DAWとは一線を画すレコーディングソフト

Propellerhead Software Record
Propellerhead Softwareから従来のDAWとは異なる新世代レコーディングソフト、Recordが発表された
Reasonで有名なスウェーデンのソフトメーカー、Propellerhead Softwareから、新製品「Record」が今年9月に発売されると発表されました。

発表によるとRecordは従来のDAWとは一線を画す、ミュージシャンのためのレコーディング・ソフトであるとのこと。コンピュータの中でレコーディング・スタジオと同じ機材を利用することができ、実際のハードウェアを操作する感覚でオペレーションが可能な、分かりやすいユーザー・インターフェースを備えているのが特徴です。


Propellerhead Software Record
YouTubeに掲載されているRecordのプロモーションビデオ
まだ筆者自身、このソフトを触ったことはないのですが、スペックやキャプチャされる画面やプロモーションビデオを見ると、久しぶりにワクワクする感じのソフトのようです。どんなソフトなのか、その概要を紹介していきましょう。


オーディオを自在に扱えるようにしたReason!?

Propellerhead Software Record
Reasonと非常によく似たLook&FeelのRecordの画面
では、DAWとは異なるレコーディングソフトって、どんなものなのでしょうか?

Recordを一目見た感じの印象は、やはりReasonの兄弟ソフト。実際、Reasonと同じモジュールもいくつか搭載されているようですし、ラックを使ってモジュールを組み合わせていく考え方も同様のようです。ただ、ご存知のとおり、Reasonは基本的にシンセサイザとエフェクト、それにMIDIシーケンサで構成され音楽を作っていくソフトであり、オーディオが扱えないというのが特徴でもあったのです。ボーカルを入れたいとか、自分で弾いたギターをレコーディングするという機能は持っていなかったのです。

それに対し、Recordはオーディオも自由に扱えるように、Reasonの仕様を大きく変更したものと考えると分かりやすいそうです。もちろんReasonを拡張したとか、Reasonのバージョンアップ版というのではなく、ラックでモジュールを組み合わせるという考え方を引き継ぎながら、オーディオレコーディングができる新ソフトとなったというわけです。

ミキサーとラック、シーケンサの3部構成

Propellerhead Software Record
Recordはミキサー、ラック、シーケンサの大きく3つから構成されている。画面はミキサーとシーケンサ
このRecord、ソフトウェア的には大きく3つのパートから構成されています。

ひとつはReasonと同様のラックです。ここにはシンセサイザやエフェクトなどを自在に組み込んでいくことが可能となっています。

2つ目はシーケンサ。ReasonにもMIDIシーケンサが搭載されていましたが、ここでいうシーケンサとはMIDIに限らず、オーディオのレコーディングも可能にしたシーケンサです。トラック数も無制限となっています。

そして、オーディオとMIDIを混在させることを可能にしたのがミキサーコンソールです。Reasonにもラック内にミキサーを備えていましたが、これはラックの外にある独立したもので、これよってラックとシーケンサ、そしてオーディオインターフェイスをうまく統合しているわけです。


PODのギター&ベース アンプを搭載したラック

Propellerhead Software Record
ラックのリアは自在に配線できるReasonと同じ仕組み
では、そのReasonのコンセプトをそのまま引き継いだラックですが、やはりReason同様、背面の配線により自由にルーティングが可能になっており、シンセサイザやエフェクトなど、数々のモジュールが用意されています。


Propellerhead Software Record
Line6のPODがギター用とベース用の2種類搭載された
中でも注目すべきなのがLine6のPODのソフトウェア版が用意されていること。赤のギターアンプと黒のベースアンプがあり、PODサウンドをそのまま再現しているようです。前述の通り、このエフェクトやアンプシミュレータは、ソフトウェアのシンセサイザに対してかけるだけでなく、外部入力のオーディオや後述するシーケンサのオーディオトラックに対しても利用できるため、その応用範囲は大きく広がっています。もちろん、ハードウェアのPOD同様、リアルタイムにギター演奏した音にかけることが可能です。


