2001年から現在にかけてPONY CANYONから『Myこれ!クション』というシリーズ・タイトルで70年代~90年代のアイドルのベスト・アルバムがリリースされています。親切なので、わかり易いようにアイドルを分類して今までのリリースを表記します。

【70年代アイドル系】吉沢京子、山本リンダ、あべ静江、林寛子、岡田奈々、松本ちえこ、三木聖子、荒木由美子、木ノ内みどり、アグネス・ラム、金井夕子、石川ひとみ、桑江知子

◆吉沢京子まで行っちゃうと、桜木健一が一条直也役で主演した「柔道一直線」くらいしか思い出せません。
◆山本リンダってアイドルだったんですかね、最初は。
◆木ノ内みどりと言えば、「刑事犬カール」を思い出す。
◆歌唱力抜群の金井夕子のベストは僕も買いました。とにかく細野晴臣が作曲、教授と編曲した『チャイナローズ』は白眉の出来。
◆桑江知子もアイドル? 『私のハートはストップモーション』が大ヒットして新人賞。現在も活動している。

【ホリプロ・スカウト・キャラバン系】能瀬慶子、林紀恵、堀ちえみ、井森美幸

◆歴代のグランプリ受賞者は以下:
(1)榊原郁恵、(2)能瀬慶子、(3)西村まゆ子、(4)比企理恵、(5)林紀恵、(6)堀ちえみ、(7)大沢逸美、(8)田中久美、(9)井森美幸、(10)山瀬まみ、(11)伊藤美紀、(12)坂井順子、(13)田中陽子、(14)なし、(15)戸田菜穂、(16)工藤兄弟、(17)菊地あゆみ、(18)木下菜緒子、(19)上原さくら、(20)佐藤仁美、(21)深田恭子、(22)古川小百合、(23)平山綾、(24)西端沙織、(25)藤本綾、(26)濱口順子、(27)石神国子
◆こうして見ると、ブレイクせずに消えちゃった人も結構いますね。
◆能瀬慶子は言わずとも知れた音程破壊系。
   
【80年代アイドル系】岩崎良美、水野きみこ、森尾由美、小林千絵、宇沙美ゆかり、斉藤由貴、浅倉亜季、つみきみほ、小高恵美

【90年代アイドル系】西田ひかる、里中茶美、早坂好恵、瀬戸朝香、牧瀬里穂

【おニャン子系】おニャン子クラブ、うしろゆびさされ組、新田恵利、福永恵規、高井麻巳子、うしろ髪ひかれ隊、ゆうゆ、工藤静香、生稲晃子

【乙女塾系】ribbon、中嶋美智代、瀬能あづさ、CoCo、三浦理恵子

【アイドルユニット系】セイントフォー 、BaBe、レモン・エンジェル

【光GENJI系】光GENJI、SAY'S

【オムニバス】カタログVOL. 1、カタログVOL. 2、カタログVOL. 3、アイドルユニット・ベスト

さて、ここまでは前置きです。まるでアイドルのガイドになった気分です、すんません。次は、つみきみほについて。
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さて、本題のつみきみほです。彼女の1枚のアルバムと4枚のシングルからの全曲を収録した究極のベスト・アルバム『つみきみほ ベスト』が「Myこれ!クション」シリーズとして2003年1月にリリースされました。決して、つみきみほは歌唱力の人ではありません。しかし、彼女の少年的キャラクターと強力な作家陣による作品群は評価に値します。

01. 森へ帰ろう (Single Version)
02. CASTLE ON A CLOUD
03. 少年    
04. #    
05. 時代よ変われ    
06. サヨナラのあくる日    
07. 君はララバイ    
08. 星の人    
09. おまじない    
10. 楽園    
11. エンジェルの苺わいん    
12. 森へ帰ろう (Album Version)
映画「精霊のささやき」より
13. オープニング・テーマ  
14. 新田とみほのテーマ    
15. 再会    
16. エンディング・テーマ


