使いながら進化させていったデザイナーの便利な形

m+「MARSUPIO チョコ」各26,250円 (税込)

持ち歩いてサッと取り出したい日常の小物を入れるポーチや鞄は、頭で考えて作っても、あまり実用的なモノは作れません。本当に、自分が使って納得できるものは、作って、使ってみて、修正して、また使って、という作業を繰り返して初めて、「便利」と言える形になるものだと思うのです。

そして当たり前ですが便利なだけでは、使っていて楽しくないですし、毎日持ち歩くものですから、デザインや質感、つまり、使い続けたいと思い、持ち歩くことが嬉しい、そういう仕上がりでなければなりません。ビジネス鞄なら、機能や容量を優先してデザインは妥協できる範囲なら大丈夫というケースもありますが、小物入れ的な小さなバッグやポーチは、手元で扱い、身体に触れるアイテムです。デザインや素材感がとても重要になるのです。

あの、あまりの使いやすさでベストセラーになった財布、m+(エムピウ)の「MILLEFOGLIE」をデザインしたデザイナー村上雄一郎さんが、自分で使うために作ったウェストポーチ「MARSUPIO」は、実用性を徹底的に自ら検証し、それを支える素材を含むデザインで仕上げたもの。実は、ウェストポーチが嫌いなガイド納富ですが、これなら使いたいと思い、実際に使ってみたら、その行き届いた仕様にいちいち感動してしまいました。ポーチと呼ぶより、洗練された小さな革の袋を持ち歩いている感じで、その素材による存在感と、主張しないデザインのスマートさのバランスが、とても心地よいものでした。

柔らかい山羊革の存在感とシンプルなスタイルの信頼性

柔らかく素材感のある山羊革としっかりした縫製

使われているのは、柔らかいけれど、しっかりした肌合いを持つタンニン鞣しの山羊革。牛革ほど繊細でなく、傷がつきにくく柔軟な山羊革は、毎日ハードに使うポーチには最適の素材。年齢性別を問わない質感のフラットな感じで、ワイルドにも見えるし端正にも見えるので、服装を選びません。金具部分も、しっかりとしたものが付いていて、縫製も頑丈と、毎日使うことを前提に作られています。

付け方次第でショルダーやボディバッグにもなるベルト

ストラップの付き方を見れば分かるように、ウェストポーチとして使うと、ベルトから少し下がった位置にポーチ部分が来ます。この高さが、歩行や座った時の邪魔にならず、また、見た目もスッキリして、ウェストポーチにありがちの野暮ったさがありません。付けた感じは、ウェストポーチと言うより、プロの道具入れという佇まいで、気恥ずかしさを感じることなく使えます。

ベルトを長くして、ショルダーバッグのように使うことも出来れば、短い革のハンドルなどを用意すれば、小型のハンドケースのように使うことも出来る、フレキシブルな構造も嬉しいですね。いっそ、ベルトを外して、直接持ったり、革のストラップを付けて片手でぶら下げたりといった使い方も考えられます。ボディが横22cm×縦16cmと小振りで、マチも狭めにとってある、ギリギリのボディサイズだからこその自由度の高さだと言えるでしょう。

携帯電話入れは外に付けて、中はスッキリさせた大容量

ポケット三つとペン挿しだけのスッキリした室内

この「MARSUPIO」は、通常のポーチとしても小さい方ですが、必要なモノを入れて、入らなくて困るということが、あまりないようになっています。それは、携帯電話は側面にいれて、内部はスッキリと大きく開けられるようになっているからです。また、いっぱい詰めても、パンパンになった感じがしない、山羊革の柔らかいけれど弾力のある素材感が、見た目無理しているように見せません。

内装部分はペン挿しが二本分と、カード入れ風のポケットが二個、メモ帳やiPod nanoなどが入るくらいのポケットが一個だけです。ポケットはマチが無いタイプなので、ポケットを使わなければ、中の容量いっぱいモノを入れる事が出来ます。といっても、サイズが小さいですから、いっぱいに入れても、大した数のアイテムは入らず、中の見通しも良いので、それぞれのモノの出し入れはスムーズ。

ペン挿しは、外側の太い軸も入る方をメインに使えば、中をさらに広く使えます。側面の携帯電話入れも、革ベルトを上手く使った、中が見える仕様なので、メールの着信などをケースに入れたまま確認できます。一本の革ひもで携帯電話を留める方式で、出し入れがスムーズだし、小さなものから大きな多機能タイプまで入るように作られています。ちょっとした部分ですが、こういう小さな部分に手間がかけられているからこそ、全体が使いやすいのでしょう。

