音色作りの中枢部、フィルターの位置づけ


前回の第2回からだいぶ時間が経過してしまいましたが、アナログシンセにおける音作りの方法を紹介していきます。まずは、復習の意味も込めて、アナログシンセの構成図を見てみましょう。
アナログシンセの構成図
アナログシンセはVCO、VCF、VCA、EG、LFOという大きく5つのモジュールから構成されている。その中心にあるのが、今回のテーマであるVCF、つまりフィルタだ。


このように、大きく5つのモジュールで構成されているわけですが、今回着目するのは、これら5つのモジュールの中心部にあるVCFというものについてです。VCFというのはVoltage Control Filterの略で、電圧を使って制御するフィルターを意味しています。電圧なんていう言葉が出てくると、敬遠してしまう人もいるでしょうし、実際ソフトシンセの世界では電圧など関係ありませんから、ここでは単にフィルターとしておきましょう。

このフィルターという名前からも分かるとおり、音をフィルタリングするものなのですが、ここを通すことにより、音色が大きく変化します。今回はその音の変化を学んでいくことにします。

フリーウェアのSynth1を使ってみよう


シンセサイザの音作りは、文字で解説するよりも、実際に触ってみるのが一番。ハードウェアのシンセサイザでもソフトシンセでも、まずどれでもフィルターは搭載されているので、それを使えばいいのですが、ものによって、パラメータの名前や配置などが異なるので、よくわからないかもしれません。

そこで、Windowsユーザー限定ということにはなってしまいますが、フリーウェアのソフトシンセを使って実際の音作りの方法を紹介していきましょう。

Synth1
国産のフリーウェアのアナログソフトシンセ、Synth1。VSTおよびDXiに対応した非常に強力な音源だ。
ここで利用するのは以前にも紹介したことのある国産のフリーウェア、Synth1というソフトです。これはVSTおよびDXiのプラグインに対応しているので、CubaseやSONAR、SingerSongWriterなど、ほとんどのDAWソフトで利用できるはずです。

Synth1の概要やインストール方法などは、以前の記事Synth1のホームページを参照いただきたいのですが、これはフリーであるにも関わらず、非常に多くのパラメータを持った高性能なアナログシンセになっています。

フィルターを構成する2つのパラメータ


Filter
Synth1の中央部にはFilterと書かれたフィルター部がある。注目はfrqとresという2つのパラメータだ。
Synth1にももちろんフィルターが搭載されています。画面を見ると分かるとおり、中央部分にFilterと書かれているので、すぐに見つけられるでしょう。

このSynth1は、かなり高機能なソフトだけに、フィルター部分には数多くのパラメーターが用意されているのですが、この中でもっとも重要なパラメータが2つあります。それは
   frq
   res

と書かれた2つです。正確にはそれぞれCutOff Frequency(カットオフ・フリケンシー)、Resonance(レゾナンス)の略であり、前者はカットオフする周波数を設定するもの。後者はフィルターにフィードバックをかけて信号を共振させることによりカットオフ周波数付近の強度を持ち上げるものです。


とりあえず、音をいじってみよう


Synth1
音を出しながらfrqやresのパラメータをマウスでいじってみよう。大きく音色が変化するはずだ。
と、言葉で説明されても、やはりよく分からないと思います。そこでさっそく実際にSynth1を使い、frqとresそれぞれのパラメータをいじってみましょう。

まず、キーボードを弾いてSynth1の音が鳴るのを確認のうえ、どれかの音色を選んでみてください。もちろんデフォルトのままでもいいし、どれを選んでもOKです。

ここで、音を鳴らしながら、まずはfrqを動かしてみてください。どうですか、「キュイーン」という感じで音色が大きく変わりますよね。これがカットオフ周波数を動かしているということなのです。

続いて、resも動かしてみてください。Synth1の場合、resを最大にすると、どうも発信してしまう感じでハウリングのような状況になってしまいますが、こちらも音色を大きく変化させるのがわかるでしょう。

マウス操作だと、多少分かりづらいものもありますが、フィジカルコントローラーなどでノブを使って、frqとresの両方を同時に動かしてみるとドラスティックな音作りが可能になります。また演奏しながら、こうしたパラメータを動かすと、面白い効果が得られます。DJ系のサウンド作りにおいては、演奏中にこのフィルターのパラメータを動かすのは、定番となっています。

もっとも一般的なローパスフィルター


このSynth1のフィルターはデフォルトでは、LP24というところのLEDが赤く点灯しており、ローパスフィルターの24dB/Octというモードになっています。このローパスフィルターというのはロー(低域)をパスするということで、言い換えればいうことでハイ(高域)からカットするフィルターを意味しています。

frqでカットオフする周波数を設定するわけですが、その周波数でスパッと倍音が切られるわけではなく、多少ハイも残したままになります。その具合いが24dBとか12dBで表現されています。24dBタイプは12dBタイプに比べて高特性で、切れがよく、音がしっかり丸くなるようになっています。そして多くのアナログシンセは、このローパスフィルターの24dBが採用されています。

ハイパスフィルターやバンドパスフィルターも使ってみよう


Synth1 Filter
アナログシンセでは24dBのローパスフィルターが使われることが多いが、ハイパスフィルターやバンドパスフィルターなどもある
LP12dBに設定してみると、パラメータの位置が同じでもLP24dBとは違った音になると思いますが、HP12dBやBP12dBを使うと、また別の音作りが可能となります。

ちなみにHPはハイパスフィルターを意味しており、これは低域をカットするもの。ローパスフィルターが、いわゆるアナログシンセの図太い音を作り出すのに対し、ハイパスフィルターでは、ペラペラな「ミーン」といった音になります。

さらにBPはパンドパスフィルタのことで、ある帯域のみを通過させるフィルタです。

基本的にはローパスフィルターの24dBを使った際の感覚を覚えれば、さまざまなシンセサイザでの応用が利きます。
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