旧シェットランドフォックスのこと


SHETLAND FOX
1985年暮れ~1986年春頃にテイジンメンズショップで購入した旧シェットランドフォックスのセミブローグ。国内生産モデルです。伝統的な英国既製靴を彷彿させる佇まいです。

シェットランドフォックス」(SHETLAND FOX)は1982年から1990年代半ばにかけてリーガルコーポレーション(当時は日本製靴)が販売していた既製靴ブランドで、国内最高峰のクオリティーと、従来の国内モデルにはなかった英国靴らしいデザインを誇っていました。

1980年代当時リーガルが販売していた最高級ラインが「リーガルシューズ オリジナル」「リーガルシューズ オリジナル ブリティッシュコレクション」、高級ラインが「イーストコーストコレクション」でした。後半になると少しカジュアルな「アメリカン クラシック」などが加わりました。

これらが言わば表看板のようなもので、シェットランドフォックスは販売形態が異なっていたこともあり、玄人好みというか地味ながら靴好きを満足させる存在でした。

リーガルブランドがアメリカントラディショナル派から支持されていたとすれば、シェットランドフォックスは、ブリティッシュアメリカン愛好者にファンが多かったように思います。

SHETLAND FOX
1985年頃購入の旧シェットランドフォックス。こちらは英国製です。靴好きのK氏所有。

シェットランドフォックスがスタートした1980年代初頭の英国既製靴といえば、まずチャーチでしょう。

次にリーガルが販売店になっていたクロケット&ジョーンズといったところ。グレンソンはセレクトショップで取り扱っていたようです。

チャーチは英国既製靴のなかでも最高峰だと当時の靴好きは思っていました。エドワードグリーンなんてまだ知りませんでしたからね。

そんなチャーチを代表とする英国既製靴ブランドに負けないクオリティーを備えたブランドが、シェットランドフォックスだったわけです。

SHETLAND FOX
上のモデルの画像をアップしたものです。製造はクロケット&ジョーンズと言われています。

面白いことにシェットランドフォックスには国内生産のものと英国生産(おそらくクロケット&ジョーンズ製)の2タイプがありました。

当初から英国製のものがあったかどうかはわかりませんが、1985年頃には間違いなく展開していたようです。

次のページは、「1980年代の各ブランドの価格比較」です

1980年代の各ブランドの価格を比較してみると・・・。


SHETLAND FOX
1985年頃購入の旧シェットランドフォックスのフルブローグ。チャーチのバックを思わせるモデルです。英国製。靴好きのG氏所有。

チャーチ「チェットウィンド」・・・55,000円/1985年。チャーチは長年にわたって5万円台を維持していました。感謝!
クロケット&ジョーンズ セミブローグ・・・49,500円/1983年
エドワードグリーン セミブローグ・・・59,000円/1987年、66,000円/1989年
グレンソン キャップトウ・・・39,000円/1987年
ロイドフットウェア キャップトウ・・・33,000円/1985年
ロイドフットウェア セミブローグ・・・49,000円/1987年

リーガル イーストコーストコレクション セミブローグ・・・24,800円/1983年、26,500円/1987年
リーガル ブリティッシュコレクション フルブローグ・・・34,000円/1987年
シェットランドフォックス セミブローグ(日本製)・・・32,000円/1987年

当時の英国製のシェットランドフォックスは4万円台後半~5万円台後半だったと思います。
チャーチの「チェットウィンド」が55,000円ですからほぼ同じ価格帯ですね。

ちょっと無理をすれば買える国内生産モデルと、チャーチと迷ってしまう英国製のシェットランドフォックス。そんな選択肢でした。

SHETLAND FOX
1985年頃購入の旧シェットランドフォックスのフルブローグ。穴飾りに力強さを感じさせるセミスクエアトウモデル。こちらも英国製。靴好きのG氏所有。

販売する店舗も他のリーガルブランドとは異なり、1980年代に関してはテイジンメンズショップ銀座305店をはじめ、全国のテイジンメンズショップのみの展開でした。

All About靴ガイドの飯野さんによると、1988年当時テイジンメンズショップ銀座305店内にあったブリタニックコブラーというショップで、シェットランドフォックスのフルブローグをよく見ていたそうです。ちなみに銀座305店は英国のクラブライフをイメージした大人のショップでした。

本人曰く「欲しくて欲しくて、悶え苦しんだ」そうですよ。20年経った現在でもその魅力を思い出して、「悶え苦しむ」そうです(苦笑)。まあ~、その気持ちはわかりますけど・・・(汗↓)。

冗談はさておき、そんな理由からシェットランドフォックスはリーガルが販売していたカタログにも載っていなくて、1980年代半ばのテイジンメンズショップのカタログに少し載っている程度。なのでどのくらいモデル展開があったのかなど、詳しくはわからないんです。

次のページは、「シェットランドフォックスが復活!」です

シェットランドフォックスが復活!


