「2003年以来の新作に、興奮する」



市川猿之助率いる猿之助門下の若手俳優が中心となる「二十一世紀歌舞伎組」。公演の最新作がこの8月、10年という時を経て、
ル テアトル銀座by PARCO にお目見えする。

1989年、パルコ劇場での『伊吹山のヤマトタケル』で産声をあげたこの一
座。『雪之丞変化2001年』や、古典歌舞伎の『義経千本桜 忠信編』など
、エンターテインメント性たっぷりのスタイリッシュな舞台を中心に上演
を続け人気を集めてきた。

今回は1998年の『龍神伝』以来10年ぶりとなる新作の公演。期待はいやが
うえにも高まる。
タイトルは『新・水滸伝』

水滸伝といえば、中国は北宋時代、汚職役人たちがはびこる世の中からは
じき出された108人の豪傑たちが、梁山泊(りょうざんぱく)と呼ばれ
る自然の要塞に集まってくる。アウトローの集まりだった彼らが、やがて
悪徳役人討ち、国を救おうとする物語だ。今回はこの超長編のうち、「祝
家荘の闘い」の場が中心となる。

梁山泊の面々は、それぞれ様々な過去を背負っており、さらにみな腕に覚
えのある者ばかり。またキャラクターも強烈な者がそろっている。
一度は挫折し酒におぼれ、人生の意味を見失った好漢、林冲(りんちゅう
)をつとめるのが市川右近さん。

「この空間にいられることが最高!」右近さん


まさに稽古真っ最中の市川右近さんに、今回の新作にかける意気込みをう
かがった。

「僕ら猿之助一門にとって2003年のスーパー歌舞伎『新・三国志パート3』以来の、歌舞伎組としては10年振りの新作になるんです。師匠の猿之助が、今までもたくさんの脚本を書いてくださってきた横内謙介さんに手紙を送ったんだそうです。
『甦って参りました!』と。
師匠や仲間とともに再び新作を一から作り上げていく、この空間に毎日毎
日いられることはがとにかくシアワセなんですよ。稽古場でみんなで一歩
一歩創っていく。途中で穴が見つかると大停滞を起こすけれど、それをま
た乗り切って、より面白いものを産み出していく。この手作りの感覚が最
高なんです」

右近さんのつとめる林冲とはどのような男なのだろう。

「元は非常に将来を期待されていた軍人だったのですが、悪徳役人のため
にやむなく投獄されその牢を破って、人殺しをし、いまは酒におぼれ落ち
ぶれているんです。舞台は魂の抜け殻のような状態から始まります。でも
梁山泊の仲間たちの生きる姿に励まされ、次第に勇気を取り戻していく。
やがて彼らの頭領となって、荒くれ者たちを盛りたてていこうという志を
もつにいたるんですね。そういう林冲や梁山泊の個性的な面々を、人間
くさく描けたらいいなと思っています」

「人間くさいアウトローたちを描きたい」


その2へ続く>
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