待望の「普遍的な細身」、出ました!

Master Lloyd
ロイドフットウェアの最上級グレード”Master Lloyd”の内羽根式フルブローグ。ウィズがEからDになったことで細面にはなりましたが、生真面目そのものの顔立ちは全く変わりませんよ!


お陰さまで、このガイドサイトに関しての感想等を耳にする機会が増えてまいりました。個々の記事に関するご感想やご意見もさることながら、中には「どうしてこの靴を採り上げないの?」とか「少しでも早くこのお店を紹介していただきたい!」等、紹介記事に対する大変アツいリクエストも寄せていただけており、感謝の限りです。ただそのご要望、不思議なことに「ある一店」にかなり集中しておりまして、これは奇跡、いや当然か…… 今回はその「ある一店」、日本におけるイギリス靴好きの母なる大地「ロイドフットウェア銀座」を訪れ、新たなモデルやお店の魅力など、思う存分語らせていただきます!

まずはこのお店が誇る最上級グレード、「マスターロイド(Master Lloyd)」の薄茶色が目に鮮やかな新モデルから。一見、すっかり定番になっている内羽根式フルブローグと全く変わらないように思えますが…… 一体、どこが、変わったのでしょうか? 上の写真だけをヒントとすると、少々難問かな?

実はこのモデル、木型のウィズ(足囲)を従来のものから変更したのです。日本人男性の足の形が近年細身に変化していること、さらには足囲に関してユル目であるよりタイト目な方が履き心地が良いという認識が徐々に定着しつつあることに対応し、木型の基本設計自体は変えていないものの、足囲を従来のEウィズからDウィズに一段階細めたのです。

その度合いは、下の写真をご覧頂くと一目瞭然です。向かって右側のEウィズの従来のモデルに比べ、向かって左側のDウィズのモデルは、甲の幅・高さ共にかなり狭く・低くなっていますよね。数字にするとどちらも僅か数ミリ程度の違いですが、見栄えは随分スリムになります。ただ、木型を丸ごと変え無闇にロングノーズ化するなどの流行追随は断じて行わず、普遍妥当的な様式美は徹底的に守り抜いてくれました。今時珍しいこの筋を通した姿勢こそ、このお店のこのお店たる所以。アツいファンが多いのも納得です。

因みに従来のモデルとは、メダリオンの模様やブローギングの位置などのデザインパターンも、極々僅かに変えています。どうもこのモデルのために、イギリスの製造元がデザインパターンをわざわざ新たに描き起こしてくれたらしい…… 製造元の名前が表には出ず、あくまで”Lloyd Footwear”の名で売られる靴であるにもかかわらず、そこまで協力してくれること自体、このお店が顧客からだけでなく製造元からも高い信頼を集めている、何よりもの証拠です。

なお、マスターロイドのDウィズ版は、このモデルの他にも、フォーマルプレーントウ(当然黒のみ)、ホールカットプレーントウ(黒・チェスナット)ストレートチップ(黒のみ)、パンチドキャップトウ(黒・タン。以上ここまで全て内羽根式)、さらにはチャッカブーツ(黒・タン)など充実したラインナップです。
「足に合わない靴は売りません」
を合言葉に、商売よりもフィッティング重視の謙虚な姿勢が昔から徹底しているこの店らしく、従来のEウィズモデルも嬉しいことに継続販売されていますので、どちらの方がより自分の足に合うか、じっくりチェックして選ばれて下さい。

【Lloyd Footwear/Master Lloyd内羽根式フルブローグ】
■色・素材 : タン(薄茶)・バーガンディ。共にカーフ・スムースレザー
■サイズ : UK5 ハーフ~9 Dウィズ
■価格 : 67,200(税込み)

DウィズとEウィズの比較
ほぼ同じスタイルの同一レングスの靴での比較です。向かって左がDウィズ、向かって右がEウィズ。高さも幅も随分異なるのがお解かりいただけると思います。




次のページも、実は新モデルです! どこが新しくなったのかな?

高品質、しかもマルチユース!

