名曲のバロメーターの一つに、カヴァーの多さがあります。バグルズの「ラジオスターの悲劇」は、世界中で今もカヴァーが増殖する名曲です。そして、元ネタにも使われちゃいます。先ずは、日本人アーティストから。

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原題は『The Age Of Plastic』、邦題は『プラスティックの中の未来』、そして最近、邦題はシングルと同じ『ラジオスターの悲劇』となっています。最近では、タトゥーのプロデューサーとしての肩書きが横行しているトレヴァー・ホーンとエイジア(Asia)のジェフリー・ダウンズによる1980年を代表するテクノポップの金字塔。80年代のブリティッシュ・インヴェージョンのプレリュードとなった「ラジオスターの悲劇(Video Killed The Radio Star)」が予想を超えるワールドワイド・ヒットをしてしまい、作り上げたアルバムですが、捨て曲がない1曲目から8曲目(9曲目以降はボーナス・トラック)。ニューウェイヴな一枚というよりも、ビートルズを遺伝子(バグルズという名前もそれを示唆)としたモダンポップとテクノポップを橋渡しする近未来なコンセプトがぎっしり詰まっている。最近では、ドラマ「東京ラブ・シネマ」の挿入歌としても使われましたね。

01. プラスティック・エイジ
02. ラジオスターの悲劇
03. キッド・ダイナモ
04. アイ・ラヴ・ユー、ミス・ロボット
05. クリンクリン
06. 思い出のエルストリー
07. アストロボーイ
08. モノレールのジョニー
09. アイランド
10. テクノポップ
11. モノレールのジョニー(Very Different Version)


トレヴァー・ホーンがうさぎになった(ちなみにジェフリーはハスキー犬)ジャケのカヴァーは、確信犯的にずるい! 僕や僕の友達(バグルズ・コレクターとして知られるKさん)など、素直にジャケ買いする人たちを狙っている。バロムワン(アニメじゃなくて実写版を見ていました)というテクノ・ユニットで活動するオッチーという人が選曲した『Good Covers~AFTER NEW WAVE』(2003年)。オッチー、P氏(「東京テクノ会」の会員)、かとうけんそう(京浜兄弟社の東京タワーズ・メンバー、映画「たんぽぽ」に登場した俳優)のかなり濃い3氏による解説も楽しめます。ありがちな80年代カヴァー集ではありません。カヴァー・ネタは80年代テクノポップやらもっと古いのやら・・・でもそこはかとなくニューウェイヴの香りがするが"今"にも対応できる選曲。教授の95年の武道館ライヴ音源である「Behind The Mask」も収録。最近、DJネタとしてひそかな脚光を浴びようとしている(WIRE03でもDJ TASAKAがやっていた)、産業ロックとかとも揶揄されるアメリカン・プログレのスティックスが時代に擦り寄った名曲「Mr. Roboto」のPOLYSICSのカヴァーは、つぼを押さえています。

01. smorgas:Over The Rainbow 
02. DOOPEES:HOW DOES IT FEEL 
03. ピチカート・ファイヴ:Good 
04. POLYSICS:ドモアリガトミスターロボット
05. 中谷美紀:Superstar(Andrea Parker mix)
06. MONDO GROSSO:I Can't Go For That
07. Mansfield feat.Yukari Fresh:The New Pollution
08. 坂本龍一:Behind The Mask
09. 立花ハジメとLow Powers:メドレー~I.愛のテーマ~II.Do You Love Me?~III.Jet Boy
10. ビンジョウバカネ:リグレット 
11. 電気グルーヴ:Popcorn
12. hi-posi:ラジオスターの悲劇 Video Killed The Radio Star
13. little creatures:new europeans
14. 原田知世:MARLENE ON THE WALL(マレーネの肖像)

