最先端ジャズの展開を知ろう

さて、いよいよこの記事も最後の1クール。10~12月では、最先端のジャズをいくつか取り上げて見ましょう。

■10月:EQ『The Earth Quartet』
EQ『The Earth Quartet』
EQ『The Earth Quartet』
2003年リリース 1. Four Arrows
2. Mingo’s Step
3. Morning Mist
4. Soleil Levant
5. It’s Urgent
6. NENE
7. Sleeping Tiger
8. Milesmile
9. Living in Valley
10. Where has the Rainbow gone
小池修(sx)、青柳誠(p)、納浩一(b)、大坂昌彦(dr)ら4人によるスーパージャズユニット「EQ」のデビュー作が本作です。

この4人は、これ以前の段階ですでに、日本のジャズ界屈指のプレイヤーとして知られていましたが、小池修の声かけによりユニットを結成。そのコンセプトは、オリジナルを中心に、アレンジを練って、特定のリーダーを置かないユニットとして活動する、というものでした。

彼らがこうしたコンセプトのもとユニットを結成した背景には、安易なセッション録音のものが市場の大半を占めるという、日本ジャズ界への危機感があったものと思われます。

今回の記事の1~3月で紹介したマイルスのマラソン・セッションに代表されるように、その日に合ったばかりのメンバーが、譜面ひとつで完成度の高い録音を行うことができる、というのはジャズという音楽が持つ強みのひとつではあります。しかし、そのメリットの影で、バンドで音を練り、1つの作品を完成させるという、他の音楽ジャンルであればあたりまえの作業がおざなりにされてきた側面がありました。

EQの登場は、そうした傾向に対する明確な答えとなっていました。練りに練ったアレンジのもと、最高のメンバーが演奏を行えばどんなことになるのか。その答えがここにあります。

■11月:Steely Dan『Two Against Nature』
Steely Dan『Two Against Nature』
Steely Dan『Two Against Nature』
2000年。
1. Gaslighting Abbie
2. What a Shame About Me
3. Two Against Nature
4. Janie Runaway
5. Almost Gothic
6. Jack of Speed
7. Cousin Dupree
8. Negative Girl
9. West of Hollywood
アレンジを究極まで煮詰めるとどういうことになるのか? という問いのひとつの答えが、このSteely Danというユニットです。もともとスタジオミュージシャンだった中核メンバーが、アレンジにこだわりぬいた音楽をやろうということで集ったユニットです。

彼らの音楽は、厳密にいうとジャズではなく、ジャズの知的な部分を吸収したロック、ということができるでしょう。ただ、その精神はいわゆるロックンロールからは程遠く、むしろコルトレーンやエヴァンスらに共通するような、実験・研究精神に満ち満ちたものといえます。

テクニカルだけれど、テクニックを前面に押し出すわけではなく、理論的だけれど、充分に歌っているフレーズ。私は、彼らの音楽をジャズの進化形の1つとして捉えています。

■12月:ブラッド・メルドー、パット・メセニー『メセニー・メルドー』
ブラッド・メルドー、パット・メセニー『メセニー・メルドー』
ブラッド・メルドー、パット・メセニー『メセニー・メルドー』
2006年リリース。ブラッド・メルドー(p)、パット・メセニー(g)
1. 報われぬ思い
2. アーミッド-6
3. サマー・デイ
4. リング・オブ・ライフ
5. レジェンド
6. ファインド・ミー・イン・ユア・ドリームス
7. セイ・ザ・ブラザーズ・ネーム
8. バチェラーズ・スリー
9. アニーズ・ビタースウィート・ケーキ
10. メイク・ピース
最後にご紹介するのは、現役の2人のスターです。ギターのパット・メセニー、ピアノのブラッド・メルドー。文句なく、現役ミュージシャンの中ではもっとも最先端かつ、大衆性をも獲得している二人です。

本作は、2人のデュオアルバムですが、ギター&ピアノとは思えない、異様な熱のある、盛り上がった演奏を聴かせてくれます。

彼らのプレーの背景にあるのはパウエルやパーカーらのビバップ、それからガーランド、エヴァンス、マイルスらのさまざまな取り組み、その後に現れた数多の天才たちの足跡です。

こうした最先端のジャズの背景に、この記事で紹介したような40~60年代のジャズの片鱗が聞えてくるようになれば、あなたも立派な「ジャズ通」でしょう。

今回の記事はいかがだったでしょうか? ご感想などお寄せいただければ幸いです。





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