いろいろな世界にジンクスがありますね。スポーツ選手などは、タフでシビアな世界であるだけに勢いをキープするためにジンクスを持っている人もいるでしょう。映画界ではどうなのでしょうか? 映画もれっきとしたビジネスです。ジンクスはヒットするかどうか占うための一つの考え方という側面があります

続編はつまらない?

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主演のキアヌ・リーブスが降板して、『スピード2』は傑作になり損ねてしまったのかも?
よく言われるのが、「2作目は駄作」というジンクス。新企画の映画は、当たるかどうか蓋を開けてみなければわかりませんが、ヒットした作品の続編であれば、ある程度のヒットは見込めるため、映画界は続編が花盛りです。

名前や作品世界は同じでも、キャスト/監督が一新されるような安直な続編も少なくないのが事実。そういう映画が、一作目を超える作品となるのは、かなり難しい面があると思います。

しかし、続編であっても傑作と言われる作品があることを、皆さんもご存知ですよね。『ゴッド・ファーザーpart2』や『ターミネーター2』『スパイダーマン2』などは、一作目より二作目のほうが好きっていう人も多いのではないでしょうか。スタッフの思い入れや熱意が伝わってくる作品でもあります。柳の下の二匹目のどじょうを狙った作品なのか、監督や製作陣がありったけの思いをこめて作り上げた作品なのか、見極める目を持ちたいものですよね。

ホラーの続編はヒットする?

バットマンビギンズの画像
バットマンビギンズはオリジナル以上の傑作といわれています
ホラー映画に関しては、「一作目より二作目のほうがヒットする」というジンクスがあります。怖がらせたり、不気味な世界観を描く種類の映画ですから、二作目の方が、恐怖やスケール感が増大していくからでしょうか?

シンプルに低予算短期間で作られた『ソウ』は、パート2では、お金をかけパワーアップして、さらにヒットしました。『13日の金曜日』シリーズは10作目まで作られ、ジェイソンはとうとう宇宙でも暴れまわりました。『エイリアン』シリーズも今は5作目まで作られています。

ジョージ・A・ロメロ監督の『ゾンビ』は、今ではゾンビ物というジャンルが作られるほどメジャーなものになりました。人気のあるホラーは、普通のアクションやヒーロー物以上に愛されているようですよね。

リメイク映画はオリジナルを超えられない?

最近では、ホラーに限らず1作目より2作目のほうがヒットする映画も多いようです。『ボーンスプレマシー』『シュレック2』『Xメン2』『アイスエイジ2』『ミートザペアレンツ2』などです。ですが、ヒットしたからといって傑作かどうかわからないのは事実。ぜひ、ご覧になって確かめてくださいね。

リメイク映画は、オリジナルが名作であればあるほどオリジナルを超えられないと言われているようです。ちょっと前には、ティム・バートン監督の『猿の惑星』。最近では、ピーター・ジャクソン監督の『キングコング』などがあります。

この夏、期待される大作映画のひとつが、『スーパーマンリターンズ』。キャストを替えた新生スーパーマンです。『スーパーマン』映画は、出演俳優に不幸が起きるという迷信が囁かれていたため、ここ4、5年、キャストが二転三転して、なかなか決まらなかった、いわくつきの映画です。迷信はあくまでも迷信ですからそれに振り回されず『バットマンリターンズ』のように、素晴らしい傑作として戻ってきてほしいものです。

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子役は大成しない?

ホームアローンの画像
復活を期待したいマコーレ・カルキン。
もっと有名なのが、このジンクス。『ホームアローン』のマコーレ・カルキンが、麻薬所持で逮捕されたり、『依頼人』で5000人の候補から選ばれた子役ブラッド・レンフロが銃窃盗罪で逮捕されたなどとのニュースが流れるたびに、このジンクスが思い出されます。

『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングも、様々なトラブルが伝えられました。素晴らしい演技力と存在感を持っていた『スタンドバイミー』のリバー・フェニックスが若くして亡くなったことや、『ネバーエンディングストーリー第二章』でバスチアンを演じたジョナサン・ブランディスの突然の死などもそういうイメージを強化しているようです。

ですが、大人になっても大活躍している俳優も多いのも事実。『タクシードライバー』のジョディ・フォスターや、『E.T』のドリュー・バリモア、『アダムスファミリー』のクリスティーナ・リッチ、『インタヴュー・ウィズ・バンパイア』のキルスティン・ダンストなどの女優は、さらに輝きを増しながらスクリーンを彩っています。

『太陽の帝国』のクリスチャン・ベールも、今はバットマンですし、『危険な遊び』でマコーレ・カルキンと共演したイライジャ・ウッドも、『ロード・オブ・ザ・リング』のフロド役で鮮烈な印象を見せてくれました。『ロード・オブ・ザ・リング』といえば、サム役のショーン・アスティンも子役時代に『グーニーズ』に出演していました。

子役が大成するためにはたくましさが必要?

ドリュー・バリモアは、9歳にしてアルコール、タバコ、麻薬に手を染め、14歳で自殺未遂を図るという壮絶な体験をしたといいます。その上で今や完全復活を果たしています。その強さとたくましさが、子役から大人の俳優に脱皮するために必要なのでしょうか?

