毎回、様々な文房具をいろんな角度から堀り下げて私たちを楽しませてくれているエイ出版社文具ムックの「趣味の文具箱」、「ステーショナリー マガジン」。それらを4年前から自ら企画し作り上げてきた清水編集長。たくさんの文具を取材してきた清水さんが普段どんな文具で取材をしているのか、私自身かねがね興味を持っていた。そこで、清水さんにお時間をいただき日頃愛用している文具を見せていただいた。これは言わば「趣味の文具箱」を作り上げるために使われている縁の下力持ち存在の文具ということになるだろう。
趣味の文具箱 編集長清水さん
「趣味の文具箱」「ステーショナリーマガジン」の編集長を務める清水さん。「カメラマガジン」などのカメラムックも手がけておられる。


清水さんは取材の際、どんなペンを使われていますか?
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用の芯ホルダー
清水さん愛用の芯ホルダーの数々。
趣味の文具箱 編集長清水さん
「筆圧を強く書いても折れにくいところが気に入っています。」
私は基本鉛筆派なんです。もうかれこれ20年近く取材・編集の仕事をしてきましたが、鉛筆という筆記具に信頼を寄せています。鉛筆の強みは、あらゆる状況でも筆記できること。例えば、取材帰りなど飛行機の中で書くこともありますが、気圧の変化に大きく左右されることもありません。また以前、漁船で同乗取材したときに、ノートが水に濡れてしまったことがありましたが、そんな時にも鉛筆なら安心です。残量は芯の長さが一目でわかるし、芯さえあれば、機構上のトラブルなどで書けなくなるということがまずありません。私たち編集者は記録をしっかりと残すということが絶対条件ですので、そうした面で鉛筆に行き着いたという訳なんです。ただ鉛筆は携帯性が悪いという欠点があります。そこで、芯ホルダーもよく使っています。芯ホルダーならクリップもありますので、ボールペン感覚でポケットに入れておくこともできます。芯ホルダーは色々と持っていますが、中でもステッドラーのMARS780Cはお気に入りの一本です。万が一取材中に芯がなくなってしまってはいけないので、芯ホルダーを使うときには、常時鞄の中には2~3本予備のものを入れています。また、使う芯は2Bです。この硬さだとスムーズに、そしてスピード感を持って書けるのがいいですね。

今も、取材の時は芯ホルダーを使っているのですか?
たまに使いますが、最近はもっぱらファーバーカステルのパーファクトペンシルの出番が多いですね。(と、言いつつ4本のパーフェクトペンシルを取り出す。)以前、感じていた鉛筆の携帯性の悪さをこのパーフェクトペンシルは見事に解決してくれました。
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のパーフェクトペンシル
今、最も出番が多いというパーフェクトペンシル


4本もお持ちとはすごいですね。
鉛筆派の私には、本当にこれは助かります。この中で最も気に入っているのは、鉛筆削りがないスリムなタイプなんです。

パーフェクトペンシルに鉛筆削りなしタイプなんてあったのですか?
そうなんです。初期のもので、今では発売中止になってしまいました。鉛筆削りがない分、コンパクトでしかも軽量なので、とても扱いやすいです。しかも、補助軸としても優秀でスライド式の留め具もあり、しっかりと固定できます。これだと、キャップに深々と差さなくても、鉛筆の端っこを少しだけさして、後はこのスライドの留め具で固定できます。ですので、短くなった鉛筆を最後の最後までキッチリと使いきることができます。ぜひ、再生産して欲しいモデルのひとつです。
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のパーフェクトペンシル
初期型のパーフェクトペンシル。キャップ先端に鉛筆削りはない。鉛筆の固定にはスライド式とネジ式の2種類がある。残念ながら、いずれも廃盤

確かに、これは優れた機能ですね。今も売っているなら、私も欲しいくらいです。



取材ペンは鉛筆や芯ホルダーを使って書くということですが、今度はノートについてお聞かせください。普段はどんなノートを使っているのですか?
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のノート
取材ノートの基本はA5サイズ。

仕事柄、色んなノートに出会う機会がありますので、できるだけたくさんのノートを使うようにしています。その中でこれだけはこだわっているというのは、「A5サイズ」です。A5だと広げればA4になりますので、コピーもとりやすいですし、筆記スペースがちょうどよいということもあります。人は一覧してものを見るときに、視野的にA4の面積がちょうどいいのだそうです。確かに、書くにも眺めるにもしっくりとくるサイズなんです。

取材の時はどんな使い方をされていますか?
細かく書くというよりかは走り書きでじゃんじゃん書いていくという使い方です。ですので、1回の取材で10ページくらい使うのはざらです。それだけ一気に消費するのには訳がありまして、自分でメモするときは、右ページだけに書き込み、左は空白にしておきます。この空白には、右ページで気になったことを後から質問してその回答を書くためです。

