All About ジャズガイドサイト作成のジャズ用語集です。ここでの用語解説は、Wikipedia、『明解・音楽用語辞典』(ドレミ楽譜出版社)などを参考にした上で、ガイドがジャズに特化した用語解説を行っています。

今回は「ま~ん」行です。

■ジャズ用語集2007 ま~ん行
MIDI
ミュゼット
ミンストレルショー(minstrel show)
無調
モード(mode)
ラグタイム(ragtime)
ラテン・ミュージック(Latin music)
リズム(rhythem)
リズム&ブルース(R&B;Rhythm and blues)
リズムセクション(rhythm section)
リタルダンド(ritardando)
リディアン・クロマチック・コンセプト(LCC;Lidian Cromachic Concept)
ルート(root)
ルバート(rubato)
レコード(record)
和声法(harmony)

MIDI

[みでぃ] “Musical Instrument Digital Interface”の略。

現在、世界でもっとも普及している音楽情報のデジタルデータ形式であり、音程、音の長さ、音量、アーティキュレーションなど、楽譜以上に多くの音楽情報を書き込むことができ、そのデータを音源となるシンセサイザーなどのデジタル機器に送信することによって、自由に再生することができる。

ジャズにおいては、その根幹が即興演奏である点や、時代的なズレもあり、MIDIとジャズの関係が語られることはあまりない。

ただ、MIDIの登場が、無意識レベルでリスナーの音楽観を変容させたことはおそらく間違いなく、その影響はジャズ鑑賞・演奏の世界においても、避けられない。

●参考記事

「ジャズ鑑賞のWhere & How その5 MIDI的音楽観とジャズの未来」

ミュゼット

[みゅぜっと] フランスの古典民族楽器の一種で、一般的にはそれを中心に演奏された民族音楽の一ジャンル、特に19世紀末から20世紀はじめにフランスで流行したバル・ミュゼットを指すことが多い。

ミュゼット楽曲を演奏する場合は本来のミュゼットに代わり、オーボエなどの管楽器や、アコーディオンが用いられるケースが多い。また、ミュゼット独特のビブラートを再現するために、特殊なチューニングが用いられることもある。

楽曲の特色としては独特の粘りのある三拍子で、ギター、アコーディオンなどが即興的に演奏を行う。ジャズ界では、ジャンゴ・ラインハルトやステファン・グラッペリなど大陸系のジャズ・ジャイアンツに、ミュゼットのニュアンスを感じることができる。

ミンストレルショー(minstrel show)

[みんすとれるしょー] 19世紀アメリカの大衆芸能。靴墨などで顔面を黒く塗った白人が、黒人のダンスや歌の物まねを行い、多くの観客を集めたといわれている。

ミンストレルショーがその後のアメリカのショービジネスや芸能分野に残した正・負合いまみれた遺産は大きなものだった。たとえば奴隷解放以降に、ショービジネスに参入し始めた黒人たちは、自分たちの素肌である褐色を、靴墨で塗りつぶして舞台に立ったという。つまり彼らは、白人芸人がステレオタイプ化した「黒人」を演じたのだ。

ジャズ界における最初の黒人スターであるルイ・アームストロングは、生涯、白人が求める「黒人」を演じ続けたが、その後に続く世代であるチャールズ・ミンガスやマイルス・ディヴィスたちは、ルイやディジー・ガレスピーらが「誤った黒人像」を演じていることに批判的だったとされる。

ミンストレルショーを象徴とする、アメリカ社会における「黒と白」の構図は、単なる差別・被差別を超えた複雑な様相を呈する。マイケル・ジャクソンはなぜ白人になろうとするのか? OJシンプソンは、なぜ黒人になろうとする(OJシンプソンは、裁判が進行するにつれ、自らの黒人性を全面に押し出すようになった)のか。

ジャズにおいても、日本のジャズスラングでいうところの「クロさ」の問題など、ミンストレルショーの分析にまでさかのぼることで見えてくる問題は少なくない。


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無調

[むちょう] 調性のない音楽のこと。

17世紀以降に確立されたといわれる機能和声を基軸とする西洋調性音楽は、現代にいたるまで世界の音楽シーンにおいての覇権を握っているといえる。

しかしながら一方で、調性音楽に対するアンチテーゼとしての無調音楽は19世紀以降さまざまな試みが重ねられ、その一部は再び調性音楽に吸収されつつ、調性音楽と同時に存在している。

無調音楽の大立て者はシェーンベルグだが、21世紀の今日となっては、著名な現代音楽作家の楽曲には、どれをとっても少なからず「無調」の側面が存在しているといえる。

モード(mode)