SHETLAND FOX
1985年当時のシェットランドフォックスの箱です。「ブリティッシュコレクション」や「イーストコーストコレクション」も高級感のある箱でした。

さて、嬉しいことにそんな幻のシェットランドフォックスがこの春に復活します。REGAL SHOES各店で3月から展開する予定。昔ながらのファンも初めて知った人も楽しみにしていてください。

すでに一部の商品が新宿のイセタンメンズで先行販売されているので、さっそく見てきました。地下一階の靴売り場にはロングノーズのブリティッシュタイプと、アメリカンな質実剛健なモデルが数種類並んでいました。

ロングノーズのモデルは最上質のイタリアンカーフをアッパーに用いて、ソールのウエストの絞りも強い。さらに溝を伏せたヒドゥンチャネル仕上げで、ベヴェルドウエスト調という、これまたエレガントな仕上げでした。モダンブリティッシュなスーツに似合いそうな洗練されたデザインです。

このモデルは前半分がグッドイヤーウエルトでウエスト付近はマッケイ製法とのこと。歩いたときにソールの返りがいいのでしょう。

なかには懐かしいギリーシューズもあり、こちらはグッドイヤーウエルト製法でした。リーガルって昔からギリーシューズが得意なんですよね。

SHETLAND FOX
箱の蓋の内側には品質を保証するサインが書かれています。

さすがと思った点は、踵を入れる部分が少し窪んでいて足のおさまりがよいこと月型芯が長く、内側のアーチ付近まで入っていることですね。

余談ですが靴職人の津久井玲子さんが手掛ける既製モデルも月型芯が長~く、まるで壁のように硬くなっています。こうすることで何か利点があるのでしょう。

一方のアメリカンなモデルは表情のあるスコッチグレイン素材を使っていてかっこ良かったです。個人的にはこちらのモデルを履きたいなと思いました。これならフランネルパンツだけでなく、チノパンやコーデュロイパンツにも似合いそうですからね。

まあ、新生シェットランドフォックスの詳細は、靴ガイドの飯野さんが紹介してくれるでしょう。期待しましょう。

★新しいシェットランドフォックスの取扱予定店などの情報はこちら。
※旧シェットランドフォックスについては問い合わせないでください。
REGAL SHOES

次のページは、「1980年代半ばの旧シェットランドフォックスがコレ!」です

1980年代半ばの旧シェットランドフォックスがコレ!


SHETLAND FOX
1985年春に購入したシェットランドフォックスです。ちなみにテイジンメンズショップの1985年春夏のテーマが「ザ・ヴォヤージ」でした。1930~1940年代のスタイルを提案していました。穿いているトラウザーズはエーボンハウスです。ちょっと「華麗なるギャツビー」の世界ですね(苦笑)。

今回はあまり知られていない1980年代のシェットランドフォックスを紹介しますね。最初に買ったのは1985年の春で、たしか大阪のナビオ阪急店。当時としては珍しいホワイトバックス(ヌバック)でした。

(日本海の)砂浜で履いたのが大失敗で、どこから見てもダーティーバックスになってしまいました(笑)。当時はリゾートファッションブームで、フレンチ・リビエラに憧れてたもんでね・・・、テヘッ。

この汚れ、いくら消しゴムで消しても、チョークを塗っても白さが戻らず、しかたなく処分しました。いま思うともったいないですね~。

1985年当時は他にもタッセルスリッポンサドルシューズ、ローファーのホワイトバックス(ヌバック)を展開していました(嬉涙)。

SHETLAND FOX
1985年暮れ~1986年春頃にテイジンメンズショップで購入した旧シェットランドフォックスのセミブローグ。国内生産モデルです。ソックとライニングの色はダークグレーとナチュラルなベージュがありました。

で、次に買ったのは写真の国産製のセミブローグ。購入時期は1985年暮れ~1986年春頃で、テイジンメンズショップ吉祥寺パルコ店だったと思います。こちらはよくアラン・フラッサーのグレンプレイドのスーツ(ライセンスもの)に合わせて履いていました。

往年のハリウッドスター、ケイリー・グラントに一番憧れていた、嬉し恥ずかしい頃ですね(苦笑)。

買った当時の価格は覚えていませんが、1987年で32,000円ですから、国産でこの価格は高めです。リーガルのブランドに対する誇りを感じますね。

このセミブローグは、まるで英国靴を彷彿させる完成度の高いデザインで、とくにラウンドトウ(アーモンドラウンドトウ)の形がたまらなくいい感じなんですね~。

SHETLAND FOX
左/チャーチのフルブローグのヒックステッド。右/旧シェットランドフォックス。ともに昔ながらのアーモンドラウンドトウです。1980年代の国産シェットランドフォックスは、英国の伝統的な既製靴を参考にしていたと思います。

