FL Studioによく似た音楽制作ソフト、LMMSというものをご存知でしょうか?これはLinux生まれのフリーウェアで、Windowsでも動作するというソフトで、数多くのソフトシンセやエフェクトが搭載されています。

LMMSはLinuxの世界で生まれたフリーウェア

LMMS
Linux生まれの音楽制作ソフトで、Windowsでも動作するフリーウェア、LMMS
今回紹介するLMMSというソフト。これはLinux MultiMedia Studioの略で、その名前からも想像できるとおり、Linuxで生まれた音楽制作ソフトです。

もっとも、Linuxなんて使ったこともないし、まったく分からないという人が大半でしょう。私自身も、ついこの前まで、まったく触ったこともなかったのですが、半年ほど前にUbuntuというOSに出会って以来、マイブームとなっているところです。そのUbuntuを使っていて、その存在を知ったのがこのLMMSというソフトです。しかし、頭にLinuxという名称がついてはいるものの、実はWindows版もリリースされており、実際のところUbuntuバージョンよりもWindows版のほうが安定して動作してくれました。

そこで、今回はWindows版を使いながら、これがどんなソフトなのかを紹介しましょう。


コンセプトはFL Studioとそっくり

LMMS
LMMSの音楽制作の流れなど、コンセプト的にはFL Studioにかなり近い
最近、「音楽制作ソフト=DAW」という風潮ではありますが、このLMMSはいわゆるDAWやMIDIシーケンスソフトとは一風異なるもの。

コンセプト的には、ベルギーのImage Line社が開発したFL Studio(古くはFruity Loopsという名称だった)にそっくりなもので、トラックに内蔵のソフトシンセを読み込み、MIDIのパターンを作っていくというもの。ユーザーインターフェイス的にもFL Studioとよく似たものとなっています。

実際FL Studioのデータをインポートすることもできるようになっており、このことからもFL Studioをかなり意識して作ったソフトと思われます。

数多くのサンプリングデータを標準装備

LMMS
サンプルデータをソングエディタへエディットすると、その音によるトラックが作成される
では、そのLMMSの使い方を具体的に見ていきましょう。画面左側に、いくつかのタブがあるのですが、この中からマイサンプルというものを選ぶと、basses、beats,
drums、instruments、latin、shapes……というフォルダがあり、この中に数多くのサンプリングデータが収められています。

ちょっとユニークなのは、このデータの拡張子がoggとなっており、OggVorbisというMP3のような圧縮オーディオであること。そのファイルをマウスで選択すると、どんな音色なのかをプレビューでき、これをソングエディタへとドラッグ&ドロップでもっていくと、トラックが作成される仕組みになっています。

そう、この作業によって、MIDIトラックがひとつできたので、ここにMIDIデータを打ち込んでいけばいいわけです。もちろん、読み込んだ音は自由に音階や音長を変化させることが可能になっており、そのためにサンプリング・シンセサイザも立ち上がります。そして、必要に応じてシンセサイザとして音色を変化させることも可能になっているのです。


TB303風やアナログシンセなども使える

LMMS
TB-303をエミュレーションしたベースシンセ、LB302
LMMSで利用できるシンセサイザは、このサンプリング・シンセサイザだけではありません。

楽器プラグインタブを開くと、ここに14種類の楽器名が表示されます。この中にはLB302というTB-303を真似たベース音源、FreeBoyというGameBoyの音源をエミュレーションしたもの、Triple Oscillatorという3つのVCOを持つアナログシンセサイザ、さらにはOrganicというオルガン、Sf2 PlayerというSoundFont対応のサンプリング音源などさまざま。

これを先ほどのサンプリングデータと同様にソングエディタへドラッグ&ドロップで持っていくだけで、その音源を組み込んだトラックが作成されるようになっているのです。

MIDI入力はピアノロールを用いる

LMMS
MIDIデータの入力はピアノロールエディタを利用する
では、どうやってMIDIデータを入力していくのでしょうか?

