時代は廻る。「渋谷系」再評価の気運も高まる今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。そんな9月のある日、1枚のCDRが届きました。NOROの『LOVE SWEET DREAM』。ジャケット写真からもホームページからも日本人であることはハッキリわかるのに醸し出されている雰囲気はなんだか国籍不明です。

そして音を聴いてみたら、10曲に込められた情報量の多さがなんとも楽しい作品だったのです。なんだろう、新しさと懐かしさを同時に感じさせるこの感じ……そうか、これって渋谷系じゃん!

ドリーミーでレトロフューチャーな2007年型渋谷系アルバム
NORO 『LOVE SWEET DREAM』

LOVE SWEET DREAM
NORO 『LOVE SWEET DREAM』
ワールドワイドに配信販売されている1st.アルバム。「TAKE ON ME」は国内ヴァージョンにしか入っていないので要注意!
そんな渋谷系っぽさを決定づけているのがヴィブラフォンとドゥビドゥビ・コーラスが踊る2曲目、「ドゥビドゥビ・アー!」。

J-POPで「ドゥビドゥビ(ダバダバ?)もの」を代表する曲といえば、やはりフリッパーズ・ギターの「恋とマシンガン」(『CAMERA TALK』 収録)でしょう。以前、日産マーチCMで話題となった中塚武アレンジ・ヴァージョンも記憶に新しいところです。

「ドゥビドゥビもの」は渋谷系ムーブメントに便乗しようと現れた後追い組の必須項目でしたっけ。そして誰も本家を越えられなかったんですね。本物感が足りなかったというか。「恋と~」のコーラスも映画『黄金の7人』の サントラ からの引用だった訳ですけれど、こちらには得も知れぬ説得力がありました。

全10曲の収録曲の内1曲がカヴァーで、これがa-ha「TAKE ON ME」をラヴァーズ・ロック化したもの。この大ネタすぎて並のアーティストなら避けて通りそうな80年代POP ROCKの大ヒット曲を臆することなくやってしまうあたり、器の大きさを感じさせます。

そんなPOPな楽曲群と、イントロで響くお寺の鐘や木魚の音が呪術的な効果を生みだし曲の世界に誘うDUB「南風~The Southern Wind」が違和感なく並びます。

こんな調子で様々な要素が詰め込まれているのに、とっちらからずにアルバム全体がドリーミー(かつほんのりスペイシー)なムードで統一されているのは何といっても彼女の歌声によるところが大。しかもこれ、アレンジやプログラミング、エンジニアリングを含めたセルフ・プロデュースなんですね。

本人は「オールインワンの省エネシンガー」なんて軽い感じで言ってますけど。

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