トニー・フォックス氏
27年間、バーリントンアーケード店で販売に携わってきたトニー・フォックス氏。エディフィス渋谷店で開催されたオーダー会でも、その実力は発揮された。笑顔の素敵な紳士です。
9月15日にチャーチのオーダー会がエディフィス渋谷店で開催されたので行ってきました。

といってもボクの場合はオーダーが目的ではなく、来日されたトニー・フォックス氏に会うためです。

フォックス氏は27年間、バーリントンアーケード店に勤められたベテランの販売員で、現在はマネージャーとしてスタッフのトレーニングや教育などを行う責任者でもあります。

つまりチャーチの靴を知り尽くした人物ということです。そんな彼にいろいろ質問してみました。


2000年以降、すっかり新しい木型になってしまいましたが?


「2000年に導入されたラスト(木型)100は、もっと若い世代にチャーチを理解してもらいたいという理由から始まりました。2年前からはロングノーズのラスト108も登場し、こちらも評判がいいです」

ラスト73はどうなったの?


SANDRINGHAM
ラスト173を採用したSANDRINGHAM。ラスト73をベースに、現代人の足によりフィットするように調整されている。トウのあたりはラスト73よりも若干丸みがあるようだ。
チャーチのなかでも傑作と呼ばれるチェットウィンド。このモデルに使われていたのがラスト73という木型です。

ちなみに現在のチェットウィンドは、ラスト73を継承したラスト100が採用されていて、ボリューム感のあるトウに仕上がっています。

「ラスト100を使ったモデルが発売されたときに、日本でラスト73の復活を望む声が大きく、ラスト73のトウシェイプを継承し、現代人によりフィットしたラスト173を作りました。2年前から導入しています」

ラスト173はチャーチの新しい定番ラストといっていい存在で、旧チャーチ時代のラスト73のようにロングセラーの傑作木型になりそうです。

では、ラスト73はもう消滅したのかというとそうではなく、別注コレクションで継続して生産しているようです。嬉しいやら悲しいやら・・・。

現在一般に販売されているチェットウィンドディプロマットウエストバリーコンサルBECKET(発音がわからないので英語表記)の木型はラスト73からラスト100にすべて変更されています。

このラスト100というのが現在ヨーロッパでベストセラーになっている木型ですね。

超ロングノーズのイタリア靴を目にする機会が多い現在、ラスト100という木型はむしろクラシックな雰囲気です。

このラスト100とラスト173なら旧チャーチ好きのボクも、どうにか受け入れられそうですね(笑)。


次のページは、「フォックス氏が一番好きな靴は?」です

フォックス氏が一番好きな靴は?


エディフィス渋谷店に飾られたチャーチのプレート
エディフィス渋谷店にディスプレイされたプレート。他にも古い木型などが飾られていた。マニア必見です!
長年チャーチに接してこられたフォックス氏。彼が一番好きなモデルを聞いてみた。

ウエストバリーというモンクストラップが好きです。ブラックのカーフだけでなく、バーガンディーやブラウンのスエードも揃えています(笑)。あと、コンサルもよく履きます」

紐靴タイプではなく、モンクストラップというあたりが通好みだな~と感動してしまいました。

このウエストバリーというのも当時はラスト73を使っていて、ブックバインダーのカーフが有名でした。

おそらくバーガンディーやブラウンのスエードは別注で作られたのでしょう。バーガンディー(ボルドー、ワイン色)のモンクというのも艶っぽくていいものです。これは欲しい!

コンソルというモデルもラスト73で、いわゆるストレートチップモデルです。ディプロマットとは違って、穴飾りのまったくない大人のモデルです。


なぜ価格が上がったの?


ブックバンダー表記の靴箱
ブックバインダー表記の旧チャーチの靴箱。現在ではポリッシュドバインダーという呼び名に変更されている。
こんな、もの凄く嫌味な、かつ庶民的な質問をぶつけてみました。

「価格が上がった背景には世界的な金融状況もあると思います。また革の入手が難しくなってきているのも理由のひとつでしょう。ただチャーチとしては絶対にクオリティーで妥協したくはありません。値段中心でクオリティーを妥協しているメーカーもありますが、チャーチはそういうことはしません」

チャーチは長年にわたって価格を上げなかった。これだけでも有り難いことなんですが、急に上がってしまったため、ボクも含めたオールドファンは驚いてしまったわけです。

ジョン・ロブにしたって、ここ数年でぐんぐん値段が上がったりしていますから、価格の引き上げはしょうがないことです。それよりクオリティーに妥協しない企業姿勢を信じたいです。

ブックバインダーはなくなったの?


「2000年か2001年に呼び方がポリッシュドバインダーに変更されました。まだ継続して作っています、ご安心を」

独特の光沢と触ったときの繊細なタッチが魅力で、とても好きなカーフです。とくにサンダルウッドのブックバインダーは最高です。ほんと、なくならなくてよかった・・・。


次のページは、「チーニーとのデザインの互換性は?」です

チーニーとのデザインの互換性は?


REAL CAPE BUCKの表記
BUCKという起毛モデルに記されたREAL CAPE BUCKの表記。チェットウィンド スエードに似たモデルだが、ライニングがレザー仕様でした。
「デザインチームも別々で、工場も別ですから共通のデザインはありません。ただ同じグループですから交流はあると思います」

バックというのはなんの革?


ここからは個人的な質問になりました(笑)。バック(BUCK)というライトタン色のスエードモデルを持っているのですが、REAL CAPE BUCKという表記があり、この素材が不明でした。

感触が柔らかかったこともあって、ずっと鹿か羊の革だと思っていました・・・。

「カーフです。たしかにBUCKというと昔はシャモアやディアスキンといった鹿革を指していましたが、現在はカーフを起毛させたものを呼んでいます」


バーウッドが好きなんですが?


バーウッド
取材当日履いていた旧チャーチのバーウッド。色はサンダルウッドです。ちなみに靴下は大好きなハリソンのアーガイル柄で、チノーズは懐かしいバリー・ブリッケン。秋が深まればコーデュロイやフランネルのパンツに変わります(笑)。
「チャーチの歴代販売トップ5は、コンサルチェットウィンドグラフトンディプロマットバーウッドです。バーウッドはもともと狩猟のときに履いたこともあって、とても英国の匂いのするモデルです。イタリアではサンダルウッドが人気です」

バーウッドはブックバインダー(ポリッシュドバインダー)を使ったウイングチップ(フルブローグ)で、ダブルレザーソール仕様という頑強な作りが魅力です。

トリッカーズのカントリーよりも上品で作りもいいです。

ちなみにバーウッドはメンズだけでなく、レディスモデルもあります。以前、伊勢丹がラスト81を使ったメンズの復刻モデルを扱っていました。現在購入できるかどうかは不明・・・。

このようにあっという間の取材でしたが、フォックス氏の笑顔に会えただけでも嬉しかったです。

個人的にはラスト100のグラフトン(外羽根式のウイングチップ)が欲しいですねえ~。


チャーチのお問い合わせ先
チャーチ ジャパン/渡辺産業
TEL 03-5466-3454
東京都港区南青山5-14-1
グリーンビル1F

http://www.watanabe-int.co.jp/



[関連リンク]
:現在のチャーチについての記事ならこちら。木型の特徴も載っています。

旧チャーチについての記事ならこちら。新旧のチャーチを比較してみてください。

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