これはソングエディタからピアノロールを開くことで行います。まあ、いわゆるピアノロールなので、説明するまでもないでしょう。マウスを使って入力していくこともできるし、MIDIキーボードからリアルタイムレコーディングによって入力していくこともできます。

入力したデータに対してクォンタイズをかけることもできるので、MIDIキーボードを持っているなら、これを使うことによって、入力効率を大きく上げることが可能なはずです。必要に応じて、画面下側の棒グラフでベロシティやパンの調整も可能ですが、あまり複雑なエディット機能は装備していません。


ビート+ベースラインエディタで簡単入力

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TR-808/909のようなドラムマシン風なデータ入力ができるビート+ベースラインエディタ
一方、もっと手軽に入力できるのが「ビート+ベースラインエディタ」というものです。

ソングエディタ内に、「beat+bassline」を追加すると、別途「ベート+ベースライン エディタ」というものが開き、ここでデータ入力していくことができます。その名前からも想像できるとおり、これはドラムやベースラインを入力するためのものであり、TR-808/909のようなドラムマシン風なスタイルでのステップ入力が可能であり、1つパターンを作れば、それを必要に応じて並べることで、繰り返し演奏することができます。

またベースラインにおいては、ピアノロールでの入力となるのですが、これもパターンとして登録されるため、ドラムパターン同様、ソングエディタ上で繰り返し演奏させることが可能です。

Linuxから移植されたエフェクトも多数使える

LMMS
LADSPAというプラグイン規格のエフェクトが多数収録されている
このようにLMMSではソングエディタとベース+ベースラインエディタでデータ入力をしていくわけですが、曲を作り上げていくためには、やはりエフェクトも利用したいところです。シンセサイザで音を作りこんだとしても、フランジャーやディストーションをかけてみたいという要望も出てくるでしょうし、システムエフェクトとしてリバーブやコーラスをかけたいということもあるでしょう。

そうしたものに対応するため、LMMSにはEQ、コンプレッサなどのダイナミックス系から、ディレイ、リバーブなどの空間系、コーラス、フランジャーなどのモジュレーション系など、一通りのものが何でも揃っています。

そして、これらはプラグインのエフェクトなのですが、VSTやDirectXではないのがLinux生まれのLMMSの特徴ともいえます。そう、これはLADSPA(Linux Audio Developer's Simple Plugin API)というプラグイン規格であり、Linux上で使われているもの。それが、Windowsへもそのまま移植されて、使えるようになっているのです。もっとも、LMMS以外、ほとんどWindows上で使われることはないので、LMMS内蔵の独自エフェクトであると考えてもいいかもしれません。


VSTiも使えるがASIOは非サポート

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VSTインストゥルメントは利用できるが、ASIOは使えない
このエフェクトはあくまでもLADSPA対応のものだけですが、ソフトシンセは、VSTインストゥルメントも利用できるようになっています。実は、Linux版のLMMSでもWindows用のVSTインストゥルメントが使えるような工夫がされており、それがそのままWindows版でも使えるようになっているのです。

具体的には「VeSTige」というラッパー(アダプタソフト)を通じてVSTインストゥルメントが使えるようになっており、100%何でもOKというわけにはいかないようですが、多くのVSTインストゥルメントが利用できます。

一方、LMMSを使っていてひとつネックになるのがオーディオドライバです。通常のWindows用ソフトはどれもASIOドライバに対応していますが、これに対応していないのです。その代わりにSDL(Simple DirectMedia Layer)というLinuxで広く使われているAPIが採用されています。Windowsの場合、これを通じてDirectSoundにアクセスしているため、DirectSound相当であると考えてよさそうです。

問題はレイテンシー。バッファサイズを小さくすることで、表示上1.5msecにまで小さくすることが、使った感じではやはり50msec以上はありそうで、MIDIからのリアルタイムレコーディングは、やや扱いにくいという感じでした。

とはいえ、まだバージョン0.4.4と発展途上のLMMS。今後のバージョンアップが楽しみです。


【関連サイト】
LMMS - Linux MultiMedia Studio
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