清水さんのお使いのノートを拝見すると、全てのページにナンバリングが付いていますが、これは何のためすか?
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のノート
ノートの全てのページにはナンバリングがされている。
各ページのナンバリングに加えて、ノートの冒頭には、目次のように全てのナンバーを一覧にしてものも作っています。この一覧には、特に大事な情報を後で見返した時にわかりやすくするためです。こうしておけば、検索もほぼ瞬時にできます。また、このナンバリングノートまるまる一冊を使って、ムック本の構成案を作ることもあります。最初の3ページから10ページは万年筆特集など、各ページにはそのレイアウトを書き、目次は、全体の台割りとして使うといった具合に。
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のノート
ノートのはじめのページには、
ナンバリングを一覧にした目次ページがある。

また、用済みのページなども×印こそ付けますが、破って切り取ったりなどはしません。後になって参考にしたいこともたまにありますので。

なるほど、清水さんならではの使い方ですね。ところで、特に決まったノートはないとのことですが。最近気になるノートはありますか?
クラフトデザインテクノロジー(CDT)のノートがいいですね。これは竹尾が作ったものですが、A5ピッタリのサイズであること、そして「ニューパールカラーRE」という上質紙の書き味も気に入っています。

こうしたA5ノート以外に使っているものはありますか?
趣味の文具箱 編集長清水さん愛用のマルマンスケッチブック
企画を考える時などや発想を広げる時にに使うマルマン社製のスケッチブック

A5ノートは取材やラフなどいわゆる何でも書きとめるノートです。これ以外にスケッチブックも使っています。こちらもやはり、ほぼA4相当のF3というサイズです。A5ノートを広げても同じような大きさになりますが、ノートは綴じ込む部分などがあってどうしても邪魔になってしまうことがあります。その点スケッチブックならフラットですので、広々と使うことができます。このスケッチブックを取り出すのは、主に企画など発想を膨らませたい時です。

メモ帳のようなものは使いませんか?
ジョッター
今、清水さんがはまっているというジョッター。
これ以外にもまだたくさんあるというから驚きだ。

もちろん使います。ロディアを専用ケースに入れたりなどもしていますが、最近使いこんでいるのが「ジョッター」です。ジョッターの良さは、書こうと思った時に表紙を開くことなくサッと書けることです。メインに書くのはA5ノートとは別に、こうしたジョッターを常に鞄にいれています。


次にスケジュール管理はどのようにしていますか?
ノックス ブライドルレザー システム手帳
使い込まれていい艶が出ているシステム手帳。
ノックスブレインのブライドルレザータイプ

システム手帳を使っています。これはもう5年くらい使っているKNOXのブライドルレザーです。中のリフィルはバインデックスの見開き2ページで1週間のバーチカルタイプを使っています。この他、見開き2ページのデイリーリフィルも併用しています。このデイリーリフィルはスケジュール用というよりもその日のメモスペースとして使っています。このシステム手帳一冊で、先ほどのA5ノートやスケッチブックでの用途も含めて全てまとめられないかと考え、今まさに色々と試行錯誤をしている状況です。なかなか難しいですね。

ウィークリーのスケジュールページの余白に何かぎっしりと書き込まれていますが、それはなんですか?
これはその週にやるべきToDoです。ToDoリストを別に作るのではなく、全てここに書き込んでいます。日頃最もよく見るページですので、スケジュールとToDoがいっぺんに確認できて都合がよいです。

趣味の文具箱 編集長清水さん愛用の万年筆
鉛筆派を自称する清水さんだが、愛用の万年筆の数も負けてはいない。カメラのアクセサリー用ケースの中には、 モンブラン、ペリカンがズラリと並んでいる。現在の所有本数は、数えたことがないので、わからないという。


モンブラン 万年筆
なかでも最も気に入っているのは、モンブランのステンレスボディの万年筆。ズシリとした重みが心地よい。


今後、手に入れようと狙っている文具は何かありますか?
やはり、自分が大好きな文房具のオリジナルを作ってみたいですね。例えば、芯ホルダーや鉛筆補助軸など。自分がいいなと思ったものがなぜかどんどん消えていってしまうので、この際自分でオリジナルに挑戦してみようかと。

清水さんのオリジナル文具、個人的にとっても興味があります。実現したら、ぜひ教えてください。本日はありがとうございました!

取材後記
趣味の文具箱 編集長清水さん
大好きな文具を語っている清水さんは終始幸せそうな表情でした。
私自身、清水さんとのおつきあいは趣味の文具箱創刊当からなので、かれこれ4年になります。しかしながら、これまでこうして普段使いの文具についてじっくりお聞きするという機会はありませんでした。今回、改めて清水さんの愛用品そして、その愛着ぶりの一端に触れて、やはり、文具が心底お好きなんだなと、つくづく感じました。当初1時間を予定をしていた取材は終わってみると2時間以上にもわたっていました。

「趣味の文具箱」など清水さんが手がけておられるムックを見ていて、いつも感じるのは、純粋に楽しいということです。これは、やはり、作り手と読み手の「文具の好き具合」というのが同じだからだと思うのです。と言いますのも、もともと清水さんご自身が何かいい文具はないかと色々と情報収集をしようとした時、当時、そうした要望にこたえてくれるまとまった情報がありませんでした。ならばと、自ら作ってみようと思い立ったのが、趣味の文具箱の誕生のきっかけだったのです。編集者でありながら、文具をこよなく愛するユーザーの視点も忘れない、これが多くの文具ファンの心を捉えらているのでしょう。

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