最近、「鉛筆で奥の細道」や「大人の塗絵」など、鉛筆を取り巻く様子がずいぶんと変わってきた。大人の間で鉛筆を再び手にするということが多くなってきているようだ。デジタル全盛の今、アナログの筆記具として鉛筆の魅力が再評価されているのだろう。

鉛筆と言うと、どうしても、小学生やデザイナーが持つものという印象がある。しかし、今や鉛筆にも色々なバリエーションができている。今回は、大人になった今だからこそ似合う、普段使いを愉しめる鉛筆というものをご紹介したいと思う。「鉛筆再デビュー」を果たす際のご参考にしていただければうれしい。


鉛筆を知り尽くしたメーカーが作った極上品

今でこそ、当たり前になっている鉛筆の六角軸をしたスタイル、長さや太さ、さらには芯の硬さをあらわすHやBなど、そうした基準をどこが作ったかご存知だろうか。それはドイツの老舗鉛筆メーカー、ファーバーカステルである。今からさかのぼること150年以上前に作られたものだ。150年にも渡りその基準が使われ続けているのだから、ファーバーカステルが当時作った鉛筆がいかに完成されていたかがわかる。

そのファーバーカステルが、鉛筆で書くことをアートにまで押し上げた逸品がある。それが、グラフ フォン ファーバーカステル パーフェクトペンシルだ。単に高級さだけを誇ったものではなく、鉛筆を知り尽くしたファーバーカステルならではのこだわりが随所にちりばめられている。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
グラフ フォン ファーバーカステル
パーフェクトペンシル プラチナコーティング

メタル製の重厚なキャップそして、鉛筆のエンドにもメタルキャップがあり、手にしてみると、ずっしりと重みがあり、これまでの鉛筆とは一線を画すものとなっている。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
鉛筆を持つ喜びを感じさせてくれる確かなつくりこみとデザイン

グラフ フォン ファーバーカステル<br>パーフェクトペンシル プラチナコーティング
鉛筆は一本で
いろんな表情を表現できる
他の筆記具にはない鉛筆ならではの魅力は、何といっても一本で色々な表情の筆跡が書けるということだろう。書き込んで丸まった芯先なら、柔らかい線が、研ぎ澄まされた削りたての芯であれば、細く鋭い線をかくことができる。その特長と引き換えにやらなければならないことがある。それは、鉛筆を削ることだ。そのことを常に愉しんでほしいということなのだろう、このパーフェクトペンシルには、キャップに鉛筆削りが備えられている。キャップに入っているという携帯鉛筆けずりではあるが、その切れ味はすごくいい。きりりと尖った芯をいつでも味わうことができる。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
キャップの中には、
鉛筆削りが隠されている
削りたての気持ちよさを
いつでも味わうことができる

このキャップには、クリップが付いているので、普段使っているボールペンのようにシャツやスーツのポケットに忍ばせておくことができる。しかも、このクリップ、バネ式になっており、強すぎないほどよいクリップ力は、大切な服を傷めるという心配もない。まさに大人向けの配慮と言えるだろう。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
ポケットに入った状態だと、まるで、万年筆かボールペンの様にも見える
鉛筆のエンドキャップの中には
消しゴムが隠されている

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
鉛筆が短くなったときは、キャップが補助軸の役割も果たしてくれる
鉛筆は使い続けていれば、当然短くなってしまう。これは鉛筆の宿命だ。そんな時は、このキャップが補助軸としても機能してくれる。短かくなった鉛筆は、ともすると、人前で使うのが恥ずかしいと感じることもあるが、この重厚なキャップがあれば堂々と使うことができそうだ。

キャップだけでなく、鉛筆本体もとてもこだわって作られている。今回のモデルでは、六角軸ではなく、丸軸をベースにリブパターンと呼ばれる溝を彫りこむという手の込んだつくりになっている。先ほどご紹介したように鉛筆は書くことで、芯の先が減って、形がどんどんと変わっていってしまう。そのため、鉛筆を多少回転させて、芯の先の心地よい部分で書くということが必要になる。今回の丸軸とリブパターンという加工により、鉛筆の微妙な回転の調整ができ、どの向きであってもリブパターンがしっかりと指先にフィットしてくれる。高級感をかもし出しつつ、実用性も考えられているところがさすがファーバーカステルだ。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
芯先の微妙な調整も
行いやすいリブパターン
リブパターンが作り出す
美しい削りカス