前述のカヴァー集にも当然収録されている「ラジオスターの悲劇」。昨今の80年代やニューウェイヴ・リヴァイヴァルに一足早すぎた感もあるテクノポップ化を推進したhi-posiのシングル『ジェニーはご機嫌ななめ』のカップリングからのテイク。ラウンジィーでエレクトロニカなカヴァーです。「ジェニーはご機嫌ななめ」は、日本でのテクノポップ(歌謡)系としてはカヴァーの多さを誇る、近田春夫センスが冴えるジューシィ・フルーツのヒット曲。最近では、インディー・中学生アイドル・トリオ、Perfumeが、デビュー・シングル『スウィートドーナッツ』にてカヴァー。そう言えば、脱力系ヒップホップ・中学生デュオ、HALCALIのデビュー・アルバム『ハルカリベーコン』でも、hi-posiのもりばやしみほが参加。

『ジューシィ・フルーツ復活!?』

ナゴム・レコードのオーナー、有頂天、そして現在では演劇界で超活躍中のケラがやっていた、Les Long Vacationの『Summer Lovers』(1993年)でも既出のYMOの「君に、胸キュン」のカヴァーなどと合わせて「ラジオスターの悲劇」をカヴァー。

ビクターからリリースされているので一応メジャーなのですが、ナゴム感が漂う(右下のリサイクル・マークには「ナゴミ」と書いてあるのは偶然か?)イノウエのアルバム『お茶』(1999年)にも、「Oh! Baby Kiss Me~from「ラジオスターの悲劇』より」~お茶バージョン」との長ったらしいタイトルで日本語カヴァーに挑戦。大正九年にもセンスが近いですね。

日本のガールズ・パンクと言えば、ロリータ18号。ヤプーズのは「ロリータ108号」。カヴァー・アルバム『ヤリタミン』(1999年)でもカヴァーしていて、見かけによらずポップなルーツのお姉さん裸走り。メンバーが中古で買ったThe President Of The United Statesのライヴ・アルバムに収録の「ラジオスターの悲劇」を聴いたのが、きっかけだったらしい(曲そのものは知っていた)。かなりパンクにいい加減な歌詞。1999年のイヴェント「Drive To 2000」でも「ラジオスターの悲劇」を披露(見ました)。

もう一つのYMO、Yes, mama OK?のミニアルバム『tea party』(1996年)にも収録。他にも、別のアルバムとかで矢野顕子の「春咲小紅」や小坂明子の「あなた」のカヴァーをやっていて、毒をもってして原曲を換骨奪胎しているんですが、こちらのカヴァーはわりとストレートにやっています。

カヴァー・ネタで2回目の登場のakiとT2yaハイパー・ダンス・ビート・ユニット(ナンじゃ、そりゃ?)、gmlの4曲入りミニアルバム『Video Killed The Radio Star~gml meets union jack 』(1996年)では、「virtual trance mix」なる結構、先駆け的トランス系カヴァーをやっています。

LOVE★DELUXEというヤスハラ・ヒョウエ(安原兵衛) とシンボリ・サオリの二人組による『シー・イズ・ア・ポストマン / ラジオスター・ノ・ヒゲキ』(2000年)の両A面シングル。テクノポップ好き(予想)がJ-POP風にヴォコーダーを駆使して洋楽カヴァーをやってみましたという感じですが、個人的にはアレンジも予想外に隠し味的に過激で評価したい・・・Tommy february6よりも早かった。モトフスキーの日本語歌詞も解釈が忠実でよい。七尾旅人、川本真琴、YUAMU、overrocketの渡部高士とかとも繋がっているみたい。安原兵衛・名義で2003年にアルバム『青春のアウトライン』をリリース。

こんな事でもなければ、買わなかっただろうBOØWY関連。松井常松は、元BOØWYのベーシスト。彼の『Bye Bye Extremer』にロックンロール版が収録。 布袋寅泰なんかは、彼の書いた『布袋寅泰のRadio Pleasure Box』(1992年)を読んでいると、ニューウェイヴ好きが伝わりますけど。

他にも、以下の日本人アーティストが「ラジオスターの悲劇」をカヴァーしています。多分、これで全部(だと思うけど、抜けていたら教えてください)。

HAL from Apollo '69・・・アルバム『Badlands』(2001年)

Worm World・・・ユーロビート系オムニバス『EURO3』(2001年)

