やってはみたいんだけどさぁ……

素足履き
夏になると休日に是非ともやってみたい「ローファー素足履き」。でも足の臭いを気にしてできない、と言う心理も理解できます。


2009年は例年に比べ、気温が25度以上になってしまう日が妙に早く訪れているような気がします。地球温暖化を気にしつつも、お休みにそんな日に恵まれるとついついやりたくなってしまうのが、ローファーなどややカジュアル寄りのレザーシューズの、いわゆる「素足履き」です。わが国では良かれ悪しかれ某イケメン男優(年齢不詳)のイメージが付きまとう、あれ。

アメリカ的な装いに光が当たり、ローファービットモカシン、それに素足で履くのが元来の用い方のデッキシューズなどが近年再評価された中、頓着の無いイメージがあるこの「素足履き」も少々復権しているようです。が、数年前までそれは本当に風前の灯。1967年生まれの小生が若い頃はそれほど珍しいことでもなかったので、それっぽく見せるためのヌードソックスなるものが出た時は、
「なーんか往生際が悪くて、男が潔く履くもんじゃーないよなぁ」
などと穿った見方をしたりもしました(靴下業者さんごめんなさい)。

でも一方で、「素足履き」を敬遠してしまう理由も、よーく解るのです。靴の中で足が汗でベト付きそうだし、何より靴を脱いだ後、程度の差こそあれ足の臭いが広がりそうで…… いや、この「素足履き」の際に限らず、足の臭いで悩んでいらっしゃる方って、老若男女を問わず大変多くいらっしゃるようです。そこで今回は、この「足の臭い」に焦点をあてて、合わせて基本的な対策も紹介してまいりたいと思います。


次のページでは、「足の臭い」が発生するメカニズムについて予めお話します。根本原因を知ってこその対策!

イヤな臭いは汗と細菌の「合作」!

素足
足のイヤな臭いは「汗の臭い」と思われがちですが、それは半分不正解。汗自体ではなく、それが足の裏に常駐する細菌で分解されると発生するものです。


足の臭いの元になるのは、足の裏にかく「汗」そのものの臭いだと信じている方が多いと思いますが、これは半分正解で、半分間違いです。高校の生物の授業みたいになってしまいますが、人体が汗を出す「汗腺」には、ほぼ全身にある「エクリン腺」と脇の下など特定部位だけにある「アポクリン腺」の2種類があって、後者から出たものの方がたんぱく質や脂質を多く含むせいか、前者より明らかに臭います。足の裏には前者しかないので、そこから出た汗自体は、本来はほとんど無臭なのです。が、出た瞬間はともかく放置すると、足の皮膚に常在する様々な細菌(バクテリア)の作用で分解され、その際に皮脂・垢・角質等も影響し臭いを発するようになるのです。

以前お話ししたカビの件と同様、細菌は善玉であれ悪玉であれ日常生活の中で
  • 酸素:生き物ですから、コレが生きる上で絶対必要。
  • 温度:細菌の種類により異なりますが、いずれもある程度以上気温が高い方が好条件です。
  • 湿度:これも種類により異なりますが、高い方が確実に繁殖します。
  • 栄養:足自体や靴の内側に付いた皮脂や垢それに角質などが、細菌には格好の栄養です。
の4つの条件が揃うと一気に繁殖します。ですので足の臭いが気になり出すのは必然、汗をかき易く高温多湿で細菌も元気な夏場となる訳です。ただし近年では、ブーツと通気性の劣るストッキングで足の蒸れやすい=細菌が繁殖しやすい環境が人工的に作られてしまっている冬場も、特に女性の間では大きな問題となっているのはご存じの通りで、もはや季節を超えた悩み事と申せます。

ここまで解ると、足の皮膚に常在する様々な細菌を取り除くことが臭いを抑える最善策だと、もう賢明な読者の方なら気付けますよね(流石に「汗をかくな!」とは言えないし……)。ただし、足自体からそれらを完全に除去するのは極めて難しく、まずは彼らの活動を抑えること、つまり上記の4つの条件のどれか一つでも取り除くことを並行させるのが、解決への近道となります。簡単に取り除き易いのは、後ろの2つの「湿度」と「栄養」。と、言うことは、これは「足」だけではなく、履いている「靴」にも、それ相応の対策やケアが絶対に必要だぞ!


次のページでは、まず「靴に居座る『足の臭い』を除去する方法」を、いくつかお話します。

靴の中も消毒するのが肝心!

消毒用アルコール・お酢・サドルソープ
靴の中に溜まった「足の臭い」を取り除くのに効果的なのが、この3つ。消毒用アルコールやお酢それにサドルソープで、臭いの発生源の一つである細菌を、汗や皮脂の汚れや垢と共に確実に除去します。


「足の臭いが気になる……」と言う方は、大抵の場合ご自身の「足のお手入れ」には物凄く気を使っているのに、履いている「靴」には何故か無頓着な傾向があります。せいぜい消臭効果のあるソックシートや消臭除菌スプレーを活用している程度。これらは確かに極めて効果的ではあるのですが、靴の内部に溜まった「足の細菌」と「細菌で分解された汗」だけでなく、皮脂それに垢など細菌の活動の基になる「栄養=汚れ」をしっかり取り除かないと、その効果が半減するであろうことは、前ページの話からお察しいただけるでしょう。靴に付着・蓄積してしまったそれらも、文字通り相当ニオう存在なのですが……