[もーど] ~奏法、~音楽。

マイルス・ディヴィス『カインド・オブ・ブルー』
マイルス・ディヴィス『カインド・オブ・ブルー』
1959年録音。ビル・エヴァンス、コルトレーンなど、この後(というより同時に)、モードジャズを牽引していく逸材が顔を合わせた傑作。
モードとは音階、調のことであり、ジャズの場合は和声進行(コード・プログレッション)によって楽曲が展開するビバップ、ハードバップに対し、さらにアドリヴを自由に展開するために用いられた手法。50年代後半にマイルス・ディヴィス(tp)らが主導して、研究が進められた。

ビバップ、ハードバップは、楽曲が持つ旋律から離れ、楽曲の和声進行を足がかりに、従来よりも自由な演奏を行う方法を確立したわけだが、モードは、そこから和声進行による縛りを外して、調性のみによってアドリヴ、ひいては音楽を構成しようという意図を持っていた。

イオニアン、リディアン、エオリアンなど、さまざまなスケールに基づいて作曲、アドリヴを行うこのような手法を前面に押し出した作品が1958年発表のマイルス・ディヴィス「カインド・オブ・ブルー」とされている。

その後、こうしたモードを前面に押し出した音楽以外でも、部分的にモーダル(モードを基調とした)な要素を加えた音楽が多数登場することになる。現在ではジャズに限らず、ヒップホップ、ダンスミュージックなどにおいて、モードの考え方は欠かせない音楽的要素となっている。

ラグタイム(ragtime)

[らぐたいむ] 19世紀後半、アメリカの黒人ピアニストらが作り上げたピアノ演奏スタイル。左手の2拍子の伴奏に合わせて、右手はシンコペーションしたフレーズを奏でる。スコット・ジョプリンが名手として名高い。

モダンジャズのようなインプロヴィゼーションは基本的に行わないが、音楽形式としては極めてジャズのスタイルにも近く、ジャズピアニストでも、セロニアス・モンクをはじめ、そのスタイルに取り入れているケースは少なくない。

ラテン・ミュージック(Latin music)

[らてんみゅーじっく] ブラジル、アルゼンチンなどの南米、あるいはキューバ、ジャマイカ、メキシコなどの中南米音楽の総称。

大陸的な2ビートに、黒人特有の律動が融合した、多種多様なリズムビートが特徴。


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リズム(rhythem)

[りずむ] 楽曲全体に繰り返し登場する、有音・無音の時間的パターンのこと。メロディ(旋律)、ハーモニー(和声)とともに音楽の三大構成要素の1つと言われる。

リズムは非常に定義が難しい概念だが、リスナーが音楽を楽しむ際には、ごく自然にリズムを楽しんでいるものと思われる。

論理的には、上記のように有音・無音の組み合わせが、聴く者にリズムを感じさせるわけだが、実際にリスナーがリズムを感じるためには、有音・無音だけではなく、音の強弱や微妙なタイミングの差違、さらには演奏者・聴衆のリズム意識の問題など、多くの要素が含まれており、現実的な分析は困難を極める。

ジャズの場合でも、スウィング、ビバップ、モダンジャズなど、時代・演奏者によって、産み出されているリズムには違いがあり、その違いこそが時代の空気感や、演奏者の個性を構成する大きな要素となっている。

また、ジャズという音楽は、ジャズ固有の少し跳ねたリズムとは別に、サンバなどのラテン音楽やカリブ海のリズム、あるいはワルツやタンゴなど、さまざまなジャンルの音楽が持つリズムをどん欲に取り入れてきた歴史があり、ジャズ演奏者・リスナーにとって、ジャズのリズムは、とりわけ歯ごたえのある要素となっている。

リズム&ブルース(R&B;Rhythm and blues)

[りずむあんどぶるーす] 1940年代に誕生した、アメリカ黒人の大衆音楽。ジャズやブルース、ゴスペルなどの発生・発展と期を一にしている。

リズム&ブルースは60年代に一度完成系を見、一部のロックミュージシャン、あるいはソウルミュージックに受け入れられていくが、その後、80-90年代になると、同じR&B、リズム&ブルースという呼称がついているものの、まったく別物のの、洗練されたリズムと表現を獲得した都会的な音楽が誕生する。

現在、一般的にR&Bといった場合には後者を差し、演奏も生演奏というよりは打ち込み中心で、ヴォーカリストの歌謡を楽しむ、歌謡曲的色彩の強い音楽となっている。

●関連語
ファンキー
ハードバップ

リズムセクション(rhythm section)

[りずむせくしょん] ビッグバンドにおける、ピアノ、ギター、ベース、ドラムスを指す。演奏における、リズム・テンポキープを大きな役割とする楽器群のこと。

このほか、サックスセクション、トランペットセクション、トロンボーンセクションなどを合わせたものが、一般的なビッグバンドの構成となる。

また、コンボなど小グループにおいても、ベース、ドラムなどをリズムセクションなどと呼ぶ場合も多い。

●関連語
ビッグバンド

リタルダンド(ritardando)