Be The Voice・・・オムニバス『NATURAL BEAUTY BASIC presents "blend"』(2002年)

日本人カヴァーはネタ切れしたので、次は恐怖の元ネタ集。
ちょっとした「ラジオスターの悲劇」を聴き逃すな! こんなとこにも、あんなとこにも出てくる。

その昔、ちあきまゆみは、素っ頓狂な声でテクノポップ・ユニット、Menuのヴォーカルを担当。そのMenuのメンバーであった星渉とちわきまゆみが、ARBにいた白浜久と組んだユニットが、Radio Musik。ユニット名からして、トレヴァー・ホーンとトニー・マンスフィールドが好きと思わせる。彼らの唯一の曲が、ライナー・ノーツでお馴染みの山田道成プロデュースのオムニバス『Technical Music Planning』(1984年)に収録された「フライデーナイトの悲劇」。もちろん、「ラジオスター」をOMYのようにオマージュした作品。

今井麻起子と言っても、知っている人はあまりいないのでは? 彼女のアルバム『CIAO!』(1988年)の1曲目「恋はポーカーフェイス」は、テクノ歌謡系ガールポップとしてはなかなかの出来・・・聴いているとモロでないけど何処となく「ラジオスターの悲劇」。「Video Killed The Radio Star♪」と思わず歌いたくなります。作曲は、元ジューシィ・フルーツ、最近では「おさかな天国」の作曲で一旗上げてくれた柴矢俊彦、アレンジは松任谷正隆。 セカンド・アルバム『Candy A Go Go!』(1989年)以降、どうなったのでしょう?彼女。なかなか声質もいいのですが。

元・東京パフォーマンスドール(TPD)、EAST END×YURI(紅白にも出場)という輝かしい経歴を持つ市井由理のソロ・アルバム『Joyholic』(1996年)に収録の「優しいトーン」では、イントロで「ラジオスターの悲劇」がサンプリングされています。ちなみに翌年の『funiture』には、次に登場のLaB LIFeが参加。

現在ポラリス(Polaris)で活躍する大矢友介がいたLaB LIFeのシングル『Sky Love』(1999年)のエンディングは、確信的に「ラジオスターの悲劇」。LaB LIFe・・・遅れてきた渋谷系テクノポップ・グループとして注目していた(ハイ、彼らのリリースはコンプリートしています)。他にもニュー・オーダー・ネタなんかもやっている人たちです。

「モンド meets テクノポップ」的ユニット、comtronのミニアルバム『Papa Americana』 (2001年)収録の「Gentle Cat」のハミングの部分は「ラジオスターの悲劇」。スズトモさんのPSY・S的エンジェル・ヴォイスも愛らしい。

最近のネタも一つ。元ジェリー・フィッシュのアンディ・スターマーがプロデュースしたPUFFYのアルバム『NICE』(2003年)。収録の「東京ナイツ」は、こそっとやっているんでなく、堂々と「ラジオスターの悲劇」。PUFFYってモダンポップやパワーポップのエッセンスがある稀有なガール・ユニットだと認識が深まります。「アジアの純真」もELOだし。

ジャケがありませんが、他にも・・・

デジタルズの「ビデオベータの悲劇」・・・セクシー★ジャケでお世話になっているビターさんに教えてもらったクローン曲。YMOやクラフトワークのあり。リリース年度不明。

フェビアンこと古賀森男の「ラヂオ少年」・・・『Once Upon A Boy』(2001年)に収録。ラジオ繋がりで「ラジオスターの悲劇」のフレーズが登場。

まだあると思いますが、僕が知っている(教えてもらった)のはこのぐらいです。もし、他にもご存知でしたら、メールください。追加していきます。好評でしたら、「ラジオスターの悲劇~世界大会」の開催も検討します。

「YMOの遺伝子」もですが、カヴァー・ネタが好きです私・・・
『テクノ・トリビュートto ABBA』
『テクノ THE ビートルズ』
『はい、菊地です』
『マドンナ・リメイク大会』
『80年代ヒット曲リメイク大会#1』
『80年代サントラ・リメイク大会』
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