amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。
(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)

「不思議ちゃん」って、一体いつ頃から使われだした言葉なんでしょう? 80年代によく使われていた記憶はないので、多分90年代になって認知・使用されるようになった言葉と推測します(もし、その具体的な起源についてご存知の方がおられたら、教えてください)。不思議ちゃんとは、人によっては否定的な意味で使われる場合もあり、他人に不思議ちゃんと呼ばれる事を快く思わない不思議ちゃんもいるようです。しかし、不思議ちゃんが魅力になっている人もいるわけで、ここではできるだけ中立的立場で不思議ちゃんについて研究したいと思います。だから、後ろから首絞めないでください。

「不思議ちゃん」と言ってもいろいろなタイプが居るようです。また、「ぷっつんちゃん」「ぶっちぎりちゃん」「天然ちゃん」「ロリータちゃん」「アンニュイちゃん」が同義ではないが類似する群としてあり、重複するキャラクターを備えた人たちもいます。

先ず、不思議ちゃんのルーツについて考えてみたいと思います。僕の説は、世界で一番有名な童話とされる『不思議の国のアリス』です。オックスフォード大学卒のロリコン度の高いルイス・キャロル先生が作り上げた、少女アリス(実在のモデルがいたらしいです)。挿絵に登場するアリスは、現在のロリータ・ゴシック(略してロリゴス)のお手本ともいえるルックスです。

『不思議の国のアリス』は、実写とアニメで幾つかの映画化がなされています。有名なのは、1951年にディズニーによる映画化。でも、当時それほどヒットしなかったらしいです。ちなみに、見たわけではありませんが、モンド映画として知られている『エッチの国のアリス』いうパロディー映画(実写)もあるそうです。

不思議ちゃんの権威、ケロッグ博士は、実在する元祖不思議ちゃんとして、水森亜土を提唱してくれました。70年代には歌うイラストレーターとして一世を風靡し、よくテレビでお目にかかった覚えがある。ピチカート・ファイヴへのトリビュート・アルバム『戦争に反対する唯一の手段は。』(2002年)では、『皆笑った』を歌ってくれました。

どちらの芸歴が長いのか分かりませんが、僕はムーミンの声でおなじみの岸田今日子をもう一つの元祖として提唱します。面白いことに、彼女もPIZZICATO FIVE featuring KYOKO KISHIDA名義でシングル『PORNO 3003』(1997年)をリリースしています。小西康陽は、二人の元祖不思議ちゃんとつながっています。

ケロッグ博士は、黎明記の70年代では谷山浩子とか太田裕美(少年時代はまっていたらしい)を挙げています。太田裕美と言えば、松本隆が詞を書いた『木綿のハンカチーフ』のイメージが強いですが、テクノ歌謡的なアルバムも2枚『I do, You do』(1983年)と『TAMATEBAKO』(1984年)出しています。

ジャケットからも察しがつくかもしれませんが、ニューウェイヴ化した太田裕美。両アルバムともチャクラの板倉文が参加しています。

また、ケロッグ博士は、矢野顕子〔ジャケ写はシングル『春咲小紅』(1981年)〕をやっと出てきた真打不思議ちゃんの第1号として位置づけています。天才肌の不思議ちゃんですね。

ケロッグ博士曰く、「特に80年代においては、有る意味、いかに不思議か、いかに斬新かを短絡的に追求されていた感もあり、多くの不思議ちゃんを輩出した」との事。確かに80年代になって、不思議ちゃんは一挙に増えたような気がします。それは、ニューウェイヴとか新人類とかいう時代のキーワードからも読み取れます。

そう、80年代の不思議ちゃんの象徴は戸川純〔ジャケ写はアルバム『戸川純ツイン・ベリー・ベスト・コレクション』(2001年)〕です。ケロッグ博士も人生狂うくらいハマッてしまいましたとの事。でも、戸川純が当時、「不思議ちゃん」と呼ばれていた記憶はない。「ニューウェイヴ・プリンセス」「ネクラ派アイドル」や凡庸に「個性派女優」とか呼ばれていたようです。

一般的には、戸川純〔写真は書籍『戸川純の気持ち』(1984年)〕は「おしりだって洗ってほしい」「おしりの気持ちもわかってほしい」とおしりの代弁者となったTOTOウォシュレットのCMのおかげで、「おしりのお姉さん」のイメージが定着しました。

ただ、マスコミが無理やり増幅させた部分もありますが、当時の戸川純〔写真は書籍『ユートピア』(1987年)〕に関する出版物を再検証してみると、「戸川純ってなんか不思議ですき」「不思議少女」という表現が出てきます。とにもかくにも、戸川純は不思議ちゃんの条件を備えた理想形と言えます。具体的には...

■新宿系につながるサブカルチャー性
■ランドセルが似合うロリータ性
■難解な漢字が好きな文学少女性(だから、作詞する人も多い)
■自虐的な情緒不安感
■お高いお姫様度
■一芸に秀でている天才肌(これは、ミュージシャンの場合当然ですが)

ところで、Yapoosの新作と再発はどうなってしまったのでしょう? 来年になりそうとの報告もあります。

ポスト・戸川純としては、最近アルバム『猿の宝石』(写真は1987年の旧盤のジャケ)が再発されたミン&クリナメンの泯比沙子を挙げてみます。ライヴでセミとかを食べるというパフォーマンスがあったらしいです(実際に見たわけでない)。一時引退していたようですが、MIN13というバンド名で活動再開の模様です。

イカ天出身の有機生命体のマリリンは、戸川純のゴシック女王様版ですかね。フルネームは、パーム・ルージュ・マリリンでほとんどの作詞も手がける。アルバム『マリリンとウミガメスープ』(1990年)では、『ビニールローズ』とかは戸川純的です。

現在、戸川純を一番感じさせるのは新宿系不思議ちゃん、椎名林檎です。最初シングル『歌舞伎町の女王』(1998年)を聴いた時、いい所狙っているなと思ったのですが、正直言って、こんなにメジャーにブレイクするとは思いませんでした。

ケロッグ博士曰く、戸川純と椎名林檎は似ている。でも、戸川はニナ・ハーゲンとかの影響が有るけど、椎名林檎にはほとんどない。椎名林檎とヤイコ(矢井田瞳)は似ているけど、椎名林檎は戸川純の影響が有るけどヤイコにはほとんどない。ヤイコとその他最近ヤイコに似たのがいるけど、似た連中からはほとんど林檎の影響が感じない・・・似ていても少しずつ違うものですなぁ・・・

確かにヤイコまでいくと、サブカル的要素は希薄になりますね。椎名林檎にはサブカル的要素があって、看護婦とかは似合うけど、ランドセルの小学生は似合わない。ロリータの要素は戸川純ほど強くない。

その点では、へらへら天然系不思議ちゃんの華原朋美の方に戸川純の面影を感じる。多分、ランドセルの小学生は似合うと思う。

当然、ランドセルが一番似合うのは、天然ノイズ系不思議ちゃんのシノラーこと、篠原ともえです。ケロッグ博士も「石野卓球と組んでいた『チャイム』(1997年)〔アルバム『スーパー・モデル』に収録〕は歴史に残る名曲です! ほとんどオチャラケでなくて実に綺麗なし上がりです。若い時、指くわえて戸川純とか見てたんだろうなぁと思っちゃう。ランドセル背負ってきた時は鳥肌立ったね!」と絶賛。

誰だ?辻・加護が一番似合うと言う奴は? 不思議ちゃんの系譜は続く。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。