三島由紀夫の傑作戯曲

裸の王様
鹿鳴館──。むかーし、昔、学生時代の授業で耳にした覚えがあるのではないでしょうか。明治時代の西欧化を象徴する「鹿鳴館」は、1883年に明治政府によって建てられ、海外からの賓客をもてなす社交場として栄えました。

その『鹿鳴館』を題材に、文学座のために三島由紀夫が書き下ろした同名戯曲は、文体の美しさでも知られている作品で、86年には市川崑監督により映画化もされています。この三島の傑作を三島の親友であった浅利慶太が演出。2006年1月に初演された舞台は多方面から好評を博し、10月20日から、東京・浜松町の自由劇場で再び幕を開けました。

鹿鳴館に渦巻く愛憎が生む「悲劇」

裸の王様
三島の一文字たりとも無駄がない、きらびやかな鹿鳴館に渦巻く愛憎や欺瞞を描いた悲劇を、浅利慶太が渾身を込めて丁寧に演出します。客席数約500席の「自由劇場」という濃密な空間で、美しい日本語に酔いしれてみませんか。

登場人物それぞれがある計画を胸に抱き……

裸の王様
物語の舞台は、明治19年の天長節(天皇誕生日)。内閣の大臣を勤める影山伯爵の妻・朝子は、20年前に別れた恋人で、今は反政府派のリーダーである清原がその夜、鹿鳴館に乱入しようとしていること、さらに清原と朝子の息子である久雄が命を賭して、ある計画を胸に秘めていることを知ります。奇しくもその日の鹿鳴館の夜会は、夫である影山が主催するもの。朝子はある重大な決断をしますが──。

森英恵デザインの衣裳、幻想的な舞台装置も見どころ

裸の王様
愛と策略、欺瞞が渦巻く息をもつかせぬストーリー展開と役者たちの迫真の演技、そして、森英恵デザインの華麗な衣装と見どころは盛りだくさん。2幕の鹿鳴館のシーンの舞台装置や俳優が口に出して話すことを想定して作られた三島がつむぐ日本語の美しさも必見、必聴です。

帰路、改めて戯曲を読み直そうと、書店で文庫を購入してしまいました……。

公演情報

裸の王様
[公演] 鹿鳴館
[公演期間]2007年10月26日(土)~11月25日(日)
[会場]自由劇場(東京・浜松町)
[スタッフ]
作=三島由紀夫
演出=浅利慶太
装置=土屋茂昭
照明=吉井澄雄
衣裳=森 英恵
音楽=林 光

問い合わせ=劇団四季東京公演本部 03-5776-6730
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