■浜田真理子『MARIKO』
浜田真理子『MARIKO』
浜田真理子『MARIKO』
98年リリースの1stアルバム。
1. THE CROW
2. SYUJI
3. のこされし者のうた
4. SEPTEMBER
5. Mariko'sBLUES
6. song never sung
7. COUNTRY SONG
8. AMERICA
9. WALTZ FOR WOODY
98年、島根の地元レーベルPLANKTONEからリリースされた1stアルバム。インディーズにもかかわらず、地方紙で紹介されるや、音楽ファンの間で伝説的な存在となった。英語詩によるジャズナンバーが中心だが、ジャズと歌謡曲の中間で漂うよったようなハイブリッドなヴォーカルが魅力。

私が彼女の歌を聴いたのは今年に入ってから。友人の紹介で購入した本作と、次に紹介する『あなたへ』に震えた。いわゆる「本格派」ジャズが好き、という方にあまりお勧めできる歌い手ではないが、ノージャンルで音楽を愛している方なら、誰もが一定の評価を与えると思う。

■浜田真理子『あなたへ』
浜田真理子『あなたへ』
浜田真理子『あなたへ』
02年リリースの2ndアルバム。日本語による詩によって、浜田真理子の世界観が強く浮き彫りになる一枚。
1. 純愛
2. 理由
3. Fruitless Love
4. 月に聞く
5. 月の記憶(アルバム・ヴァージョン)
6. あしくび
7. 四十雀
8. 聖歌~はじまりの日~(アルバム・ヴァージョン)
9. あなたへ
1stアルバムが再プレスされたのが01年、本作はそれを受けての第2作で、ライブではすでにおなじみだった日本語詩による9作を収録。前作に引き続きピアノ1本での弾き語りだが、日本語詩であるため、聴く者により「浜田ワールド」が伝わりやすい内容になっていると思う。

「1.純愛」の強烈な歌詞と、それを歌い上げる表現力に見られるように、浜田は日本型のポップス歌手としても高いアピール力を持っていると思う。しかし一方で、彼女の声が持つストレートトーン(?)とシンプルなピアノバッキングの絡み合いは何ともいえず絶妙で、彼女が単なる「歌い手」ではなく、舞台上にトータルな音の世界を造り出すアーティストであることを忘れてはならないとも思うのだ。

■EQ『The Earth Quartet』
EQ『The Earth Quartet』
EQ『The Earth Quartet』
03年リリースのEQ、1stアルバム。小池修(sax)、青柳誠(p)、納浩一(b)、大坂昌彦(dr)という実力派4人が、「日本のジャズを変えたい」という強いモチベーションを持って挑んだ橋頭堡である。
1.Four Arrows
2.Mingo’s Step
3.Morning Mist
4.Soleil Levant
5.It’s Urgent
6.NENE
7.Sleeping Tiger
8.Milesmile
9.Living in Valley
10.Where has the Rainbow gone
小池修(sax)、青柳誠(p)、納浩一(b)、大坂昌彦(dr)。それぞれのパートでの現役トップミュージシャンが4人集まって作ったユニット。しかしそのことだけなら過去に失敗例は山ほどある。大物ミュージシャンになればなるほど、スケジュール調整がタイトでリハーサルも満足にできず、当日リハのセッションライブでお茶を濁して終了、というケースは枚挙にいとまがない。

しかし、EQは違った。4人それぞれが曲を出し合い、アレンジのアイデアを出し合い、リハーサルを重ねて曲を作り上げる。他の芸術ジャンルであればある意味当然の作業を、長らく日本のジャズ界は忘れてきた(そこには予算的、時間的、労力的制約があったとしても)のではないか、このファーストアルバムを聴いた僕はそんなことを思ったのである。

■EQ『Imperfect Completeness』
EQ『Imperfect Completeness』
EQ『Imperfect Completeness』
小池修(sax)、青柳誠(p)、納浩一(b)、大坂昌彦(dr)のユニット「EQ」が04年にリリースした2ndアルバム。前作に比してより遊び心に富んだ内容となっている。
1.Mr.g
2.Double Down
3.Earth Ship
4.Entropy
5.Wandering In Forest
6.Circulation
7.Weightlessness
8.The Lullaby Of Peach
9.A Cat On The Catwalk
10.Escape 11.Merman
12.Minotaur
別にジャズに限ったことではないけれど、新ユニットの正否は2作目で占えると思う。実力的に折り紙付きの彼らの場合、心配なのはモチベーションの継続度だが、僕は「引き続き高いテンションを保っているな」と感心したことを覚えている。

とはいえ、一作目のように突き刺さるような緊張感は感じられない。むしろ、遊び心、浮遊感のある作品がラインナップに加えられ、ニヤリとさせられる場面も少なくない。特に「7.Weightlessness」は、「よくこれで壊れずに演奏できるものだな」と素直に感心させられてしまうような浮遊感だ。

■EQ『Third Report』
EQ『Third Report』
EQ『Third Report』
小池修(sax)、青柳誠(p)、納浩一(b)、大坂昌彦(dr)のユニット「EQ」が05年にリリースした3rdアルバム。相変わらずのスピード感で、日本人の最先端ジャズが味わえる。
1.アット・ジ・エントランス…
2.クロマティズム
3.ザ・ポレスター
4.雨下の砂漠
5.サイレンス
6.ホッピン・ステッピン
7.春夏
8.エモーショナル・クオリティ
9.…ア・ウエイ…
EQ結成から3年目の3作目。「日本のジャズを変えたい」を合言葉に結成されたEQが創り出す音楽は、ジャズ批評誌などでもアコースティックジャズの正当な後継者として絶賛されてきた。本作では(これまでも取り入れてなかったわけではないのだが)、納がエレキベースを大々的に使用し、青柳もエレピサウンドを前面に押し出すなど、音造りの面で半歩踏み出したようなコンセプトになっている。

とはいえ、アコースティックジャズの正当な後継者としての世間的な評価は(それでも)あまり変わらないだろう。「1.アット・ジ・エントランス…」からはじまり「9.…ア・ウエイ…」で終わる9作を連続して聞くと、まるでライブの1セットを聴いたかのように錯覚する。彼らの音楽は、基本的にライブパフォーマンスを前提にしているし、例え楽器が変わろうとも、その意味で「ジャズ」の枠組みを大きく外れることは今後もないだろうと感じる。

ただ、だからといって彼らの音楽がいわゆる新主流派(ハンコック、マッコイ・タイナー)の日本版(それも安易な)に過ぎないのかというと、180度「別物」と申し上げてもよいかと思う。ジャズの枠の中ではあるが、どこか「突端」あるいは「突き抜けたところ」に彼らの音楽はある。少なくとも「誰かの後」を追いかけているような音楽とはわけが違う。気負いはないが、気合いはある、そんな力強さが感じられる音楽なのだ。

また、その力強さは「日本的旋律」といったローカルな因子によるものでない。この国でジャズという音楽が半世紀にわたって培ってきた「何か」が、確実に彼らの中で花開いていることによっている、と僕には感じられ、そのことが彼らの音楽の世界的な価値を高めていると僕は思う。ニューヨークやヨーロッパのジャズファンに紹介してほしいグループだと思う。

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