新年度に新企画、その名の通り月ごとにスカパー!で放送されるドラマの中でおすすめドラマを紹介します。
頭の隅に「そんなに毎月おすすめドラマが都合よくでてくるのか」とささやく声もあるのですが、そういう時はさりげなくその月はなかったことにしてしまいましょう…

さて、最近はNHKドラマの名作がスカパー!のドラマとしてたくさん放送されています。

これは03年の「テレビ50周年」以来の傾向。過去の制作番組を「NHKアーカイブス」として整備し、50周年記念番組やこの3月に終わった『BS思い出館』で再放送していました。
そして次の段階としてNHKが再放送したもの、再放送しきれなかったものをあわせてスカパー!のチャンネルに供給しています。

これまでは大河ドラマ、朝ドラ、土曜ドラマ、ドラマ人間模様などNHKドラマの中でもメジャーどころが多かったのですが、ここにきて渋いところで「銀河テレビ小説」が放送され始めています。

銀河テレビ小説とは

銀河テレビ小説は72~89年、月~金に放送されたドラマシリーズ(もっとも長く続いたのは「ニュースセンター9時」が終わった後の21時40分~22時)で、放送形態としては現在、23時から放送している「夜ドラ」の祖先です。

「テレビ小説」の名前の通り、初期は小説のドラマ化が中心の文芸路線でしたがターニングポイントは76年の『となりの芝生』。嫁姑の本音バトルが展開され大ヒット。脚本は橋田壽賀子で『渡る世間』に続くパターンをこれで確立、銀河テレビ小説もファミリー路線が中心になりました。

ほかに有名な作品というとビートたけしの少年時代を描いた『たけしくんハイ!』や藤子不二雄が漫画家になるまでを描く『まんが道』などです。

『愛さずにはいられない』と『煙が目にしみる』

それでこの4月のおすすめ作品は『愛さずにはいられない』と『煙が目にしみる』。それぞれ80年と81年の銀河テレビ小説です。

『愛さずにはいられない』
大工の勝利(川谷拓三)は36才・独身で母と二人暮らし。夜は定時制高校に通い、新任教師・麗子(根岸季衣)のことを密かにすきだった。しかしその麗子、故郷で結婚詐欺にあい、いたたまれず東京にでてきたという過去があった…

『煙が目にしみる』
将棋連盟奨励会の三段の内堀(川谷)は30才。31才の誕生日までに四段にならなくては定年でやめなくてはいけない瀬戸際。しかし二連敗となり、また恋人を弟弟子に奪われてしまったショックであてもなく列車にのって放浪。山梨県の温泉宿に流れ着き、そこでフラメンコダンサーの千草(根岸)と出会う。

下積みの苦労とコンプレックス

2作の共通点は主演が川谷拓三と根岸季衣、脚本がジェームス三木でさえない男と女のラブストーリーであることです。

代表作は大河ドラマの『独眼竜正宗』『八代将軍吉宗』などで、エンターテイメント志向と思われがちなジェームス三木脚本ですが、底に流れているのは自身も若いころに売れない歌手だった経験から生まれた「下積みの苦労やコンプレックスを持った人に対してのやさしい視点」。

『独眼流正宗』伊達政宗は片方の目をなくしそのハンデにめげず東北の覇者となります。『八代将軍吉宗』も三男坊で大名になれる見込みのなかった吉宗の下積みの苦労とその子・家重の優秀な父を持つ子のコンプレックスが隠れたテーマでした。

そして「下積みとコンプレックス」というテーマがもっともはっきりでているのがこの二作です。主演の川谷拓三は東映の大部屋俳優出身で下積みが長く、根岸季衣はコンプレックスが重要テーマであるつかこうへいの劇団出身、テーマにふさわしいキャストでした。


将棋ドラマといえば

『煙が目にしみる』で将棋が扱われているのは、ジェームス三木が将棋ファンだから。ジェームス三木ドラマを見るとよく登場人物が将棋を打っています。「奨励会の定年」という題材を引っ張り出したのはさすが。ちなみにこのドラマにはモデルがあります。定年・第一号になった鈴木英春元三段。今でもアマの強豪として活躍しています。

将棋ドラマといえば有名なのは朝ドラ『ふたりっ子』。これも香子(岩崎ひろみ)が奨励会卒業をねらうライバルとして定年前の雨宮三段(田口浩正)と戦うため悩むというエピソードがありました(このころは定年が26才とさらに下がってます)。

二つ将棋ドラマがでてきたので、もう一つあげて三大作品にしましょう。01年放送のスペシャル『聖(さとし)の青春』。ベストセラーのノンフィクションを原作に難病を持った棋士を主人公に命の重さ、勝負への執念、師弟愛が描かれすばらしいドラマでした。

ジャズのスタンダードナンバーシリーズ

話題を『愛さずにはいられない』と『煙が目にしみる』に戻して、二作のもう一つの共通点はタイトルがジャズのスタンダードナンバーであることです。銀河テレビ小説ではこのシリーズで、あと二作『夢見る頃を過ぎても』と『あなたに首ったけ』(ともに83年)があります。

『夢見る頃を過ぎても』は豆腐屋の夫に蒸発された妻(十朱幸代)が年下の従業員(加藤健一)と深い仲になってしまう、しかし夫が戻ってきて、というストーリーでちょっと毛色が違います。
『あなたに首ったけ』はクビになりそうなプロ野球の二軍投手(三浦洋一)と安キャバレーのホステス(根岸)のはなし。野球選手ということで川谷拓三から三浦洋一になっていますが、ほぼ同じ趣向です。(三浦洋一もつかこうへいの劇団出身)

このシリーズの実績をひっさげてジェームス三木はこのあと朝ドラ『澪つくし』を書いて一般にも名前が知られるようになります。

ホームドラマチャンネルは注目作目白押し

『愛さずにはいられない』は確か、銀河テレビ小説が終わった直後だと記憶しているので89年頃再放送されましたが、『煙が目にしみる』は本放送以来なので非常に楽しみです。

『愛さずにいられない』4月 7日~ 月~金 7:00~7:30など
『煙が目にしみる』  4月28日~     〃



また4月の「ホームドラマチャンネル」は他にも注目の作品が目白押しです。
・3月から放送している山田太一脚本の大河ドラマ『獅子の時代』
・こないだのTBS鈴木京香版の新作とのからみか?毎日放送・小川真由美版『青春の門 第一部』(「これは」おもしろい)
・新しいところでは一昨年のテレビ東京新春12時間ドラマ『壬生義士伝』。
などなど。おすすめ作ぞろいです。


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