DTMを活用する上で、必要不可欠ともいえる機材のひとつがキーボードです。最近はフィジカルコントローラ付きのUSB-MIDIキーボードが絶対的な主流になっていますが、それも第2世代へと入ってきたようです。今回はEDIROLの新製品PCR-300を紹介しましょう。

大きく変わったDTMのMIDIキーボード環境


DTM環境は5、6年前を境に大きく変わってきましたが、変わったアイテムのひとつがキーボードでしょう。今も昔もキーボードを使うこと自体には変わりはないものの、従来の「単純なMIDI鍵盤にMIDIケーブルを使ってパソコンと接続していたモノ」から、現在は「USB接続で電源も不要、フィジカルコントローラ機能も搭載したモノ」へと変わりました。

2006年10月に行った「あなたの一票」、「USB-MIDIキーボード、買うならどのブランド?」の調査結果では、


Roland/EDIROL39%
M-Audio32%
KORG26%
Evolution3%

となっており、Roland/EDIROLブランド、つまりPCRシリーズがトップになっていました。

EDIROLのPCRシリーズが、機能、デザインを一新


PCR-300
大きくリニューアルして登場したEDIROLのUSB-MIDIキーボード、PCRシリーズ。上からPCR-800、PCR-500、PCR-300
そのPCRシリーズが大きくリニューアルし、
   PCR-800(61鍵盤:35,000円前後)
   PCR-500(49鍵盤:30,000円前後)
   PCR-300(32鍵盤:25,000円前後)

という機種が登場しました。それぞれ型番が一桁増えた格好ですが、機能的にもデザイン的にもいろいろと変わり、まさに第二世代になったという印象を受けます。


PCR-300
上が旧機種のPCR-30、下が新機種のPCR-300
世の中の機材は進化すると小さくなる傾向にありますが、PCRシリーズに限っては反対に大きくなっています。というもの、操作子の数が32から50個へと大きく増えたためなのですが、USB端子やMIDI端子の位置が横に配置され、机上での設置時の奥行きが短くてすむように設計されています。

50系統のコントローラを搭載し、フェーダーはストロークの長いものに


PCR-300
バンドルされているエディタソフトを使うことで50ある操作子を自由にアサインできる
ツマミ、フェーダー、ボタン……と計50個もの操作子が用意され、その50個の操作しすべて、自由にアサインできるようになっているのが、新PCRシリーズの大きな特徴です。本体での設定もできますが、付属のエディターを使えば、よりわかりやすく簡単にアサイン可能です。

そうした操作子の中で、実際触ってみて、“おっ”と感じるのがフェーダー。旧PCRシリーズと比較してストロークが45mmと1.5倍の長さになり、かなり本格的に使える雰囲気になっていることです。さすがにモータードライブフェーダーではないのですが、これなら操作した際の満足度も高そうです。

さらに従来の8つが9つになったのも大きなポイント。9つ目をマスターフェーダーとして利用できるため、使い勝手が大きく向上するのです。これは左側に並ぶツマミにおいても同様です。


アフタータッチに対応した高性能鍵盤を採用


PCR-300
USB端子やMIDI端子などはすべて側面にあるため、奥行きをとらずに設置できるのは大きなポイント
見た目ではわからないものの、機能面において大きな進化がアフタータッチに対応したことです。アフタータッチとは、鍵盤をたたく強さで表現するベロシティーとは異なり、弾いて音を出した鍵盤をさらに強く押すことをセンシングし、MIDI情報として送る機能です。

したがって、このアフタータッチに対応した音源であれば、新PCRの鍵盤を深く押すことにで音色変化をさせたり、ビブラート表現をつけることが可能になるのです。

Rolandによれば、「スムーズなキー・アクションや安定性の高いキー・マウント、グリッサンド時にも心地よいキー形状、自然なベロシティー・タッチを実現」しているとのことですが、確かにPCR-30とPCR-300を引き比べると、キータッチが明らかに違い、高級っぽくなっていることが感じられます。

18個のボタンがベロシティー対応パッドに変身


さらに結構便利に使えるのがA1~A9、B1~B9と並んでいるボタンが、ベロシティー対応したパッドとして利用できることです。KORGのmicroKONTROLなど、パッド付きのMIDIキーボードが流行っていますが、この新PCRにもそれを取り入れたわけです。

実際、このパッドを使ってドラム音源を鳴らしてみましたが、いい感じで叩くことができました。ただ、確かにベロシティーには対応しているのですが、それほど微妙な強さを感知するわけではないので、これを打楽器として利用するには無理だと思いますが、キーボードとは独立して使えるため、結構便利ではあります。

1点面倒に感じたのは、ここをパッドとして使うための設定がデフォルトで用意されていないこと。そのため、自分で18個のパッドを1つずつアサインする必要があるのですが、せっかくならライブラリーとしてダウンロードできるようにしておいてもらえるといいですね。

SONAR 6.2との組み合わせで威力を発揮するダイナミック・マッピング機能


PCR-300
ダイナミック・マッピング・ボタンを押すと、PCRはダイナミック・マッピング・モードに入りSONAR 6.2と有機的に接続し、現在アクティブな画面に連動する形で各操作子がアサインされる
もうひとつ画期的なのが、「ダイナミック・マッピング」という機能です。この新PCRにはSONAR用、GarageBand用、Cubase用、Logic用など計16のコントロール・マップという操作子に予めアサインされた設定が用意されています。その設定自体、自分で修正し、それをまた保存することも可能なのですが、「ダイナミック・マッピング」というボタンを押すと、ソフトウェア側が自動的に今の画面に最適なようにキー・アサインしてくれるインテリジェント機能です。

ただし、現状このダイナミック・マッピングに対応しているソフトはSONAR 6.2のみ。このソフトを動かしている際に、ダイナミック・マッピング・ボタンを押せば、SONARのACT機能が作動し、常にアクティブになっているウィンドウに最適な形で各操作子がアサインされるのです。

Windows用に強力なソフトが3本バンドル


Cakewalk Production Plus Pack
PCR-300/500/800には標準でCakewalk Production Plus Packというソフト3点セットがバンドルされる。上からSONAR LE、Project5 LE、D-Pro LE
さらに、Windows用だけではあるものの、非常に強力なソフトが3本バンドルされている点も見逃せません。具体的には
   SONAR LE
   Project 5 LE
   D-Pro LE

の3つ。いずれもCakewalkのソフトですが、SONAR LEはいわずと知れたDAWです。一方、Project 5 LEは統合型ソフトシンセでSONARなどのDAWとReWireリンクしてコントロールできるほか、単体でもさまざまなプログラミングをして楽しむことができます。そして、D-Pro LEはパワフルなプレイバック・サンプラーです。

とくにD-Pro LEには大容量のサンプリングデータが付属されており、これだけでも十分元が取れる音源として活用できそうです。

3本まとめて、Cakewalk Production Plus Packという名前が付いていますが、Windowsユーザーにとっては、非常にありがたいバンドルソフトといえるでしょう。
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