現在の子役の第一人者といえば、『アイ・アム・サム』を初めたくさんの主演作があるダコタ・ファニング。『ハリー・ポッター』シリーズの三人もいます。彼らが、どのように成長していくのか興味がありますね。『AI』のハーレイ・ジョエル・オスメントは、大人の俳優への脱皮に苦労しているようですが、今後とも活躍してほしい俳優です。

映画に子役は欠かせませんし、子役が活躍する映画には、特別な魅力がありますよね。小さいうちから、お金や虚飾にまみれた大人の世界を目にする子役たちが、大人の俳優へと成長していくためには、たくさんの壁を乗り越えていかなければならないのかもしれません。わたしたちには及びもつかない大変な部分があるのだと思いますが、成長したスターたちを目にするのは大きな喜びですよね。

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アカデミー賞はジンクスの宝庫

クラッシュの画像
本年度のアカデミー作品賞を受賞したクラッシュ
アカデミー賞の時期になると、受賞予想とともにアカデミー賞のジンクスの話がよくでてきます。78年の歴史のなかで生まれてきたジンクスです。

【主要部門の2年連続受賞はない】
監督賞や主演賞などで連続受賞したことがある人は、たった3人です。はるか昔の1920年代にスペンサー・トレイシーが10回、11回とアカデミー主演男優賞を連続受賞しました。13回、14回の監督賞にジョン・フォード監督が連続受賞。その後は、50年以上たってから、『フィラデルフィア』『フォレスト・ガンプ/一期一会』でのトム・ハンクスの主演男優賞連続受賞があるだけです。ノミネートされ、受賞するだけでも大変な栄誉なわけですから、2年連続受賞がどんなに難しいかがわかります。

【続編は受賞しにくい】
アカデミー賞に続編がノミネートされること自体ほとんどありません。調べてみても、今まで続編、シリーズものでノミネートされたことがあるのは、『ゴッド・ファーザーpart2』『ゴッド・ファーザーpart3』と『ロード・オブ・ザ・リング二つの塔/王の帰還』のみです。『ゴッド・ファーザー』はpart2も作品賞を受賞。『ロード・オブ・ザ・リングシリーズ』も完結編の『王の帰還』が作品賞を受賞しました。

このジンクスに関しては、続編、もしくはシリーズものがノミネートされれば、それだけ作品の質が高いということですから、受賞の可能性が高いという別の見方ができるように思います。

【ファンタジーやコメディも受賞しにくい】
ファンタジーやSFの受賞歴は、29回の『80日間世界一周』と前述の『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』のみです。また、コメディらしいコメディは『アニーホール』ぐらい。コメディのアカデミー賞における地位の低さが伺えます。

一方、ミュージカルもの、戦争もの(特にナチスもの)の受賞の数の多さにはびっくりです。最近は、ミュージカルは流行らないイメージがありますが、『シカゴ』のように良質のミュージカルなら、他の作品より受賞しやすいのでしょうか。

本年の78回のアカデミー賞では、本命視されていた『ブロークバックマウンテン』が『クラッシュ』に敗れる波乱がありました。しかし、このように歴史とジンクスの関係を見てみると、アカデミー賞の極度の保守性が見えてきます。社会の変化よりほんのちょっと歩みが遅いイメージです。

【初ノミネートの女優は受賞しやすい】
男優の場合は、人気者やアイドルだとゴールデン・グローブ賞は取れても、オスカーには手が届かないといわれています。トム・クルーズやレオナルド・ディカプリオ、ジョニー・ディップがいい例です。ポール・ニューマンやアル・パチーノは、何度もノミネートされながら実際に受賞できたのは、初老近くなってから。アイドル的なスターがオスカーを手にするためには、それぐらい待てということなのでしょうか?

それに比べると、初ノミネートの若い女優が、オスカーを取る例は多すぎるぐらいです。古くは、テイタム・オニール、ジョディ・フォスター、マリサ・トメイ。最近では、ジュリア・ロバーツ、ハル・ベリー、ミラ・ソルビーノ、アンジェリーナ・ジョリー、ジェニファー・コネリー、ニコール・キッドマン、キャサリン・セタ・ジョーンズ、レニー・ゼルウィガー、シャーリーズ・セロン、レイチェル・ワイズ、ヒラリー・スワンク、グウィネス・パルトロウなど。

主演級の、めぼしい女優のほとんどが、オスカーを持っているのではないかと思えるほどです。スターと、演技派を隔てる垣根が低いのかもしれません。ところが、女優に限ってオスカーを取るとその後パッとしないといわれたりするのです。

オスカーを獲った女優はその後パッとしない

失礼なジンクスですが、この背景には、女優がやりがいを持てる「いい役」が、男優に比べると、圧倒的に少ないという事情が考えられます。一旦、オスカーを獲ってしまうと、以前そうであったとしても、どんな役でもいいというわけにはいかなくなると思います。女優を取り巻く状況は『デブラ・ウィンガーを探して』というドキュメンタリー映画に詳しく描かれています。女優といっても、働く女性という点では、わたしたちとなんら変わりはないんだなって思わせられる映画です。

ジュリア・ロバーツやレニー・ゼルウィガーの長期休業の理由も、そのあたりにあるのではないでしょうか。ジョディ・フォスターもそうですが、自分の仕事に対して誇りを持ち続けるために、いい役がくるまで、焦らずじっと待つという姿勢が見受けられます。そこまでしないと、一流の女優としての立場は保てないのかもしれません。

いかがだったでしょうか? ジンクスは、当たっていてもいなくても、映画界の事情を深く楽しむツールとして、いろんな見方を提供してくれるものかもしれませんね。

【関連リンク】

アカデミー賞受賞結果(オールアバウト映画)
映画芸術科学アカデミー公式日本語サイト
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