『Technikart French Tour』『My House in Montmartre』や『De La Musique~French Touch Non-stop Mix』にも収録されています。日本盤『United』には、Todd Edwards Remixが収録されていますが、こちらの方が完成度は高い。

オリジナルの方は、Kings Of Convenienceのヴォーカリスト、Royksoppの「Remind Me」のゲスト・ヴォーカルとしても知られる、めがね君、アーランド・オイエによる!K7のDJミックス企画シリーズ『DJ Kicks』でも取り上げられています。3曲目「On Fire」は、元Urge OverkillのNash Kato(加藤じゃいないよ)によるアメリカンなアーシー・ロック・ヴァージョン。この辺が同居してしまうのが、フェニックスの魅力なんですね。

『I Can Try』(2001年)12"
A1. I Can Try
基本的に、上記のシングルのThe Bafflo Bunchのリミックスと同じですが、男の雄たけび声が収録されているヴァージョンで、タイトルも変わっている。B面はなし。

フェニックス~ディスコグラフィー(3)

『Alphabetical』(2004年)CD
01. Eveything Is Everything
02. Run Run Run
03. I'm An Actor
04. Love For Granted
05. Victim Of The Crime
06. (You Can't Blame It On) Anybody
07. Congratulations
08. If It's Not With You
09. Holdin' On Together
10. Alphabetical
11. The Diary Of Alphabetical*
*日本盤のみのボーナストラック

ファースト・アルバムで見られた、ハードロック色やハウス色は多少希薄になっており、メロー路線のソフトロックの結晶。隠し味的な折衷主義は見られるが、より曲自体にエネルギーが集中して、その分、メロディーメーカーとしてのフェニックスが光る。先ずは、キラー・チューンの「Everything Is Everything」で、このアルバム買ってよかった状態。2曲もシングルカットの「Run Run Run」・・・そして、ビートルズの「I Want You」なんかを思い出す「I'm An Actor」・・・ソフトロック系ラヴ・ソング「Love For Granted」でメロってきたら、「Victim Of The Crime」で涙腺がゆるむ仕組。それでも泣けないならと、ドドメの「Anybody」とメロー・チューン攻撃。かなり不思議なインスト「Congraturations」・・・最後の3曲もアメリカンポップスのエッセンスを取り込んだ、フェニックス流ポップとして白眉の出来。棄て曲なし!

『Everything Is Everything』(2004年)CDS
01. Everything Is Everything
02. I'm An Actor
03. Everything Is Everything (Instrumental)
04. Everything Is Everything (Home Demo)

「I'm An Actor」とのカップリングで先行シングル・カットされましたが、両曲とも、アルバム『Alphabetical』に入っています。他2曲は、「Everything Is Everything」のインストとホーム・デモ。アコースティックなデモもそれはそれで、いいのですが、クラブ系リミックスを収録してくれなかったのが、残念。ちなみにこのジャケに写っているのは、左からトーマス、クリスチャン、ローレント(クリスチャンの兄弟で、元ダーリン)、ディックです。

『Everything Is Everything』(2004年)7"/12"
A1. Everything Is Everything
B1. Everything Is Everything (Jack Lahana Remix)

これは、リミックスのために買った一枚。エールの「People In The City」(アルバム『Everybody Hertz』に収録)やAlex Kidの「Pick It Up」などの仕事をしているJack Lahanaの変態性あふれるR&Bファンク・リミックス。

『Everything Is Everything~Nudisco & Kitchen Crew Rmx's』(2004年)12" White Label
A1. Everything Is Everything (Mix 1)
B1. Everything Is Everything (Mix 2)
B2. Everything Is Everything (Mix 3)

ドイツ出身らしいNudiscoとKitchen Crew。いつも一緒にやっている訳ではなく、別々のリミキサー・チームのようです。ホワイト・レーベルでのリリースしかないのが惜しすぎる、昇天しそうなリミックス(B1のプレスミスによる音トビ以外は)。原曲のヴォーカル部分の良さを残しながらも、違和感のない4打ちフィルター・ディスコ化に成功。競歩しながら、聴きたいですね。

『Run Run Run』(2004年)CDS
01. Run Run Run
02. I'm An Actor
03. Too Young
04. Run Run Run (Video)

僕的には「Victim Of The Crime」がシングル・カットかなと思っていたんですが、割と地味だけど、良く聴くといいヒップホップとソフトロックが同居した「Run Run Run」。カップリングは「I'm An Actor」と『Lost In Translation』がらみで再度シングルに入った「Too Young」・・・ 価値があるのは、悶絶しながら見ていた人もいるらしい映像処理が美しい「Run Run Run」のPVが入っている事。

フェニックスのリミックス曲

フェニックス関連としては、リミキサーとして以下のトラックを手がけています。
■エールの「Kelly Watch The Stars (American Girls Remix)」
■Ritmo De Vidaの「The Spirit Is Justified (Phoenix's Deep Space Mix)」
■Rochusの「High Noon (Smart System's 24 H. Mix) 」

皆さん、フェニックスを聴いて即死しましょう。

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