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ブラシも使い分けると楽しい!

革靴,ブラシ,手入れ

シューケア用のブラシも、お店に行くと似たようなものが色々あって混乱しますが、どのように用いるかを事前に理解していれば、選ぶのは簡単です!


以前の記事(革靴の手入れに使うクリームの選び方と使い方)ならびに、前回の記事(革靴の手入れに使う乳化性クリームの選び方と色)で、スムースレザー用の靴クリームの大まかな解説を行いましたが、皆さんご理解いただけましたでしょうか?

今回は、これらを靴に馴染ませたり、ほこりを落としたりする際に用いるブラシのあれこれについて解説いたします。基本的な使い方は、以前の記事(以スムースレザー靴の手入れ法と揃える道具一覧)でお話した通りですので、是非とも合わせてご参照下さい。
 

乳化性クリームを靴に塗るための小さなブラシ

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別に歯ブラシで全く構いませんが、直径25mm程のこの手の小ブラシがあると、本当に便利なのです。


皆さんは乳化製のクリームを、どのように靴に塗っていますか?Tシャツの切れ端のような布に取って塗る方もいるでしょうし、中には手の指で直に塗る人もいるかもしれません。小生もこれについては、永年ああでもないこうでもないと色々試してまいりました。が、今のところの最適解は「小さなブラシに取って塗る」です。

布で塗ろうとすると、これに靴クリームが多少吸収されてしまい、「適量」の感覚が掴めなくなるのと、布の繊維が靴クリームと一緒に靴にこびり付き、その除去にひと悶着する場合があるのです。また、手の指で直に塗る方法も、体温でクリームの栄養分が溶けて、靴に塗りやすくなるケースもあるので捨て難いのですが、それこそ手加減でどうしても「塗りムラ」がおきがちなので、あくまで用途限定です。

最近は靴クリーム専用のスポンジもあり、それはそれで便利なのですが、狭い箇所にクリームを行き渡らせるのは、チョッと苦手のようです。これらに比べ小さなブラシで入れる利点は、以下のような点にあると思います。
 
  1. ブラシがクリームを吸収しないので、確実に適量を塗れる。
  2. 縫い目やコバ周りなどの細かい部分にも、クリームをムラ無く塗れる。
  3. 手が汚れない!

日常的に見かけるものですと、歯ブラシがこの役割を上手に果たしてくれるので、一般的にはそれで十分OKだと思います。ただ上の写真のような専用の小ブラシも、使い出すと大きさも機能性がもう絶妙。短時間で確実に靴クリームを塗れるので、一度使い出すともう病みつきなんですよ!
 

硬くコシのある豚毛ブラシで、クリームを伸ばす!

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向かって左が豚毛、右が化繊のブラシです。いずれも靴クリームを伸ばし、かつ余分なそれを落とす効果に優れます。


小さなブラシで靴クリームを塗った後に、それを靴に馴染ませるのが、豚毛や化繊でできた大きなブラシの役割です。ここでは、靴クリームを靴全体に均等に伸ばし、かつ余分なそれを掃い落とすと言う意味で「馴染ませる」と言う言葉を用いています。

特に「掃い落とす」効果が重要です。靴の通気性を保ちつつ、水分と油分、場合によっては色も補給してゆくのがシューケア本来の目的。それを果たすためには、コバ周りやステッチ、それに履きジワなどに余分に入ったクリームを、他の部分に均等に拡散させたり掃い落としたりしなくてはならないのです。

その目的のためには、ブラシもある程度以上のパワーが必要。となると必然的に、硬くてコシのあるこれらの出番になるわけです。「柔らかいブラシじゃないと、革が傷まない?」との疑問がしばし湧きがちですが、リザード(トカゲ)やクロコダイル(鰐)などいわゆる表面凸凹系エキゾチックレザーやラムスキン(仔羊)やキッドスキン(仔山羊)のような余程柔らかい革でなければ、小生の経験上全く大丈夫です。

アッパーが牛革のスムースレザーだったら、まず心配せずに用いて構いません。実際、ロンドンの誂え靴店として名高いJOHN LOBBの純正ブラシも、永年この豚毛のもので、これも彼らの経験主義の賜物なのでしょう。最近では上の写真のような化繊の毛のブラシも、大変高性能なものが出てきており注目です。
 

柔らかい馬毛ブラシは、ホコリ落しが主任務

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馬毛ブラシの主任務はほこりを落とすことですが、それ以外に用いる場合もあります。


一方、大きなブラシでも馬毛でできたものは、靴を履いた後にほこりを落とすのが主な役割です。日頃何気なく用いる機会が多いブラシと言えるでしょう。触ってみると一目瞭然(ってなんか変な表現?)なのですが、馬毛のブラシは豚下や化繊のブラシに比べ、毛先が細く柔らかいのが一番の特徴です。

なので、粘度のあるクリームを伸ばしたり掃い落としたりしたときよりも、ほこりや軽い汚れを細かく落とすほうが得意なのです。クリームでシューケアしてあげた最後に、サッとひと払いなんて言うのも、このブラシの上手な用い方です。

ただし、お互い馬同士だからでもないのでしょうが、コードヴァン(馬の臀部の革)をアッパーに用いた靴にクリームを馴染ませる際は、豚毛や化繊のものより、この馬毛のブラシの方が相性は良いようです。実は、コードヴァンは馬の臀部の「裏革」、つまり、スエード上に起毛した肉面を、鞣す際に無理矢理寝かせて仕上げた革です。

なので、硬い豚毛などで靴クリームを馴染ませようとすると再び僅かに起毛してしまい、持ち味であるツヤ感を損ないかねないのです。その一方柔らかい馬毛のものを用いれば、そのリスクが格段に少なくなるわけです。

他にも、前述したラムスキンやキッドスキンなど、表面が平滑ながら牛革に比べ、明らかにソフトでデリケートな革の靴にクリームを馴染ませる時にも、こちらの方が無難です。ただしその際は、くれぐれもゴシゴシとは用いないで下さい。あくまでサッと軽く優しくで十分ですよ。

いかがでしたでしょうか?ブラシをきちんと用いると、掛かる時間も圧倒的に早くて済みますし、何よりシューケアの仕上がり具合が格段に違ってきます。価格も決して高いものではありません。それこそ、100円ショップで売られているものでも十分使えるものがありますから、靴クリームと同様に一通り揃えて、その便利さを是非とも実感されてみて下さい。
 

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