Uチップ
ロイドフットウェア JシリーズのラバーソールUチップです。スムースレザーではなくスコッチグレインレザーを選んでくれたところにも、このお店らしい選択眼の確かさ・妥協の無さが伺えます。


「マスターロイド」の次に位置するロイドフットウェアのメインラインが、この通称「Jシリーズ」。前者と同様、価格を遥かに超える品質で長年人気のこのシリーズから新たに発売されたのが、上の写真のUチップです。これもどこが新しいのか、パッと見では全く解らないでしょうねぇ(それが一番素晴らしいところなのですが!)。

この靴最大の特徴は、なんと言ってもこのシリーズでは初めてラバーソールを装着した点でしょう。ラバーソールと聞くと、かつてはレザーソールの靴に比べイメージが劣る傾向が大でした。しかし雨やコンディションの悪い道に強いのみならず、都会のビルにますます増加する大理石系の床面でも滑りにくい点、また耐久性に優れ減りにくい点などが大変評価され、近年ではレザーソールの靴と同格に扱い、単に用途・目的により使い分けるだけの方が大変増えています。その辺りの履き手の志向の変化に注目して登場したモデルなのです。

イギリス靴に長年関わってきたロイドフットウェアだけのことはあり、この靴のラバーソールにも当然イギリス製の「リッジウェイソール」と呼ばれるものを採用しました。「ゴルファーソール」の異名を持つことからもお解かりの通り、もともとは彼の国のカントリーサイドを悠々と歩くために開発されたもの。ですが、底面はともかく側面から見るとレザーソールと表情がほとんど変化しないため、このとおり街用にも十分転用可能なわけです。

アッパーには雰囲気のあるスコッチグレインレザー(型押しレザー)を採用したので、カジュアルかつスポーティな印象になりますが、Uチップですからね。これで大正解ですよ!普遍のアーモンドトウの採用と合わせて、このお店の
「決して奇抜ではなく、いつまでも飽きが来ずに履ける靴が、一番良い靴」
という真面目な姿勢がしっかり具現化された選択でしょう。キズも目立ちにくい革なので、上記のリッジウェイソールとの強力タッグで、天候や路面それに場面もそれほど気にせず履ける、正にマリナーズのイチロー並のユーティリティープレーヤーになること、間違いありません。

このUチップ以外にも、Jシリーズのラバーソール版には外羽根式パンチドキャップトウ(黒、こちらはスムースレザー)もあり、さらにこの秋からは同じUチップでこげ茶スエードのものと外羽根式フルブローグ(赤茶のコードヴァン調カーフ・茶スエード)が加わります。確かに、どれも一足あると便利そう…… これまでレザーソールの靴しか「良い靴」だと思えなかった方こそ、試される価値は十二分にありますよ!

【Lloyd Footwear/J Series 外羽根式Uチップ】
■色・素材 : 黒・ダークブラウン。共にカーフ・スコッチグレインレザー
■サイズ : UK5 ハーフ~9 Eウィズ
■価格 : 53,550(税込み)

リッジウェイソール
上の写真のUチップに採用されたリッジウェイソールです。ラバーソールゆえグリップ力は抜群。しかも側面からはその面影があまり出てきません。




次のページは、このお店のもう一つの名品をご紹介!

シンプルだけど、要望を完璧に満たす鞄

ミュージックケース・表面
ロイドフットウェア の鞄シリーズ”Lloyd’s Luggage”のミュージックケース。荷物があるようなないような…… のような時に丁度良い容量の、持ち歩きしやすい鞄です。


ロイドフットウェアといえば、靴だけでなく「ロイズラゲージ(Lloyd’s Luggage)」のブランドで売られている鞄も、紹介し忘れてはいけない逸品揃い。ブリーフケースやフレームトップ(ダレスバッグ)などと並び、ここの代表的な作品として長年多くの顧客から愛されているのが、この「ミュージックケース」です。

名前からもお察しの通りこの鞄、もともとはイギリスの音楽学校に通う学生や先生が用いていた、それこそ楽譜とペンの類をサッと入れるための伝統的なもの。確かにタテヨコの幅は、今日主流のA4相当のスコアを納めるのには丁度都合の良いサイズです。革のベルトと真鍮の棒で出来た輪の中に片方だけのハンドルをくぐらせて蓋部をロックする独特な仕組みも、一緒に持ち運ぶ楽器入れ(並びに楽器そのもの)に、錠前の金具で万が一にも傷が付かないようにするため考え出された、まだジッパーが存在しなかった頃の大いなる発明です。

