半年振りに復帰の團十郎さん 『象引』を復活



2009年1月国立劇場の歌舞伎公演に注目の演目が揃った。
その制作発表の模様をお伝えする。

まずは歌舞伎十八番の内『象引(ぞうひき)』
治療入院していた市川團十郎さんが半年ぶりに舞台に復帰する。
力強い正義の味方が大悪人に立ち向かい、巨大な動物「象」を引き合うという、シンプルだが豪快でお正月らしい一幕となりそうだ。

市川團十郎さんは、この半年間の治療について振り返った。
「7月に造血肝細胞移植という治療をしました。私の妹と肝細胞の形が合うということで移植してもらいました。妹はO型だったので、元はA型だった私の血液型もO型に(笑)。その後の経過が良好で無事復帰となりました」
「発病してからこの4年間で、治療法が既に随分変わっているんですね。リハビリを重視する治療が現在は主流だそうです。熱が37度あってもストレッチさせたり歩かせたり。
拒否反応はいまだに続いています。これがすっかりなくなるには1~2年かかるだろうといわれています。まだまだ体内で私とドナーがケンカしているような状態らしい。でも、チクリチクリとケンカしているような状況が一番望ましいのだそうです。

どこのどなたか存じませんが、献血してくださった多くの皆さんにこの場をお借りしてお礼を申し上げたい。本当に、多くのみなさんに生かされていると実感しています。
自分ひとりで頑張ってきたようなつもりでいましたが、発病から4年たち、多くの人々の善意に支えられていることを痛感しました。
皆さんからいただいたパワーを、舞台から今度はお客様に届けたい」

向かって左が團十郎さん。


歌舞伎十八番『象引』復活への思いを、強く語る團十郎さん。

「『象引』は、かねがねやりたかった演目。ちょっと『暫』にも似ています。これまでも(尾上)松緑のおじ、二代目の左團次さん、他に前進座さんが復活させています。

一枚の役者絵を見てから、ずっと腹案が私にはありました。初代團十郎のころは荒事がまだまだ発達していない段階。初代團十郎ってなにかというとすぐ裸になった人らしいのですが(笑)、おおわらわになって象を引いていたようです。象も今のようなイメージのものじゃない。隈をとっているような、異様で得体の知れない物と思われていた時代です。
悪者相手に、この象を右に引いたり左に引いたりしあうのが見せ所です。

同じく正月に新橋演舞場で、やはり歌舞伎十八番の『七ツ面』を、倅の海老蔵が復活させます。
本当は私の復帰に合わせて一緒の舞台に出たかったらしい。ただ私の復帰する時期が決まったときには海老蔵も演舞場出演が既に決まっていた。いっそのこと、共演の機会を待とうかとも思ったのですが、それはやめて、私は国立劇場に出演することに決めました。
劇場が違えば親子でも役者はライバル同士。負けられません」

<国立劇場 南北の力作が207年ぶりに> へ続く。
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