それらを取り除くのに一番効果的なのは、小生の経験上、薬局で売っている「消毒用アルコール」だと思います。注射の直前に塗られてヒヤッとする、あれです。コットンパフにこれを適量取り、ライニングやインソールなど靴の内側を拭いてあげると、この種の薬剤の主成分であり揮発・消毒性を有するエタノールで、それらだけでなく余分な湿気も同時に取り除けるのです。例えば「素足履き」したローファーも、帰宅後に靴の内部をこのように処置しておけば足の臭いが嘘みたいに籠らなくなり、少なくとも「靴が臭う」事はなくなります。色落ちの心配が若干ありますが、靴の内部ですから見栄えにはあまり影響しない筈ですし、リスクを避けたい方は靴用の消臭除菌スプレーで同様に拭いても構いません。

もっと身近なところでは「お酢」も効果的です。詳細は不明ですが、これに含まれる酢酸が上記のエタノールと似たような殺菌・消毒効果を発揮するようで、同様に用いると確かに効き目を実感できますし、何しろ食べ物ですから無茶な使い方をしない限り安全です。えっ、お酢だから「足の臭い」以上にツンとしそうだって? 流石に原液を用いればあの強烈に酸っぱい匂いに襲われますから、水で2~3倍に薄めてものを用いるのが宜しいでしょう。そうすれば拭いた後数時間でこれは気にならない程度に飛んでしまいますし、それでも気になりそうな方は、一般的なお酢に比べ匂いが若干ソフトなホワイトビネガーを同様に薄めて使ってみて下さい。

そして忘れちゃいけない! サドルソープ等で靴を洗うことも、これらの効果を一層引き上げてくれます(その方法はこちらこちら)。更に、
  • 足に合わない靴は履かない(靴の不具合による不要な発汗を防ぐ)。
  • 同じ靴を2日以上連続して履き続けない(汗や汚れを靴に無駄に付着させない)。
  • できるだけ通気性に優れた靴を揃える(ドレスシューズの場合は、アウトソール・インソール共に革でできたものが断然ベスト)。
  • 靴をしまう時は内側の湿気を十分飛ばしてからにする。
  • 下駄箱を湿気の多い場所には置かない
など、靴の外側と同様に内側も清潔感を保ち、靴に「足の臭い」が蓄積されるのを防ぐ戦法を取れば、たとえそれ自体が完治し切れなくても、確実に状況が好転します。ですので、足だけでなくどうか靴の衛生の方にも意識を向けていただければと思います。


最後のページでは、「足の臭い」自体を防ぐ基本的な方法をご紹介!

やはりまずは、足の清潔を保つこと!

固形石鹸とうがい薬
足の臭いを防ぐには、やはり日頃から足を清潔にしておくことが肝心。しっとり系のボディーソープより固形石鹸の方が、この場合は効果的です。それでもダメ…… と言う場合は、うがい薬を使うのも一策。


さてさて「足自体の臭い」を解消するには、2ページ目の復習になりますが、その原因となる足の裏に常在する様々な細菌を取り除くか、彼らの活動を抑えることが何より肝心となります。その方の体質や食生活、それに居住環境なども絡むことなので、「唯一絶対的な策」とは断言できませんが、少なくとも足の清潔さを保っておくことは必要なことです。

となると、まず誰でも思い浮かぶのが、やはり「常日頃から、足をちゃんと洗うこと」。当然これで大正解ですが、これにはちょっとした工夫が要りますよ。一つは「固形石鹸を用いる」。今日体を洗うのにすっかり主流となった液体のボディーソープは、その多くに保湿成分が含まれていまして、他の部分にはともかく足の臭いを防ぐのにはこれが逆効果になり得るので、サッパリ洗える古典的な固形石鹸、しかも汚れの除去効果だけでなく殺菌・消毒効果のあるものがお勧めです。もう一つは「軽石などを用いて、足の余分な角質も取り除く」。角質も細菌が繁殖するための栄養になってしまうので、足が痛くならない程度に(何事も過度は禁物!)余分なものは取り除いておいた方が確実です。

前ページの靴のケアと共同歩調を取れば、これで足の臭いは大抵治まる筈ですが、これでもまだダメ…… と言う方は、まあ、ちょっと神経質過ぎるかも知れませんが、「うがい薬」を併用してみるのも秘策です。本来の使い方とは全く異なるものの、こちらもご存じのとおり、主成分であるポビドンヨードの殺菌・消毒作用が絶大ですので、適度に薄めたものをコットンパフなどで、足の裏全体に塗ってみましょう。ただしこれ、衣服に付いたら色が取れにくいのが大きな難点なので、入浴の最後に浴室の中で塗って、2~3分程放置し効果を十分行き渡らせた上でシャワー等で洗い流してしまうのがお勧めです。

あと、「靴下に気を遣う」ことも肝心ですよ! 材質により足の裏の通気性が大きく異なるからで、それに劣るナイロン・ポリウレタン製のストッキングを愛用されることが、女性が足の臭いで悩まれる一因になっている事からも、その重要性がお解りいただけるのではないでしょうか。一見暑苦しく感じがちですが、保温性と共に通気性・発汗性にも意外と優れ、細菌の増殖が起こり難いのがウールを主原料としたもの。実は小生がそうなのですが、体質によっては真冬はもちろん、真夏でもコットンを主原料としたものより蒸れずに快適に感じる方もいらっしゃるかと思います。

と言うことで、今回は夏場に特に気になり始める「足の臭い」の原因と対策について、色々とお話し申し上げました。尚、単純に靴や足の衛生状態ではなく、水虫を始めとする病気の直接・間接的な影響で足が臭ってしまう場合も十分あり得ますので、その際はやはりお医者様にご相談なされることが先決です。いずれにせよ足が、そして靴が臭わなくなれば、靴の寿命も確実に長くなりますから、上記のような日頃のちょっとした心掛けで、どちらも大切に労わってあげて下さい。


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