下の写真のように裏面を見ても大変美しいのが特徴です。同じヨーロッパでもフランスやイタリアの製品のように、初めから「美しいもの」を目指したのではなく、用途・機能を突き詰めていった結果としての、素朴でありながら非常に洗練されたスタイルと申せましょう。マチ幅の薄いシンプルな一気室構造なので、本当は手ぶらで歩きたいのだけど、書類とペンだけちょっと持ってゆきたい…… みたいな際には打ってつけなんですよ、コレ。この種の鞄、一時期別のセレクトショップや日本のメーカーでも随分手がけてくれていたのですが、現在国内で容易に入手できるのは、実質ここだけになってしまいました。

素材はもちろん、鞄用の革としてこのお店が日本に初めて広めてくれたと言っても過言ではない、蝋を十分に染み込ませた厚くて張りのあるブライドルレザー。しかもこの革独自の経年変化を楽しんでもらいたいがゆえのアンラインド仕様を、ずっーと維持し続けてくれる姿勢がまた泣けてきます! ライニング付きの方が一見丈夫で高価にも思えるのですが、不要な装飾にはコストをかけず革の厚さ自体で丈夫さを出し、そちらにコストを廻そうとする道具の本質重視の姿勢、頭の下がる思いです。

【Lloyd Footwear/Lloyd’s Luggage ミュージックケース】
■色・素材 : 黒・ハバナ(こげ茶)・チェスナット・ニュートン(薄茶)。全てブライドルレザー
■サイズ : 縦28CM*横38CM*マチ5CM
■価格 : 37,800(税込み)


今のイギリスよりも「ジョンブル魂」が残っている店

ミュージックケース・裏面
ミュージックケースの裏面です。イギリス的な「用の美」を日本で完全に理解している数少ない店が、ここロイドフットウェアなのです。


そうそう、改めて思い出してみると、靴にせよ鞄にせよ他のアイテムにせよ、ロイドフットウェアはこの
「イギリスから日本に初めて紹介」
を、素知らぬふりでそれこそ数え切れない位やってくれた、非常に感謝すべき存在なのです。大手のセレクトショップで今日取り扱われている、或いは以前扱っていたイギリスの服飾品のうち、日本初の取り扱いが実はここで、しかも別の企業が本格展開する遥か前のことだったという実例、ブランドの名前は敢えてここでは挙げませんが相当あるんですよ。

それができるのも、このお店がイギリスの服飾を表面的な「ファッション」として捉えているのではなく、より深く「生活文化」として、自らの血となり肉となるよう追いかけているからに他なりません。時代を経て商品自体は少しずつ変化しても、基本的な方向性に乱れの全くないモノばかりなのは、ゆえに当然なのです。金勘定的な視点のみが先行する(=ブランドイメージを無理やり捻じ曲げ、売れなくなるとすぐに取り扱いを止めてしまう)多くの日本の店や商社・代理店とは、視野のレベルがまるっきり異なります。

今日、日本サイドのみならず、当のイギリスのメーカーやブランドまでもが新しいものばかりを追い求め、自らが築き蓄積した素晴らしい「文化」をないがしろにしているケースが、残念ながら暫し見受けられるようになっています。小生、はなはだ僭越ながら彼らにお願い申し上げたい。是非一度、銀座のロイドフットウェアを覗きに行っていただきたいと。消費者にとっては何の意味も持たない「リニューアルの羅列(賢明な消費者は、その本質をとっくに見破っているのですが)」に明け暮れている彼らが、鈍感にも完全に失ってしまった「母なる大地」がここにはまだしっかり残っていて、彼らより遥かに中身の詰まった実を育てているのですから。



【お問合せ先】
ロイドフットウェア 銀座
住所:〒104-0034 東京都中央区銀座3-3-8
地図: Yahoo!地図情報
Tel:03-3561-8047(直通)
営業時間:12:00~22:00 年中無休

ロイドフットウェア 青山
住所:〒107-0034 東京都港区南青山5-18-4 102
地図: Yahoo!地図情報
Tel:03-3409-9335(直通)
営業時間:15:00~22:00 年中無休
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