英国のチャーチのなかでも大好きなフルブローグモデル「ヒックステッド」(84ラスト)と並べてみると、あ~ら不思議「これは似ているな~」と思ってしまいました。

これは推測ですがシェットランドフォックスをスタートさせるときに、国産モデルに関しては英国既製靴の伝統的なフォルムを意識したのではないでしょうか。ただし最初期のモデルは見ていないので、あくまでも推測ですが・・・。

1980年代初頭当時、輸入されていたメジャーな英国既製靴はチャーチだったので、木型というかフォルムを参考にした可能性は高いですね。

また、後にシェットランドフォックスを手掛けることになるクロケット&ジョーンズの靴も参考にしたかもしれません。

次のページは、「英国既製靴を彷彿させる質実剛健な作り」です

英国既製靴を彷彿させる質実剛健な作り


SHETLAND FOX
1985年暮れ~1986年春頃の旧シェットランドフォックスのアウトソールです。当時としてはウエストを絞っている方でしょう。出し縫い糸は隠していません。

この国産セミブローグはもちろんグッドイヤーウエルト製法で、ソールは出し縫い糸が見える潔さ。このあたりもチャーチっぽいです。

ウエストの絞りはそれほど強くなく、実用性重視の既製靴といった感じですね。アッパーは最近までライセンス生産していたジョンストン&マーフィーのようなポッテリ感はなく、けっこうスマートなフォルム。

アッパーの素材はリーガルお得意のキップで、そこそこのクオリティーのものでしょう。この靴に関してはライニングの高級感もいまひとつ。このあたりは新生シェットランドフォックスのほうが間違いなく格上ですね。

SHETLAND FOX
現在の既製靴に比べるとヒールカップはあまり立体的ではないです。ただし日本人の小さな踵には合っています。ヒールは修理のときに交換していますが、オリジナルもピッチトヒールではなかったです。

最近の既製靴によく見られるベヴェルドウエストやピッチトヒールといった、既製靴なのにビスポーク靴に見せようとする小細工もなく(笑)、このあたりも潔いですね。かなり好きです、こういうところ。

というか当時は、既製靴にそんな高級感のあるデザインを取り入れようとする靴メーカーはなかったですから・・・。昔のチャーチが好きな人はたぶん好きだったと思いますよ。

ブリティッシュコレクション
右/が1986年頃に購入したリーガルシューズ オリジナル ブリティッシュコレクション。英国製。左/旧チャーチのチェットウィンド(73ラスト)。同じセミスクエアトウなので比べてみました。ブリティッシュコレクションはアッパーがキップで、ウィズが少し大きいこともあり、隣のチャーチに比べてシワが目立ちます。現在では少なくなった英国のショートノーズの伝統的なトウだと思います。

ちなみにほぼ同時期に展開していた「ブリティッシュコレクション」はノーザンプトンのファクトリーで生産させた英国製でした。

こちらは価格を抑えていて1986年当時でフルブローグが34,000円でした。クオリティーは英国製シェットランドフォックスのほうが上だったのでしょう。

次のページは、「できれば完全復刻してほしいです」

できれば完全復刻してほしいです


新旧比べてもしょうがないんですけど、新生シェットランドフォックスは旧シェットランドフォックスにはなかった魅力がたしかにありますね。

アッパーのクオリティーやディテールへのこだわりなど、今できることをすべて出し切った感じです。

ただ、1980年代の旧モデルを知っている古いファンからのリクエストをいえば、もう少し洗練されないフォルムの無骨な英国既製靴風モデルを作ってほしいです。

できれば個数限定でいいので完全復刻版を販売してほしいですね~。ただしアッパーとソールの質はグレードアップして。この形のラウンドトウのブローグって、探してもほとんどないんですよ・・・(泣)。

あと、前回も少し触れたリーガル100周年記念ウィングチップ(1980年に限定生産されたモデル)も併せて完全復刻してほしいです。こちらもたぶん無理でしょうけど(笑)。

シューツリー
1980年代半ばに購入したリーガルのシューツリー。軽量な素材で無塗装なので吸湿性もあります。バネ式でないのでクルクル回転させて調整するタイプです。

調子に乗ってついでに1980年代のシューツリーも復刻してください。3年ほど前に似たものをリーガルの専門店で買ったんですけど木材が重くて似て非なるものでした。できれば昔の軽量で無塗装のものでお願いします。

ちなみにこのシューツリーはバネ式ではなくて、踵側をクルクルと回転させてサイズ調整する珍しいタイプなんです。

いつ頃から販売されていたのかは不明ですが、1981年の「メンズクラブ」には載っていました。たぶんリーガルのロングセラーだったのでしょう。
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