つみきみほは、1971年生まれ。オーディションでグランプリに輝き、1986年4月に映画『テイク・イット・イージー』でデビューします。その翌年にシングル『森へ帰ろう』(1987年)で歌手デビューを果たします。厳粛なイントロから始まる難易度の高い歌は、音程不安定感を増幅させます。他にもアイドル系に多くの楽曲を提供している山口美央子が作詞・作曲。

B面の『CASTLE ON A CLOUD』は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」で使用される曲(邦題は「雲の上のお城」)ですが、どうしてこんな歌いにくい歌ばかり最初からやってしまったのか? 恐れを知らないチャレンジャーつみきみほ。

1987年6月に公開の『精霊のささやき』という「ありえない」超現実の世界を描いたファンタジー映画で、つみきみほは主演。あどけなさが残るつみきみほ...生意気そうでもつい許します。ショコラータのかの香織、東京タワーズの加藤賢崇が共演。精神的に病んでいる人達が集まるミモザ館にやってきた謎の少女が、つみきみほ。一番印象的なのが、手袋が離せない超潔癖症のかの香織。全てを純白で統一する病的に美しい不思議ちゃんを演じています。彼女は役柄もあり、ほとんどしゃべりません。『精霊のささやき』のサントラから4曲(当然、つみきみほは歌っていない)がオマケとして『つみきみほ・ベスト』に収録されています。

『森へ帰ろう』を編曲した松本晃彦は、かの香織の在籍したショコラータで活動。当時、ショコラータとつみきみほはつながっていたんですね。最近では、松本晃彦は「踊る大捜査線」のテーマ音楽での仕事が有名。

参考物件として、『森へ帰ろう』を提供した山口美央子のシングル『恋は春感』(1983年)を掲載します。両面とも彼女の作詞・作曲で、A面の編曲は後藤次利、B面(『月姫』)の編曲は土屋昌巳。化粧品のテーマソングにも使われて小ヒットしたはずです。シンセの歌姫とも呼ばれていただけあって、声質は違いますが矢野顕子に通じるオリエンタル風テクノポップ・サウンドです。ベスト盤CD化希望。

同年につみきみほのイメージと完全同期化するシングル『少年』(1987年)をリリース。ちょっと目つきが鋭いつみきみほ。イントロを聴くだけで、期待感がこみ上げるタイプの曲です。この辺から、歌唱力のハンデを乗り越えながら、侮れなくなってきます。森本抄夜子のつみきみほのために書いたとしか思えない詞と八田雅弘=清水信之の作曲=編曲は、見事に彼女のキャラにはまっています。というか、歌うべき人は彼女しかいない。特に清水信之って仕事人だなと思わせる名曲です。

1988年のシングル『時代よ変われ』は、両面とも松本隆=細野晴臣=清水信之という超豪華な作詞=作曲=編曲陣によるもの。大人になりきれない危ない17歳がテーマの松本隆の詞は、とても意味深で言葉に突き刺すような毒があります。バグパイプで演奏されるマーチから始まるメロディアスな展開の曲は、さすがと言いたくなる。B面の『サヨナラのあくる日』も同じチームが提供。

そして、同年に彼女の唯一のアルバムとなった『つみきみほ』では、それまでにリリースされた3枚のシングル両面曲に4曲を追加。『森へ帰ろう』は、アルバム・ヴァージョンとなっています。特筆すべきは、5曲目の『楽園』。ニューウェイヴ時代の名残を感じさせるスカ歌謡。意味不明の笑い声もよし。アイドルによるスカと言うのは、プッチモニの『ちょこっとLOVE』ぐらいしか歌謡史上ヒットしていませんが、これは見逃せない実験曲です。

歌手つみきみほの4枚目かつ最後のシングルとなった『君はララバイ』(1989年)。決して悪い曲ではないのですが、ちょっと後退した感じがします。

もう歌わないんですかね、つみきみほ。侮れないシリーズ、次は牧瀬里穂。

【関連リンク】
『侮れない深津絵里』
『侮れない深田恭子』
『戸川京子さんが残した作品』
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