花組~宙組の5組。主役を演じる男役トップスター、相手役の娘役トップスター、準主役を演じる二番手スターらにはじまり、上級生から下級生まで、各組には約70名~80名のタカラジェンヌ(=生徒)が在籍しています。

その各組には「組長」と呼ばれる生徒が1名います。
さてこの「組長」とは、どんな立場の生徒なのでしょうか…?

組長になるのは、通常、その組の1番上の学年。と言っても、長年在籍していれば誰もがなれるというものではありません。
歌劇団側から「この生徒ならば!」と任命された人です。

舞台人としての技術面においても、人柄においても、組子(=その組の生徒)から尊敬される人望の厚い生徒が任命されます。

「組長」を補佐する形で「副組長」も1名います。こちらも同様。


さて——「組長」の役目とは…?
ひと言で言うと……組をまとめ、時には組の代表となる人。
そんな組長のお仕事振りを紹介しましょう。


宝塚ファンの方々が一番よく知っている組長としての姿は、舞台挨拶でしょうね。
初日や千秋楽の舞台挨拶、退団者の紹介、行事でのスピーチなどは、組長が行います。

こうしたスピーチ原稿は、組長自身が考えます。
例えば退団者の紹介なら……退団する生徒さん本人より、タカラジェンヌになりたいと思ったきっかけ、好きだった役、退団する今の気持ちなどを聞き、そこに、“その生徒はどんな生徒だったか”などという感想を付け加えたりして、原稿にまとめます。

毎回、とても心温まる退団者の紹介は、組子を良く知り、いつも組子を見守っている組長だからこそ書けるものと言えるでしょうね。

他、公の行事は、宝塚音楽学校入学式、卒業式、宝塚歌劇団入団式などに出席し、挨拶を行います。
また、様々な式典、パーティーなどでの挨拶も。

皆さんにはあまり知られていない行事の中に、緞帳式というものがあります。
どこかの企業より、劇場の緞帳を寄付していただいた時に行うもの。(そう度々あるものではありませんけどね…)
これは開演前に行われ、組長はここでも挨拶。またこれには、トップコンビも袴姿で出席します。

 


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組内での組長の役目、これもたくさんあります。
稽古中や公演中に何か問題が起きた場合、その相談を受けたり解決したりするのも、やはり組長の役目です。

公演中、急に休演者が出た場合、“だれが休演し、誰がどこの場面の代役に入るか”などの連絡を、舞台事務所や、組担当のプロデューサー、衣装部さんなどに走り回って報告したり…。

生徒の「●●の場面のダンスの振りを間違えました」「出遅れしました…」などの“謝り”を聞くと共に、再度、同じ間違えをしないよう注意を促したり。

組長自身より学年が上の専科生が出演している公演の場合、「本日もお願いいたします」などの楽屋での挨拶も、組長の役目。

組子たちの劇団レッスンの出席率を把握したり。
舞台のことだけに限らず下級生の生活態度を指導したり。
コミュニケーションをとるため、他の組の組長とも集まって話し合ったり。
組子たちから、舞台面でのことからプライベートに至るまで、相談を受けたり…。

上記はほんの一部ですが、ともすれば「雑用係りぃ~?」なんて思われてしまいそうなくらい、組長そして副組長の役目は多いわけです。


では、組別に、歴代組長をご紹介しましょう!

歴代組長

【芸名】 【在任期間】
瀧川末子      ~1931年
奈良美也子 1931年~1936年
三浦時子 1936年~1941年
汐見洋子 1941年~1943年
神代 錦 1943年~1948年
打吹美砂 1948年~1951年
大路三千緒 1951年~1952年
藤波洸子 1952年~1953年
打吹美砂 1953年~1960年
綴 克美 1960年~1964年
美吉佐久子 1964年~1965年
淡路通子 1965年~1975年
恵さかえ 1975年~1983年
但馬久美 1983年~1986年
宝 純子 1986年~1990年
北小路みほ 1990年~1991年
未沙のえる 1991年~1996年
星原美沙緒 1996年~1997年
磯野千尋 1997年~2000年
夏美よう 2000年~

 

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【芸名】 【在任期間】
初瀬音羽子      ~1928年
天津乙女 1928年~1933年
門田芦子      ~1933年
小夜福子 1933年~1941年
佐保美代子 1941年~1944年
室町良子 1944年~1950年
美吉佐久子 1950年~1951年
綴 克美 1951年~1952年
故里明美 1952年~1953年
沖ゆき子 1953年~1963年
美山しぐれ 1963年~1976年
水代玉藻 1976年~1983年
麻月鞠緒 1983年~1986年
朝みち子 1986年~1990年
汝鳥 怜 1990年~1993年
邦なつき 1993年~1996年
汝鳥 怜 1996年~1997年
立ともみ 1997年~2002年
夏河ゆら 2002年~2006年
出雲綾 2006年


【芸名】 【在任期間】
若菜君子
桂よし子
秋月さえ子     ~1935年
初音麗子 1935年~1945年
春日野八千代 1945年~1950年
天城月江 1950年~1951年
東郷晴子 1951年~1952年
登代春枝 1952年~1953年
美吉佐久子 1953年~1961年
大路三千緒 1961年~1975年
睦 千賀 1975年~1979年
曽我桂子 1979年~1983年
銀あけみ 1983年~1989年
真咲佳子 1989年~1991年
京 三紗 1991年~1996年
箙かおる 1996年~1998年
飛鳥 裕 1998年~


【芸名】 【在任期間】
門田芦子 1933年~1937年
汐見洋子 1937年~1939年
神代 錦 1948年~1951年
水原節子 1951年~1952年
御山 櫻 1952年~1953年
天城月江 1953年~1969年
美吉佐久子 1969年~1975年
淡路通子 1975年~1979年
葉山三千子 1979年~1993年
一樹千尋 1993年~1996年
夏美よう 1996~2000年
英真なおき 2000年~

 

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【芸名】 【在任期間】
大峯麻友 1998年~2002年
出雲 綾 2002年~2005年
美郷真也 2005年~    


歴代組長のお名前を見て、オールドファンの方ならおわかりでしょう。初期の頃の組長には、今でいう“トップスター”と呼ばれる生徒さんのお名前があります。
当時トップスターという呼び名はなく、作品によって主演が交代するというシステムでしたが、この時代の組長は、近年のような立場とは少し違っていたのかもしれませんね。


組子にとって組長とは、尊敬できる上級生であると共に、困った時、悩んだ時に頼りになってくれる心強い先輩。
初舞台時の口上や舞台化粧の仕方にはじまり、退団する幕が下りるまで、組長さんにはホント、お世話になりっぱなしです。

こうした組長さん、副組長さんの苦労は、組子でさえもすべて知っているわけではないでしょう。
しかしその陰での苦労のおかげで、トップスターをはじめ組子たちは、稽古や舞台に専念できるのでしょうね。

上級生が下級生の面倒を見る、様々な多くのものを下に伝えて行くという宝塚の伝統は、この「組長」の存在だけでも充分に想像していただけるのではないでしょうか。

 

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