実用的かつ良心的

1931 トノー ムーンフェイズ
1931 トノー ムーンフェイズ
自動巻き、ステンレススティールケース
34万6500円

時計本来の良き味わいを保ちながら、実用的な機能を一つか二つ加え、なおかつ相応の良心価格を実現しているのがルイ・エラール。斬新なトレンド感や高度な複雑機能が過剰に際立ち、価格も手が届かないモデルが多い中、これなら時計好きにも近づきやすい。

まず注目されるのが、ルイ・エラール初のトノーケースの登場だ。角形ケースの左右のラインを緩やかにふくらませた、いわゆる「樽型」のフォルムは、腕時計草創期の1920年代から30年代に流行し、機械式時計が復活した1990年代から再び脚光を浴びるようになった。単純なラウンドや厳格な角形に比べ、美しい曲線に包まれたトノーは、独特の優雅な表情がなんといっても魅力的である。

1931 トノー GMT ビッグデイト
1931 トノー GMT ビッグデイト
自動巻き、ステンレススティールケース
31万5000円

新作のトノーモデルは、「1931 トノー ムーンフェイズ」と「1931 トノー GMT ビッグデイト」の二種類。前者は、ポインターデイトによる日付と小窓による曜日・12か月名表示を備えるトリプルカレンダー機能とムーンフェイズを特徴とするが、その機構や表示スタイルはまさに戦前の高級複雑腕時計を彷彿させる。楔形インデックスや剣型針といったヴィンテージライクなディテールなども、トノーケースと相まって、味わいを深めている。

後者は、大きなサブダイヤルで別地域の時刻を表示するGMT機能が印象的。ちょうど、二つの時計を一つの文字盤に収めたデュアルタイムのイメージだ。副時針とともに分針も備えるGMTは珍しい部類に入るが、表示が直感的でわかりやすく、使い勝手も良い。どちらのモデルも、価格は30万円台前半。魅力的な実用機能も加えてこの価格は、間違いなくお買い得といえるだろう。
1931 パワーリザーブ
1931 パワーリザーブ
手巻き、ステンレススティールケース
30万4500円

トリプルカレンダー・ムーンフェイズやGMTは、「プチ・コンプリケ-ション」とも呼ばれる部類に分類される複雑機能だが、パワーリザーブもその一つ。時計を動かす原動力を担う主ゼンマイの巻き上げ量(もしくは残量)を知らせるパワーリザーブ表示は、機械式時計特有のものだ。これにより、ゼンマイが十分に巻き上げられているどうか、あと何時間連続して作動するかがわかる。

今年のルイ・エラールは、主として高級時計に用いられるこの便利な機能を搭載した、やはり30万円台の手頃モデルを二つ発表した。一つは「1931 パワーリザーブ」。センター2針とスモールセコンドを備え、パワーリザーブ表示を文字盤左上に配したモデルだ。

1931 レギュレーター パワーリザーブ
1931 レギュレーター パワーリザーブ
手巻き、ステンレススティールケース
33万6000円

もう一つの「1931 レギュレーターパワーリザーブ」は、時間・分・秒を独立して表示するレギュレータースタイルのモデル。パワーリザーブというと針と目盛りで表示するのが一般的であるのに対し、これらは、回転ディスクを用いた大きく見やすい独特のパワーリザーブ表示に特徴がある。二つとも、ETAベースの手巻きにルイ・エラールとソプロドの共同開発による複雑機構を組み込んだ専用ムーブメントを使い、メカが凝った造りになっている点も時計好きには見逃せない。

デザインにも見所は多い。立体感を強調した多層文字盤やモダンなスケルトン針、一部モデルのブラックPVD加工ケース、スポーティなラバーストラップなど、時計全体のデザインも、従来のクラシカルなルイ・エラールとは一味異なる雰囲気に仕上げられており、現代的な新しさを感じさせる。ただし、慎重に行き過ぎ感を抑えているところが、やはりルイ・エラールの持ち味だ。

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