[りたるだんど] だんだんと遅く演奏すること。譜面におけるその指定。

●例文
「エンディング4小節はリタルダンドで終わります」

●関連用語
イン・テンポ(in tempo)
ルバート(rubato)

リディアン・クロマチック・コンセプト(LCC;Lidian Cromachic Concept)

[りでぃあん・くろまちっく・こんせぷと] ジョージ・ラッセルが1950年代に提唱した音楽理論。バークリー・メソッドに代表される機能和声法へのカウンターセオリーとされる。

機能和声法の音楽環境においては、基本的に調は長調(メジャー)と、数種の短調(マイナー、メロディックマイナーなど)に分類され、それぞれの調性内に登場するダイアトニックコードを中心に和声の流れを分析する。

これは和声進行の機能(機能和声)を分析するには優れた方法であり、多くのミュージシャンが信奉している一方、長調と短調の行き来がスムーズでなかったり、短調やブルースの解釈に無理があるなど、理論としての「穴」もしばしば指摘されている。

ジョージ・ラッセルは著書の中で、LCCは、バークリー・メソッドに見られるこれらの弱点をすべてカバーする理論であることを強調している。

ただ、その理論の詳細についてはLCCの会員となり、直接セミナーを受講しないと教えてもらえないなど、一種カルト的な色彩を帯びている側面もあり、一般的には明かでない。

ラッセルの著書は非常に高額で、しかも難解であるため、直接師事を受けていない私にとってはいまひとつその論旨は明快ではない。入手した範囲の情報内でいえることは、LCCは、その名のとおり、リディアンスケール(FGABCDE)を和声の中心におき、メジャー、マイナー、ブルースなど、あらゆる調性音楽を同一の理論でアナライズできるということを標榜しているということ程度である。

●関連語
機能和声
和声法(harmony)
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ルート(root)

[るーと] 根音。調、あるいはコード(和音)の基礎となる音を指す。すべての調、コードはルートを土台として組立てられている。 ●関連語
和声法(harmony)
コード
調性

ルバート(rubato)

[るばーと] 自由なテンポで演奏すること。および、譜面におけるその指定。

●例文
「1コーラス目は、ギターソロがルバートでテーマを弾きます。ドラム、ベースはその終わり4小節からインテンポで入ってきて下さい)

●関連用語
イン・テンポ(in tempo)
リタルダンド(ritardando)

レコード(record)

[れこーど] ポリ塩化ビニル製・円形の音楽記録媒体の総称。もっとも大量に流通したLP盤のほか、SP盤、EP盤など、さまざまな規格が歴史に登場している。

1877年にトーマス・エジソンによって発明されたレコードは、その後、1887年頃からはSP盤と呼ばれる、回転数 78r.p.m. 直径 30cm(12インチ)または25cm(10インチ) 両面(初期は片面) の規格で流通するようになる。当時の素材はゴム、エボナイトなどさまざまであったが、じょじょに天然樹脂のシェラックが流通。その後流通する塩化ビニルに比して割れやすかったため、俗に「瓦盤」とも呼ばれた。

SPにとって変わることになるLP、EPが登場するのは1940年代になってからのこと。片面4分30秒程度しか録音できず、音質面や保存面でも問題があったSP盤は、ポリ塩化ビニルで作られたLP・EPに、急速にとって変わられることとなった。

レコードは、針によって盤面の凹凸を読み取り再生する仕組みであるため、埃や振動に影響されやすく、再生回数が増えると音溝の破壊により高域が減衰していくなどの問題点があり、80年代に登場したコンパクトディスク(CD)に、記録媒体の主役を譲ることとなった。

ただし、レコードは、原理的にはコンパクトディスクで欠落する20kHz以上の周波数帯域を損なわない特徴があり、オーディオマニアを中心に、音質を重視する人々からはいまだ、高い注目を集めているメディアである。

●関連語
SP盤 (Standard Playing)
LP盤 (Long Playing)
EP盤 (Extended Playing)
12インチシングル盤
CD(compact disc)

和声法(harmony)

[わせいほう] 音楽理論用語のひとつで、和音の進行、声部の導き方、あるいはその配置の組み合わせのこと。メロディ(旋律)、リズム(律動)と共に音楽の三要素のひとつである。

ジャズの場合、和声法は一般的にバークリー・メソッドなどに取り入れられた機能和声の考え方を指す。

機能和声とは、個々の和音にその根音と調との関係に従って役割があると考えるもの。ジャズのアドリヴは基本的にこの機能和声法によってアナライズが可能であり、ジャズ独特の音楽学習のほとんどは、この機能和声法の実践的習得に費やされる。

一方、機能和声法の理論的枠組みから逸脱する音楽的要素は、代表的なものにブルーノートなどがあるが、これらを体系的に説明するために、機能和声法に変わる種種の音楽理論が提案されている。代表的なものにジョージ・ラッセルが提案したリディアン・クロマチック・コンセプトがある。
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