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RQが持つ「個」の価値

RQと言う分野そのものは広く認知されていながら、なかなか個人名は浸透して行かない。その要因は一体どこにあるのか? RQの持つ絶対的な宿命と、メディアとの相関関係を紐解く事で、その謎に迫る。

矢沢 隆則

矢沢 隆則

レースクイーン ガイド

「All About」のレースクイーンガイドになったことをきっかけに、カメラを握り、生のレースクイーンを激写。他にもライブステージやファッションショー、スタジオでのグラビア撮影など分野を広げて活動しています。

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 このサイトを訪れた方は先ずRQサイトの多さに驚きを覚えると思う。 公式サイトや応援ページだけでも300前後あり、 プロダクションや所属チームなどの関連サイトも入れると軽く500は越える。 この数だけでネット上におけるRQシーンの“熱さ”が伝わると思うが、これとは対照的にテレビ・ラジオ・雑誌といった既存メディアにおける彼女達の扱いは極めて軽い。 情報・バラエティーを中心に特集が組まれたり、ゲストとして招かれるケースは多々見られるが、 いずれも単発的な企画で、特定の個人にスポットを当てたケースは殆ど見られない。 雑誌関連にも同様のことが言え、青年誌やカー雑誌などのグラビアを見ても、 本編の記事内容に対して色添え程度の扱いに留まっている。

こういった現状から何が言えるかというと、 RQは既存メディア上において「個」(キャラクターと言い換えても良い)を求められていない、と言う事である。 個を求める対象としては、既にタレントと呼ばれる人達で供給が足りている。 むしろ、RQ達はその肩書きのみで完結し、 個人が際立たない所でメディア上での価値を生んでいるのである。

では、彼女達はなぜ匿名のままで価値を見出されるのだろう。 その要因の一つとして上げられるのがコスチュームである。 RQの名刺代わりであり、存在価値を世に認めさせている象徴的アイテム。 これをヴィジュアル面で完成度の高さを認められた女性が着用する。 そこに生まれる制服性・帰属性・官能美・・・もう、これ以上のキャラクター付けは必要無い。戦闘物コスプレと同等に、コ スチュームが記号化する事でRQは個を追求されないのである。

更にもう一つの理由としてサイクルの早さが上げられる。 以前の記事でも触れたが、RQは基本的に1年で契約が切れる。 これにより、毎年多くのRQが所属を変わる。 バージナリティーを重んじる日本の国民性からすると、 継続の障害となっているこのシステムは、知名度の浸透性において最も致命的だ。しかし、裏を返せばこのシステムがあるおかげで、年毎のラインナップが注目され、話題性にも繋がっているとも言え、一概に否定できない。メジャー志向のRQにとっては皮肉な結論と言えるが・・・。

では、ここからRQに特化したメディアについて述べて行こう。具体的に言うとRQ専門誌やビデオ、DVDといった商品である。これら商品の出版はここ数年著しい。確信的ファンに向けられた商品は、ムック本はおろか、カレンダーさえも数種類発売され、更には人気RQ数名を抱き合わせた本格的な写真集まで発売されている。こういった特化商品が続々出版される背景には、それだけの市場も存在するという事だが、これらを購入するファン達に一体どれだけRQ個人に対する拘りがあるのか?と考えると、それにも大きな疑問符をつけなければならない。なぜなら、そういった確信的ファンにおいては、個人に偏ったニーズと言うよりコレクター的視点に立った需要の方が上であるように思えるからだ。

この点については他分野にスライドさせてると良く分かる。宝塚、ジャニーズ、声優、女子アナ・・・これら特定の様式美を確立している分野のファンは、個人を重んじる視点よりも、カテゴリ内に身を置く者を無条件で受け入れる傾向にある。撮影会やレース会場に足繁く通う熱烈なファンであれば別だが、これまで述べて来たようなメディアや商品を介在してRQを求めているファンは個人のキャラクターなど知る由も無い。随って、様式美と言う枠の中で全てを完結させているのである。

ところがRQ当人達の中にはメジャータレントや女優を目指している者達が多く、ステイタス面でも映像メディアに対する憧れは強いようだ。果たしてRQ出身者は映像メディアで成功できるのか?次回はこの点を掘り下げてみるつもりである。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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