大抵の革靴は、洗えます!

靴を洗うための道具
靴を「洗う」ために準備したいものです。左上からクリーナー、コットンパフ、雑巾、スポンジ、サドルソープ。キッチンタオル。それと水も忘れずに!



前回は高温多湿な日本の夏でトラブルになりやすい、靴に生えたカビの除去方法と予防策に付いてお話いたしました。カビは処置を適切に行えば二度と生えなくなる場合もある一方、いい加減な除去でむしろ再発を誘導してしまう場合もあることが、お解かりいただけたかと思います。

さて今回と次回では、その前回でお楽しみにしておいた「靴を洗う」方法について、じっくり見てゆきたいと思います。日本の一般常識では考えられないでしょうが、方法さえ誤らなければ大抵の革靴は、外も中もキレイサッパリ洗えますよ! 今回はいわゆるスムースレザー系を、また次回は起毛系のものを洗ってみますが、他のケア用品と同様に、両者では用いるもの並びに用い方が異なりますので、その点は予めご注意願います。


次のページでは、早速靴を洗う具体的な方法をご紹介!

コツを覚えれば、全く簡単です!

では実際に、スムースレザーの靴を洗う手順を追ってみましょう。用具や方法自体は、別に複雑なものではありませんので、焦らず対処してください。いきなりやるのは正直勇気がいると思いますので、まずは履き古した靴でトライしてみましょう!

クリーナー使用
1:まずこのページの1:~2:のように、クリーナーで取れる汚れを予め取ってしまいましょう。サドルソープをより有効に作用させるための、一種の下ごしらえだと思ってください。


全体を湿らす
2:1:に続いて、雑巾か何かで靴全体をムラなく湿らせます。いきなり水中にジャボン! してしまうと、汚れが落ちるどころか、靴によっては水ジミが起きてしまう危険があるので、どうかここは優しく扱ってあげてください。


洗う
3:スポンジでサドルソープをよく泡立てて、靴をまるで洗車するような感覚で洗ってゆきます。汚れだけでなく、古くなった靴クリームとか、結構表面に浮き出てくるんですよ。必要ならば、アッパーだけでなく、内側やアウトソールも一緒に洗ってしまいましょう。


拭き取る
4:キッチンタオルなどで、浮き出た汚れを拭き取ります。ここでは水で洗い流すのではないことが肝心です。サドルソープには乳化性の靴クリームと似た成分が含まれているので、それを僅かに残す程度に拭き取った方が革にも有効ですし、水ジミも防げるからです。


陰干し
5:乾燥し風通しの良い屋外で、靴の内外共に十分乾くまで陰干しをします。ある程度乾燥したところで靴に合ったシューキーパーを入れておくと、靴に付いた小ジワも若干回復できます。


通常のケア
6:十分乾燥させた後でこのページの3:以降のケアを行います。残ったサドルソープの成分は、乳化性靴クリームに含まれる有機溶剤に溶けてしまうのでご安心ください。



ではサドルソープって、本来一体何なのか? は、
次のページをご覧下さい。

使えない革もあるので、それだけ注意!

サドルソープ
サドルソープって欧米では昔から使われている、読んで字のごとく本来は馬の鞍の汚れを落とす石鹸。牛革でできた靴などにも使えます。


サドルソープはもともと、読んで字のごとく馬の鞍に付いた汚れを落とすための「石鹸」で、欧米では昔から広く使われていたものです。手順のところでも書きましたが、革を洗う成分だけでなく乳化性靴クリームと似た成分が含まれているためか、イギリスで誂え靴を作る職人の中には、業務用のこれを牛乳の中に入れ煮立てたものを固まらせ、乳化性靴クリームの代わりに用いている人が未だにいるのだそうです。

スムースカーフ・スコッチグレインレザー・シュリンクレザー・オイルドレザー・ガラスレザーなど、牛革のアッパーで出来た大抵の靴ならば、前頁の方法で汚れをキレイサッパリ落とすことが可能です。若干色落ちする場合もあるので、前頁6:の「乳化性靴クリームによるケア」では、無色ではなくその靴に近い色のもので行うのが良いでしょう。特に雨が降った後の靴に起こりやすい「塩吹き」現象には、これを用いての洗浄が一番効果的! ユーズドの靴を手にいれた時にまずはこれで汚れ落とし、なんて言うのもなかなか有用な使い方です。

ただし、中にはこのサドルソープを苦手としている革もありますのでご注意願います。具体的には
  • 起毛系の革:サドルソープが細かい起毛面にこびりついてしまう可能性があります。これは次回、別の方法をご伝授します。
  • 牛革でも水性染料で染め上げられた繊細な革:出来ないことはないですが、特に薄い色のものだと水ジミが起きてしまうこともあります。
  • エナメル:独特の光沢が失われてしまうので、使わないほうが無難です。
  • キャンバス地と革とのコンビシューズ:革の染料の色がキャンバス地に色移りしてしまう危険があります。
  • コードヴァン:こちらも独特の光沢が失われがちなので、使わないほうが無難です。
  • 爬虫類系の革:クロコダイルなど。これも良品は水性染料で仕上げているためです。
などです。最近はこのサドルソープ以外にも皮革用の洗剤が幾つか登場しているようですが、この辺りの革には使えないのは、どれも同じのようですね。


と言うことで、次回は今回の続編。「起毛系の革」をどう洗うか?について解説致しますので、乞うご期待!



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