世界でいちばん景気の良いクリスマス・ソング、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」を街中で耳にするようになるといよいよ年末、を感じます。2007年はまだ寒くない時期から携帯電話のCMで大量にOAされていたので季節感が少し狂ってしまいましたが。

クリスマス・ソングス イントロダクション

クリスマス・ソングス
V.A. 『クリスマス・ソングス』
口当たりの良いクリスマス・ソングを、POPからROCK、レゲエにR&Bとジャンル、新旧を問わず38曲も収録した2枚組
CDショップでは年末商戦の目玉となるクリスマス向けアイテムが今年も各レコード会社から発売されています。洋楽CDではJohn Lennon & Yoko Onoの「Happy Xmas (War Is Over)」、Mariah Careyの「All I Want for Christmas Is You(邦題:恋人たちのクリスマス)」、Wham!の「Last Christmas」という3強が一気に聴けるコンピレーション『クリスマス・ソングス』が話題です。

これ、J-POPでいったら山下達郎の「クリスマス・イブ」と松任谷由実の「恋人がサンタクロース」、 B'zの「いつかのメリークリスマス」がいっしょに入っているようなものですな。

しかも、(2枚組なのに)散らさないで1枚目の冒頭に立て続けに収録されているあたりに 『R35』(関連記事はコチラ)に代表される今年のコンピレーションの傾向~押して押して押しまくる~を感じます。

しかしクリスマスって、その日がくるのを待ち望んでいる人達だけのものではないですよね。なんの気無しにクリスマス・ソングをハナウタしてしまって、テースト・オブ・苦虫を味わっている、そんな貴兄に次の3曲を捧げます。まるで他人事のように。

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すぐにヴァレンタインがやってくる

■ 第3位 大瀧詠一 「クリスマス音頭」
NIAGARA CALENDAR
大瀧詠一 『NIAGARA CALENDAR』
1ヶ月1曲で日本の1年を楽曲で巡るカレンダー・アルバム 『NIAGARA CALENDAR '78』 をリマスター、CD化したもの

MADなクリスマス・ソング第3位は大瀧詠一作品。タイトル通り音頭のクリスマス・ソングです。

聴かずともなんとなく想像できると思いますが、2人の為の甘い夜には似合わない事この上ない。聴けばわかると思いますが、1人で聴いてもむなしいだけ。相手のいない者同士が集まって騒ぐ時だけに似合いそうな、シチュエーションを選ぶ1曲です(ちゃかし過ぎかな)。

当ガイドサイトでは、できるだけ大瀧作品が出てこないよう気を付けているんですね。というのも日本のロック~ニューミュージック~J-POPという流れの中で、なにかエポックメイキング的な事項を取りあげようと思うとまず大抵、最初に形にしているのが大瀧氏だったりするワケなのです。

この曲、「クリスマス音頭」もそんなもののひとつといえるでしょう。何といってもオリジナルは今から30年前、1977年のクリスマスに発売されているのですから。

ちなみにこの曲が収録されている『NIAGARA CALENDAR』というアルバムには2月の歌として「Blue Valentine's Day」という曲が収録されているので、クリスマスをなんとかやり過ごすことができてもすぐにヴァレンタインがやってくる、そんなキビシイ現実に直面することができます。

過去の作品をAnniversary Editionとしてリマスター再発し続けている大瀧詠一(関連記事はコチラ)。順番から行くと次はこのアルバムということになるので、そちらも期待して待ちたいもので御座います。

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クリスマスに火をつけろ!

