仮タイトルは、「YMOとカバ」(明らかに『YMOのカバ』のマネ)でしたが、ちょっと格調を持たせました。YMOというといろんな所で書き尽くされた感もあるので、行き着いたのが、カヴァーと共に辿るYMOの凄さというテーマです。

結成25周年、散開20周年、再生10周年記念かどうか知りませんが、YMOの全10タイトルのCDがアルファ音源の権利を持つSonyより1月22日に再発! ついでにDVD『Visual YMO: the Best』もリリース! amazon.co.jpでは、イエロー・マジック・オーケストラ 復刻シリーズなんていうページも出来ちゃっています。では、YMOのアルバムを振り返りながら、YMOのカヴァーをご紹介いたします。

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1978年11月25日にリリースされた記念すべきデビュー・アルバム『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』です。当時、衝撃のデビューを飾ったという記憶はありません。音楽雑誌にアルバムが紹介されていたのを覚えていますが、小さく扱われていました。でも、これが日本のテクノポップの幕開けなんです。テクノ革命は静かに始まる。

01. Computer Game - Theme From The Circus -
02. Firecracker
03. Simoon
04. Cosmic Surfin'
05. Computer Game - Theme From The Invader -
06. Yellow Magic(Tong Poo~東風)
07. 中国女(La Femme Chinoise)
08. Bridge Over Troubled Music
09. Mad Pierrot
10. Acrobat


では、いきなりジャケのカヴァーから。Yセツ男、助教授、ホチョノエロオミの3人からなるYセツ王のデビュー・アルバム『ERO MAGIC ORCHESTRA』(2000年)です。トラックはもちろんですが、オリジナルのアール・デコ調ジャケの風格は残しながらも、細部にわたってこだわりの再現とエロな工夫が盛り込まれています。裏ジャケ、CD面、ライナーそして帯に至るまで。カヴァー曲も10曲中6曲は、ファースト・アルバムより。第4のYMO、松武秀樹もシンセ・ノイズで参加しています。YMOもライヴでカヴァーしたピンク・レディーの『ウォンティッド』のカヴァーやスペルマン・ショーのギャグも楽しめるよ。

こちらは、日本盤発売後にアメリカ向けにロサンジェルスのA&Mスタジオでミックスし直されたアルバム『YELLOW MAGIC ORCHESTRA』です。日本では、1979年7月25日にリリースされ、オリコン最高順位は20位。やはり、より東洋のミステリアスなイメージを強調するためかジャケも差し替えられた。日本盤のラスト曲『Acrobat』は、割愛される。それって、芸がない。違う曲を入れてくれたら、嬉しかった。

もう一つ、ジャケ・カヴァーを。OMYことOriental Magnetic Yellowのファースト・アルバム『ORIENTAL MAGNETIC YELLOW』(1996年)です。カヴァーではなく、OMYというYMOのクローンによるYMOのアルバムをコンセプトにしたオリジナル曲です。パロディーとも言います。曲もタイトルも微妙にずれているのがくすぐったい。ジャケと同じく、ファースト・アルバムそして『Solid State Survivor』からの拝借が中心です。ライナーには桑原茂一の「スネークマンショーとジョイントアルバムを作りませんか。」とのコメントもあります。でも、まだ実現していません。COMPACT OMYの記事ではリーダーのHARUOMI HOSONOEこと細江慎治さんにインタヴューをしていますので、読んでみてください。

では、ファースト・アルバムからのカヴァー数では断トツの『Cosmic Surfin'』のカヴァーを幾つか紹介。

『Cosmic Surfin'』は、元々YMOファースト・アルバムの半年ほど前に出た細野晴臣・鈴木茂・山下達郎のアルバム『Pacific』(1978年)に収録されています。このリゾート的なテーマのシリーズ・アルバムに於ける『Pacific』の細野晴臣ヴァージョンは、既にYMOの3人によって制作されており、プレYMO的テクノ・ディスコに仕上がっています。このアルバムは現在『Pacific/エーゲ海』として2-in-1アルバムとして再発されています。なお、同じ音源の『Cosmic Surfin'』はポリフォニックス名義で1978年にリリースされています。テストマーケットだったんでしょうか?