次のページでは、この「MARSUPIO」に実際に様々なモノを入れて、実用範囲を見てみましょう



モノを入れてみて分かるサイズバランスの絶妙さ

ガイド納富は、このポーチを日常用、散歩用、遊び用などと、その日の外出の目的に合わせて使い分けています。実際、それぞれに必要なものを入れると、ちょうど一杯になるので、そのサイズバランスの絶妙さに感動してしまいました。

財布手帳を中心にした日常セット仕事編

これは、日常用のセットです。二つ折りの革財布(前にガイド記事で紹介した、吉田カバンの「SOAK」)、ほぼ日手帳(革カバー)、名刺入れ、携帯電話が入っています。これに、iPod nanoや万年筆を追加することも出来るのですが、筆記具はほぼ日手帳にラミー2000の四色ボールペンを付けてますし、iPodは必要ならポケットに入れるということで、少し余裕のある内容にしました。仕事などで動く時のセットなので、あまりパンパンに入っていない方が見た目が良いという判断です。余裕があるので、出し入れもとてもスムーズ。

iPod、デジカメ、文庫本などの散歩の七つ道具

続いて、散歩やカフェなどに持っていくセットです。また、仕事用の色々は別途カバンに入れて持ち歩く際のセットでもあります。つまり、ガイド納富が仕事などを抜きにして、基本的に常に持ち歩きたいと思っているモノ、いわゆる七つ道具的なセットですね。中にはいっているのは、文庫本(ガイド納富オリジナルブックカバー付き)、デジカメ(SANYO Xacti DMX-C6)、iPod 80GB(サイドワインダーというケースに入れてイヤフォンもケースに巻き付けて装備)、名刺入れ兼メモ帳(YMSKの名刺&メモホルダー)、万年筆(パーカーの21)と携帯電話。これだけ入れば、他に要らないというセットですが、これが、この小さなポーチに入るのですから、やはり驚きです。

ニンテンドーDS Liteを中心にした遊び道具セット

これは、遊びセット。現実逃避の小さな旅に出る時のものです(笑)。入っているのは、ニンテンドーDS Lite、トランプ、リングメモ(ロディアの新作メタリック・シリーズです。ロディアの新製品については、3月中にガイド記事で紹介する予定です)、万年筆(パーカー21)、iPod nano(ケースは、イヤフォンリール付きのFlip Pad、バケッタレザーバージョン)、イヤフォン、チョコレート(バンホーテン ディアカカオ)に携帯電話。

こうやって見ると分かるように、何か一つの目的に必要なものだけ入る、という感じのサイズなのです。文庫本や新書版なら二冊入れたら他のモノが入りません。でも、ちょっと出歩くのに本は一冊で十分です。そんな風に、本当に持って行きたいモノだけが過不足無く入るように出来ています。それは本当に大したものだと思うのです。


ガイド納富の「こだわりチェック」

絶妙なサイズバランスは、絶妙なウェイトバランスにも繋がります。必要最小限のモノが入るということは、必要最小限の重さにしかならないというわけで、ポーチがウェスト部分でみっともなく垂れ下がるということもないわけです。この手のポーチは、入れば良いというものではなく、ユーザーが中に何を入れるかを吟味した時に、それをきちんと収められる、ということが重要。そんなポーチの役割と特性を考えたデザインになっているのは、やはり、自分で使いたいものを試行錯誤して作ったというモノだからでしょう。

マチが狭いのも、無理にモノを押し込めないようにすることと同時に、中のものが出し入れしやすく、中にモノを入れても形が崩れないようにという配慮。新書サイズがギリギリ入るという横幅、財布より少し高いくらいの高さも、二段重ねでモノを入れたり出来ない、つまり出し入れが楽にできるための計算されたサイズ。使いやすいポーチはどういうものかを、身体で知っているからこそ出来たサイズ感覚だと思います。

そして、何より、ハードに使えば使うほど味わいの出る素材と、ハードに使いたくなるような機能と、実際に使えるサイズという、それぞれの要素が、他の要素を補完しあうような製品バランスが、このポーチを、使いたいと思わせる製品にしているのだと思います。この小さな革の袋に、自分なら何を詰めるか考えるだけでも楽しく、実際に持ち歩いて、入れたモノの過不足の無さに感動したりできるのが、この「MARSUPIO 」を使う最大の面白さだったりします。


<関連リンク>

・m+(エムピウ)のウェストポーチ「MARSUPIO チョコ」はスタイルストアで購入できます。

・m+(エムピウ)のウェストポーチ「MARSUPIO アイボリー」はスタイルストアで購入できます。

m+(エムピウ)のやたら使いやすい構造主義的財布「MILLEFOGLIE」の紹介記事はこちら

m+(エムピウ)のペンケース「ROTOLO」の紹介記事はこちら

・m+主宰、デザイナー村上雄一郎氏のブログ

ガイド納富が選んだ、もう一つのウェストポーチ、urbantoolの「hipHolster」紹介記事はこちら。


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