■ 第2位 ORIGINAL LOVE 「X'mas no Hi」
変身セット
ORIGINAL LOVE 『変身セット』
バンドからソロへ。ORIGINAL LOVEが最も"変身"した最初の10年を切り取ったBESTアルバムが 『変身』(1999)。その限定BOX仕様がコチラ。同梱されているLIVEアルバム 『XL』 でドラムを叩いているのはCOUCH小島徹也さん(関連記事はコチラ)です

第2位はORIGINAL LOVEの「X'mas no Hi」。メジャー・デビュー以前、田島貴男以外は全員違うメンバーのORIGINAL LOVEによってレコーディングされ、アナログ盤で発売された作品 『original Love』 の収録曲です。

クリスマスの日に呼んだあの人が来なかった。癪だから、隣の家に火をつけちゃった。そんなとんでもない内容の歌です。「日」と「火」がかかっているんですね。

イントロや「クリスマスの火、燃えさかってる」と連呼される部分はクリスマス・ソングらしいコーラス・ワークで録音されていて、その重厚さがまた可笑しさを呼ぶのです。

この曲は、ORIGINAL LOVEの所属事務所Wonderful Worldによって2000年にCD化された『original Love』のほか、BESTアルバムの限定BOX仕様 『変身セット』、インディーズ・レーベル「MINT SOUND」のクリスマス・アルバム 『MINT SOUND'S CHRISTMAS ALBUM』 及びコンピレーション 『MINT SOUND GREATEST HITS VOL.2』 等で聴くことができます。

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【関連リンク】

J-POP史上最もMADなクリスマス・シングル

■ 第1位 柳原幼一郎 「クリスマス・ベル」
DRIVE THRU AMERICA
柳原幼一郎 『DRIVE THRU AMERICA』
アメリカン・ポップス、ロックに意訳した歌詞を載せカヴァーした10曲と、オリジナル2曲からなる1st.ソロ・アルバム(1995)。「クリスマス・ベル」は未収録ですが、必聴の1作です

栄えある(?)第1位は柳原幼一郎※の「クリスマス・ベル」という楽曲です。

※ 柳原幼一郎
三多摩地区を代表する異形のROCKバンド”たま”(1984~2003)のオリジナル・メンバーだった人。バンド脱退後は本名である柳原陽一郎名義で活動中。11月30日に最新作 『ウシはなんでも知っている』 が発売されたばかりです


夢にやぶれクリスマス・イブにこの世からいなくなろうと決心した主人公の、まるで遺書のような歌詞が、少しとぼけた味わいのある柳原のヴォーカルで歌われると、暗さのみじんも感じられなくなるから不思議。

白井良明(ムーンライダーズ)のGeorge Harrisonばりのギターとアレンジも特筆ものです。何を担当しているのかは不明ですが(ドラムかな?)クレジットには鈴木祥子の名前も記されています。

カップリングには、大ヒットを出したアーティストに関わってくる業界人に悪態をつきつつ別れた彼女のことを想うという、全体的にまんべんなくネガティヴな歌詞と、それとはうらはらに陽気な曲調とがバッド・チューニングを引き起こす楽曲「わたしは音楽家」が収録されています。

サンタにもトナカイにも愛想を尽かされる男が4コマ風に描かれたジャケット・アートは黒鉄ヒロシ画。そんな諸人こぞりた 『クリスマス・ベル』 は、もろもろ併せてJ-POP史上最もMADなクリスマス・シングルであると、ここに断定いたします。

既に廃盤の本作は中古盤店でも縮小傾向にある8cm CDである為、探すのはかなり大変だと思われます。しかしそこがキモ。頑張って探して、見つかった頃にはきっとクリスマスも過ぎ去っているんじゃないか、ということでひとつ。

発売元である東芝EMI、もといEMIミュージック・ジャパンは最近、90年代J-POPの名作群を紙ジャケ仕様、ボーナス・トラック付で再発する「standard of 90's」シリーズを先陣切って展開しているので、『DRIVE THRU AMERICA』 がそのリストに入って『クリスマス・ベル』全曲入りで再登場することを願いましょう。


【All About内関連リンク】【関連リンク】
  • 柳原陽一郎オフィシャル・サイト Yananet
  • ロックンロールニュース 「standard of 90's x rock'n'roll news」
    リリー・フランキーのオフィシャル・サイト「ロックンロールニュース」による「standard of 90's」シリーズ特集記事シリーズ。初期作品を 「恥ずかしくて聴くに堪えない」 と語る田島貴男インタビューが面白すぎ!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。