ストラップ交換は贅沢な楽しみ

好みの時計を何本も揃えて、気分やシーンに応じて着け替えを楽しむのもいいが、出番の多い愛用時計を思い切って変身させるのも一興だ。

変身といっても、時計本体を改造するわけではない。ストラップの素材や色を変えるのだ。レザー・ストラップは汗や汚れで消耗するし、日常の使用頻度にもよるが、湿気の多い日本だとおよそ1年から2年で交換時期がやってくる。消耗が目立つようになってから交換する人が大半だと思うが、それとは関係なく、好みのストラップに変えて楽しんでいる時計愛好者も最近では増えているのではないだろうか。筆者もその一人である。

ジャン・ルソーのアトリエ
ジャン・ルソーの東京アトリエにて。右端は、副社長のピエール・トムラン氏

交換ベルトは「純正品」にこだわる必要はない。というのも、時計を購入したときに付属しているレザー・ストラップは、裏面にロゴが記されていて、たしかに「純正品」ではあるものの、時計ブランドがレザーストラップまで自社内で作ることはまずなく、皮革専門メーカーに外注したOEM品であるのがふつうだからだ。優れた職人技に定評のある皮革メーカーに注文が集中するので、時計ブランドは異なっていても、同じ外注先である場合もめずらしくはない。今回、オリジナル・ストラップづくりにご協力いただいたジャン・ルソーも、そうしたサプライヤーである。

ジャン・ルソー素材サンプル
皮革の種類、カラーともに豊富な素材サンプル。
ジャン・ルソーは、1954年創業のフランスの名門皮革工房。フランスの伝統的な皮革技術を守って作られる高品質のレザー・ストラップは、高級時計ブランドからの信頼も厚い。本社と工場をブザンソンに置き、パリのサントノーレ通りにアトリエ・ブティックを構え、高級時計ブランド向けOEM生産を手がける一方で、ジャン・ルソーのブランド名でエンドユーザー向けにストラップの製造販売を行っている。

日本に上陸を果たしたのは、2006年のこと。東京の時計専門店「ISHIDA青山表参道」内にブティック「アトリエ・ジャン・ルソー」をオープンした。ここでは、既製品を手に入れたり、オーダーによる製作が可能だが、日本語ホームページでのネットオーダーも受け付けており、遠方の時計愛好家たちには便利だ(オーダー方法は次回紹介)。

次ページでオリジナル・ストラップづくりを紹介

「レベルソ」にダブルフェイス・ストラップを組み合わせる

さて、オリジナル・ストラップを作るにあたって、東京の三田にあるジャン・ルソーのアトリエを訪ねた。日本でのオーダー品はここで職人が仕上げるため、納期は8日間という異例の速さが特色だ。

ジャガー・ルクルト「レベルソ」
変身させる時計は、ジャガー・ルクルトの「レベルソ・デュオ」(私物)。

持参した時計は、ジャガー・ルクルトの「レベルソ・デュオ」。10年以上使用している愛用品だが、ストラップは、最初の1年が純正品のブラック・クロコダイル、続いてライトブラウンのオーストリッチ。それからあとはストラップ専門メーカーのボルドーカラーのクロコダイル、マットブラックのカーフ、ライトブラウンのテジュー、そしてまた純正品のオーストリッチに戻ったという遍歴を経てきた。この機会にこれまでとはまったく異なるストラップを着けてみたいと思った。

ジャン・ルソーのアトリエ
昨年秋に開設された東京アトリエではフランスで特別な技術研修を受けたスタッフが製作に携わる。
反転式ケースを採用するユニークなリバーシブルウォッチの「レベルソ・デュオ」は、デザインの異なる二つの文字盤を備えるのが特徴。それにふさわしい、世界でただ一つのオリジナル・ストラップは作れないものか? そんな相談を持ちかけると、アトリエのスタッフは、文字盤のそれぞれのイメージに合わせて、両面クロコダイルで色違いのストラップはどうかと提案。このダブルフェイス・ストラップは名案なので、すぐに賛成する。さっそく、豊富な皮革素材をテーブルに所狭しと広げてしばしディスカッション。素材、カラー、ステッチなどなど、仕様を細かに一つずつ好みで決めていくのは、やはりオーダーならではの醍醐味。実際に製作する職人さんからデザインや細部の仕上げについて、専門的な立場から意見を聞けたのも有益だった。

こうして、鮮やかなブルーと、シックなダークブラウンのマット・クロコダイルを合わせたオリジナル・ストラップ作りが始まったのだった。完成品は次回紹介する。乞うご期待。

【問い合わせ先】
アトリエ・ジャン・ルソー 
TEL03-5785-3600
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