その『Cosmic Surfin'』は、中学生テクノポップ・バンド、Cosmic Inventionがカヴァーしています。シングル『プラトニック学園』(1982年)のB面として、近田春夫が作詞。イメージとしては、テクノな「のっけて、のっけて、サーフィン」です。その後、メンバーの森岡みまは七福神というバンドで活動し、井上ヨシマサは多くのアイドルを手がける売れっ子作曲家となりました。ジャケ写からリンクしている『テクノ歌謡コレクションVictor編~コズミック・サーフィン』でもCD化され収録されています。

電気グルーヴのシングル『MUD EBIS (800YEN MIX) 』(1991年)には、『Cosmic Surfin' - Live at Automatic theatre L.A.』が収録されています。ポール・ハードキャッスルの『19』っぽく始まる。ギターが前面に出ているロサンジェルスの自動(児童)会館でのライヴっぽいカヴァーです。

電気グルーヴのアルバム『UFO』(1991年)に収録の『Cosmic Surfin' -ecstacy bath room mix-』は、風呂場での自慰シーンをイメージした脱力系カヴァーです。

とても宇宙人なジャケが印象的なSpoozysのアルバム『Spoozys』(2000年)では、『Cosmic Surfin'』のエレキなネオ・ニューウェイヴ・カヴァーが聴けます。Spoozysのリーダーの松江潤は、All That Fuzzというユニットでも『Nice Age』をカヴァーしています。

OMYの細江慎治プロデュースにより、笹キミヒトとZunba小林(現Cyborg '80s)からなる宇宙ヤングは1998年にアルバム『宇宙ヤング』でデビュー。『Cosmic Surfin'』は、『コスミック番長』としてスーパー超能力学園ヒーローに捧げる歌としてよみがえっています。

何度も出てきていますが、POP ACADEMY RECORDSからリリースされた限定発売いまどきテクノなオムニバス『FUTURETRON SAMPLER』(2001年)には、よりハイパーになったヴァージョン『コスミック番長-ノストラダムスMIX-』を収録。ライヴでは、番長隊が「番長!」と歌うだけのために登場した。Yセツ王の『THE END OF TISSUE』も収録されているよ。

Tong Poo(東風)』と言えば、「カルトQ~YMO特集」で、電気グルーヴのまりんと優勝を争ったjellyfishの増山龍太さんが「おやじに『東風』を聴け!」と勧められたと、番組で言っていたのが今も脳裏に焼きついています。

矢野顕子の『ごはんができたよ』『ただいま』『愛がなくっちゃね』のアルバムは、テクノポップ三部作です。1980年の『ごはんができたよ』(オリジナルは2枚組LPだった)では、歌ヴァージョンの『Tong Poo』を収録。カヴァーというよりほとんどAkiko Yano with YMOの別ヴァージョンとして扱ったほうがいいかもしれません。書籍『period』の付録CDにはこのヴァージョンの1980年YMOライヴ・テイクの『東風(Tong Poo)』が収録されています。

東京都交響楽団首席チェロ奏者である古川展生の『I Love you~Love Songs On Cello』(1999年)でもカヴァーされています。教授作だけあってクラシック系の人にも人気があるようです。

アジア系クラシック・オムニバス『エイジアン・シーン』(1999年)では、神谷百子らが演奏する『東風』『Simoon』を収録。坂本龍一の『A FLOWER IS NOT A FLOWER』も入っています。

Simoon』は、エキゾチック・ラウンジ・ミュージックのジャパニーズ・アーリー・クラシックとも言える。

Logic Systemの松武秀樹は第4のYMOとも呼ばれたのでカヴァーというのも何ですが、アルバム『東方快車』(1993年)でカヴァー。次回紹介するアルバム『To Gen Kyo』では、『中国女(La Femme Chinoise)』もカヴァー。

東京スカ・パラダイス・オーケストラのアルバム『トーキョー・ストラット』(1996年)でも、元ロッテンハッツ後にヒックスヴィルに在籍した真城めぐみという女性ヴォーカルをフィーチャーして和む『Simoon』のカヴァーをしています。

まだ、企画アルバムなどに収録されているファースト・アルバムのカヴァーもありますが、今後紹介していきます。『Firecracker』についても書きたいことがあるんですが、また改めて。こうして調べてみると、ファースト・アルバムだけでもカヴァーがかなりあり、もっと書くつもりだったけど、この辺で第1回は終了。今でこそ、ファースト・アルバムは風化しにくい普遍性が高い曲が多いと感じられます。次は『Soild State Survivor』からだよ。

【関連リンク】
『YMO周辺のオキナワン』
『ピストルズを呼べ! そしてYMO』
『COMPACT OMY』
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