Propellerhead Software Record
マルチ音源のID8が搭載されている
もう一つ、Reasonにはない新たなモジュールとしてID8というマルチ音源が追加されています。ReasonのシンセモジュールであるSubtractorやNN-XTなどは、確かにマニア心をくすぐるユニークなものですが、はじめてのユーザーにとって使いやすいとはいえません。そこでミュージシャンなら即使える、インスタント音源としてID8が用意されたというわけです。ドラム、ピアノ、ストリングス……と一通りのサウンドが揃っています。

テープレコーダ感覚で簡単に使えるシーケンサ

Propellerhead Software Record
DAWほど複雑でなく、シンプルな構造のMIDI&オーディオ統合シーケンサ
一方、シーケンサはオーディオとMIDIがシームレスになったもので、マシンパワーがある限り、いくらでもトラックを増やすことができる仕様となっています。

基本的にはDAWと同様のものですが、機能的にはとてもシンプルなものとなっています。またオーディオに対してはComp Editorという機能を備えており、複数のテイクを自在に組み合わせたり、ボリュームカーブを設定するといったことが自在にできます。また面白いのは、リアルタイムにタイムストレッチが行えるということ。つまりテンポ120でレコーディングしたギターを再生する際、テンポを変えればそれについてくるようになっているのです。もちろんテンポカーブを設定すれば、それにも追従するので、なかなか便利そうです。


SSL 9000 Kを忠実に再現したミキサーコンソール

Propellerhead Software Record
アナログ・レコーディング・コンソールであるSSL 9000 Kを忠実に再現したミキサーコンソール
そして、このRecordの最大の目玉ともいえるのが、全体を統合するミキサーコンソールでしょう。これは著名なアナログ・レコーディング・コンソールであるSSL 9000 Kを忠実に再現したというもの。

全チャンネルにダイナミクスとEQを搭載し、フレキシブル・ルーティングとフル・オートメーション、64bitバスによる強力な「バーチャル・コンソール」となっているのです。

各チャンネルに対し、ラックを組み合わせ、自在にエフェクトを利用していくことができるほか、プリ・フェーダー、ポスト・フェーダーの選択も可能な8つのセンド・リターンのエフェクトも装備されており、まさに大規模なスタジオを実現することができるのです。

Reasonとのシームレスな統合

Propellerhead Record
Reasonといっしょにインストールすると自動的に統合される
ここまで読んでこられて、「では、RecordにReasonは包含されているの?」と思われた方もいるでしょう。しかし、この2つは別のソフトであり、確かにDDL-1やRV7000、Mclassコンポーネントなど共通のモジュールはあるものの、Reason搭載のシンセサイザ類はここには含まれていません。したがって、シンセサイザをより積極的に利用したいというのであれば、別途シンセサイザが必要になるのです。

ところが、そこはPropellerhead。Reasonユーザーであれば、より有機的な統合が可能になっています。そう、ReWireなどを使うのではなく、ReasonがインストールされたマシンにRecordをインストールすると、自動的に融合され、Recordの中のラックで、Reasonの各モジュールが使えるようになるのです。

では、ReWire機能はないのかというと、そうではありません。レコーディング機能を備えたとはいえ、別のDAWと統合して使いたいという方もいると思われるため、RecordもReasonと同様にReWireのスレーブとしての機能は搭載されているのです。


Windows/Macの環境で動作する


このRecord、Propellerhead Softwareの発表によると、今年9月のリリースとなる見込みですが、国内の販売元であるMI7 Japanによれば、その9月からほとんど遅れることなくリリースするつもりとのことです。価格などはまだ分かりませんが、Reasonと同程度の価格であることを祈りたいところです。

ちなみに、動作環境はWindowsとMacの双方をサポートしています。WindowsはXP、Vista、それ以降(つまりWindow7に対応させるということですね)、MacはMac OS X 10.4以降に対応し、ASIOドライバ、CoreAudioドライバをサポートするとのことです。

実際の登場はまだ先ですが、非常に楽しみです。

【関連記事】
Reason4、間もなく登場
Propellerhead社長に聞くReason開発秘話

【関連サイト】
MI7 Japan プレスリリース Propellerheadが新製品「Record」をアナウンス
Propellerhead「Record」製品情報(英語)

■All Aboutで「毎月の家計」について、アンケートを実施中です!
回答いただいた内容をAll About記事企画の参考にさせていただきます
※毎月5名の方にAmazonギフト券1000円分をプレゼント

「毎月の家計についてのアンケート」に回答する


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。