また、このリブパターンには、もうひとつとっておきの愉しみ方がある。それは、鉛筆を削ること。キャップ内部にある鉛筆削りで削ってみると、その削りカスの美しいこと。溝があることで、削るたび生み出される削りカスがまるで花びらのようにも見える。鉛筆ならではの、削るという行為を目でも愉しませてくれる。

使い続けていると、削らなくてはならない、そして軸もしだいに短くなっていってしまうという、他の筆記具に比べると弱点とも思えるそうしたことを、パーフェクトペンシルでは見事に愉しみに変えてくれている。まさに、大人になった今、もう一度付き合ってみたい鉛筆と言えるだろう。

 

グラフフォンファーバーカステル パーフェクトペンシル
鉛筆で書くということを喜びに変えてくれる

<DATA>
・商品名:グラフフォン ファーバーカステル パーフェクトペンシル
プラチナコーティング(ブラック)
・サイズ:エクステンダー(キャップ)径11mm、74mm
ポケットペンシル 径8mm、長さ約132mm
エクステンダーにポケットペンシルをさした状態の長さ153mm
・付属品:ポケットペンシル3本入り
・価格:31,500円(税込み)
・販売店:丸善・丸の内本店にて購入できます。
・問合わせ先:日本シイベルヘグナー

>>次のページでは、「漆を塗った鉛筆」をご紹介

心して削りたくなる漆塗り鉛筆

日本で古来から親しまれている漆。その落ち着いた色あい、手に馴染む感触、そして頑丈さなど、美と実用性を兼ね備えた伝統工芸である。

 

五十音 漆塗り鉛筆
五十音オリジナル 漆塗り鉛筆

その漆を贅沢にも鉛筆に使ったものがある。この漆塗り鉛筆は、銀座で鉛筆とボールペンだけを扱うショップ、五十音さんで発案され販売されている。
鉛筆は使うほどに削ってしまうことになるのだが、そこに漆を塗るとは意外な発想だ。

 

五十音 漆塗り鉛筆
各地の漆職人が一本一本手塗りで仕上げている

漆と一口にいっても色々な種類がある。今回は代表的な3種類をご紹介したいと思う。

 

五十音 漆塗り鉛筆
上から
・七々子(ななこ)塗り
・津軽唐塗り
・飛騨春慶塗り

まず、七々子(ななこ)塗りの鉛筆。津軽に古くから伝わる漆塗りのひとつ。細かなわっかのような模様が鉛筆全体に埋め尽くされている。これは菜種の粒をつけて塗り重ねたものだそうだ。とても和を感じさせる模様だ。

次に、津軽唐(から)塗り鉛筆。よく食器などをのせるお盆などで見かける柄だ。色々な漆が塗り重ねられており、黒地の上に落ち着いた色がちりばめられている。西洋にはマーブルという模様があるが、和風のマーブル模様とも見えなくもない。

3本目は飛騨春慶塗り。個人的に一番気に入っている柄がこれだ。木目を活かしながら透明感のある漆が塗られている。根元に黒地が敷かれているので、単色であっても、とてもしまった印象になっている。この春慶塗りだけが、六角軸ボディになっている。3本の中で、特に凛々しさが感じられ、男性が持つには相応しい一本だと思う。

あまりの美しさのため、削っていない状態だと、鉛筆というよりもまるでお箸のようにも見えてしまう。削らずに飾って眺めていたいところだが、ここは鉛筆なのでやはり使ってあげるのが、この漆塗り鉛筆のためというものだ。さらに言えば、一本一本精魂込めて、手で塗ってくれた職人さんのためでもある。

 

五十音 漆塗り鉛筆
ナイフで削るとゴツゴツとした仕上がりになるが、
それがまた味わい深い

問題は、何で削るかである。鉛筆削りを使うという手もあるが、それでは、なにか味気ないような気がする。手塗りにより一本一本微妙に柄が違うように、削りもナイフで違った仕上がりにした方が、この鉛筆には相応しいと思う。

伝統工芸の漆を削って使い切ってしまうという贅沢な鉛筆、職人の方に敬意を表して最後の最後まで大切に使いたい、そんな気持ちにさせてくれる鉛筆だ。

<DATA>
・商品名:五十音オリジナル漆塗り鉛筆
七々子塗り 2,000円/1本
津軽唐塗り 1,600円/1本
飛騨春慶塗り1,600円/1本
・サイズ:長さ 178mm
・販売店:五十音にて購入できます。
・問合わせ先:五十音


<関連リンク>
グラフフォン ファーバーカステルのオフィシャルサイト(英語)
五十音の記事
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