■CDプレイヤーからプロ機材まで幅広く使われるS/PDIF

 オーディオ用のデジタルインターフェイスの代表ともいえるのが
   S/PDIF
です。通常、エス・ピー・ディー・アイ・エフ、エス・ピー・ディフなどと呼んでいますが、正式にはSony / Philips Digital Interfaceの略です。

 このことからも分かるとおり、S/PDIFはソニーとフィリップスが共同で作った規格であり、現在幅広く普及しています。もともとはプロのレコーディング現場で用いられているAES/EBUというオーディオ用デジタルインターフェイスの規格を民生レベルでも利用できるようにしたものですが、現在はS/PDIFも民生機だけでなく、業務用機材においても使われています。

 一般のユーザーからすればS/PDIF端子を一番よく見かけるのはミニコンポをはじめとするオーディオ機器に搭載されている光端子ではないでしょうか?角型の端子、丸型の端子の大きく2種類が存在しますが、出力端子を見ると赤く光っているのが確認できるでしょう。

 たとえばCDプレイヤーとMDデッキを、S/PDIF用のケーブルである光ファイバケーブル(光ケーブル)で接続することで、ノイズの混入することなく、完全なデジタルの状態のままオーディオ信号を送ることができ、高音質で確実にデータ転送することができます。また、アナログで接続する場合はLとRの2本のケーブルが必要になりますが、S/PDIFの場合は1本のケーブルで2chのステレオの信号を送ることができるというのもひとつのメリットでしょう。

 この光端子のことを、オプティカルとかOpticalと表現することもありますが、言葉はいずれも同義です。また、光の流れという観点からも分かるように、信号は一方通行であり、出力端子から光ケーブルを通じて入力端子へと流れていく形となります。
■S/PDIFには光と同軸の2種類がある

 しかし、S/PDIF端子=光端子というわけではありません。もうひとつ同軸端子と呼ばれるものもあるのです。光の呼び名がいろいろとあるのと同様に同軸のほうもコアキシャル、COAX、Coaxialなどと呼ばれることがあります。つまり、S/PDIFには光と同軸の2種類の規格があるというわけなのです。

 光端子がある種独特な形状であるのに対し、同軸のほうはアナログのオーディオ端子と同じピンジャック(RCA端子)が採用されています。一応、S/PDIF専用ケーブルというものが存在し、それを使うのが良いとはされていますが、普通のアナログのオーディオケーブルで接続しても支障はありません。ただし、これをアナログの端子と接続するのは絶対に止めましょう。下手をすると機材を壊してしまう可能性がありますから。また、これも光と同様に信号の流れは一方通行となっているのです。

 ミニコンポなどで、この同軸の端子が搭載されているケースはあまりありませんが、業務用の機材で搭載されているS/PDIFの多くは同軸となっています。また高級CDプレイヤーなどでもこれが採用されています。

 一方、この同軸のS/PDIF端子はパソコンに搭載されるケースが増えてきました。多くのものは出力端子のみですが、これを利用することで大きなメリットが得られます。その一つ目はノイズレスでの接続でしょう。パソコンのオーディオ出力をアナログのスピーカーに接続するとどうしてもノイズが多くなり、音楽の観賞用としてはかなり不適ということになってしまいます。しかし、このS/PDIFで出力したものを、S/PDIF対応のスピーカーに接続すれば、ほぼノイズレスの環境が得られるのです。最近はこうしたスピーカーが1万円前後で登場しているので、これらを使うことでパソコンのオーディオ環境は飛躍的に向上します。

 もうひとつは、このケーブル1本でサラウンドの信号が送れるということでしょう。S/PDIFは通常2ch(ステレオ)のオーディオ信号を伝送するために用いるのですが、ここにはステレオ信号以外に5.1chなどのサラウンド信号を1本のケーブルに通すことができるのです。もっと正確にいえばDolby Digital AC3やDTSといわれる方式で圧縮された5.1ch信号を送ることができ、送った先にデコーダー(音声信号に変換する装置)があれば、利用できるのです。
■光と同軸のコンバータもある

 このS/PDIFではCDと同じ16bit/44.1kHzという信号を流すケースが多いのですが、32kHzや48kHzの信号も送れるほか、24bit/96kHzといったハイクオリティーな信号を伝送することも可能です。

 しかし、気になるのは光と同軸の関係です。いくら同じS/PDIFという規格だといっても、光と同軸=電気では物理的な特性がまったく違い、お互いを接続することはできません。とはいえ、同じS/PDIFであるため、流れているデジタル信号そのものは、まったく同じなのです。

 なかには、光端子を装備したプレイヤーの信号を同軸のみを装備したレコーダーに取り込みたいとか、反対に同軸のみを搭載したパソコンの出力を光のみを搭載したMDデッキに取り込みたいといったニーズもあるのではないでしょうか?

 そんな人のために、光・同軸コンバーターといったものが市販されています。たとえばオーディオテクニカが出しているAT-DSL1などがその例で、定価で6,500円という比較的安価なものです。


 もちろん、こうしたものを使わなくてもパソコン用のオーディオインターフェイスとして光と同軸の両方に対応したものが数多く発売されています。たとえば、EDIROLのUA-5やESIのWaveterminalU24などはUSB接続で誰でも手軽に扱えるものです。

またPCIバスに接続するタイプのボードならCreativeのSound Blaseter AudigyをはじめM-AudioのDelta Dio 2496、ECHOのGina、STAのDSP24 Value、RMEのHammerfallシリーズ……と本当に数多くの種類が存在しています。これらを使うことでどちらでも利用することが可能になるわけです。



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