文章 : 佐藤 明男(All About「男のヘアケア」前ガイド)

「AGA」という文字をテレビのCMや街中の看板、電車内の吊り広告等で目にする機会が増えてきました。「男のヘアケア」でも以前に、「AGA治療ってどんなもの?」という記事でご紹介してきましたが、まだまだ勘違いされている方も多いようです。そこで今回は、もう1歩踏み込んで、AGAについてお話ししましょう。

老化以外の男性の薄毛は
ほとんどがAGA

電話をする薄毛の男性
前髪、あるいは頭頂部から薄くなり始めることが多いAGA。最近では10代で悩まれる方も多いようです。
AGAは「エー・ジー・エー」と読み、“男性型脱毛症”を意味する「Androgenetic Alopecia」の略称です。広告や看板に「AGA」の文字が見られたら、製薬会社であれば治療薬、クリニックであれば薄毛の改善について取り組んでいるのだと考えて間違いないでしょう。

前髪部分、あるいは頭頂部から薄毛が進行してくるケース。20~30代からの薄毛(若年性)や40代からの薄毛(壮年性)なども、AGAに含まれます。60代以降の薄毛は自然な老化現象が原因ですから、AGAには含まれません。その場合は老化を食い止めたり、遅らせる「アンチエイジング」のケアが必要になります。

最近の傾向としては、10代後半から若年性の薄毛に悩む若者が増加傾向にあるようです。これは、食生活やライフスタイルの変化によるものと考えられています。AGAに悩む男性の数は800万人とも、1000万人以上ともいわれておりますが、いずれにしても大変な数には違いありません。

AGAの原因は複雑
素人判断は危険

パソコンと携帯
最近ではインターネットで、簡単に海外から個人輸入できてしまいますが、素人判断だと危険が伴います。
10代から40代くらいまで、若くして薄毛になる方の多くがAGAだとはいえ、AGA治療を自分勝手な判断で進めるのは危険です。同じ薄毛でも、ストレス等が原因の「円形脱毛症」の可能性もあるからです。前髪から、あるいは頭頂部から薄毛が進行しているからAGAで、それ以外の部分なら円形脱毛症の可能性があると見立てることも、まったく根拠がないとはいえませんが、素人判断はケガのもとです。

AGA治療薬の中には処方箋が必要でないもの、海外からの個人輸入で入手可能なものもあり、医師や専門家に頼らずに、薬剤を使った治療ができてしまいます。ですが、それらは副作用や根本的な見立て違いによって、薄毛の治療どころか、健康を大きく損なう危険性も伴うのです。

それゆえに、きちんとした専門家に相談することが望ましいでしょう。病院であればAGA専門・頭髪治療専門と掲げているところが安心です。また、最近はAGA治療を行う皮膚科も増えてきました。皮膚科以外でも、一部、AGA治療を行う内科や形成外科もあります。ほかにも、AGAのケアを行うサロンなどがあります。

前髪から薄くなり始め、いや頭頂部から、いいえ、そのどちらからも……と、人によってさまざまなのが薄毛の実情。当然、原因も多種多様です。だからこそ、専門家にじっくりと原因を探ってもらう必要があるのです。

次ページでは、具体的なAGA治療の中身を紹介します。

治療薬はあるが
副作用の可能性も

カルテを診る女性
AGAはM型、O型によって原因も治療方法も変わってきます。また、薬には副作用もあるので、十分に注意しましょう。
専門家は髪の毛や頭皮の状況、生活習慣や食生活を分析して、薄毛の原因を探ります。生活習慣や食生活の問題点を改善するように指導することに加えて、薄毛のタイプ別に治療薬が投与されます。また、AGA治療には保険が適用されないこと。半年から1年、あるいはそれ以上の年月をかけつつ、じっくりと治療していく必要があることも心得ておきましょう。「スグ効果アリ」と大々的にうたっている専門家には、用心した方が賢明です。

さて、具体的な治療の内容を見ていきましょう。前髪から進行する薄毛を「M型」、頭頂部から進行する薄毛を「O型」と呼びますが、それぞれ原因が異なると考えられています。M型は、男性ホルモンの「テストステロン」が「5αリダクターゼ」という酵素の働きによって「DHT(ジヒドロテストステロン)」という悪玉ホルモンへと変化したもので、このDHTが毛乳頭細胞に存在する男性ホルモン受容体(レセプター)と結びつくと、髪の毛の正常なサイクルを狂わせてしまいます。

M型の治療には「フィナステリド」を主成分とした「プロペシア(万有製薬)」という服用タイプの薬が用いられ、このDHTの生成を邪魔することにより、髪の毛の正常なサイクルを取り戻そうというのが狙いです。最近では、DHTを生じやすい体質かどうかを髪の毛の遺伝子情報をベースに解析する、“AGAチェック”というサービスを行っているクリニックもあるようです。AGAチェックの結果、DHTを生じやすいと判定されれば、M型薄毛になる確率が高いというわけです。

O型の治療には「ミノキシジル」という成分を配合した液体塗り薬の「リアップ(大正製薬)」が用いられます。O型は簡単にいうと頭皮の血行不良がおもな原因です。ミノキシジルは血行を促進させる働きがあり、効果も確認されています。人によってはM型とO型が両方進行している場合もあります。その場合、プロペシアとリアップを使い、治療を進めていきます。

なお、プロペシアは人によって、性欲減退、性機能の低下、肝臓への負担等の副作用を引き起こす可能性があります。同様にリアップには頭痛、動悸、かゆみ等の副作用があります。専門家のアドバイスが不可欠なのは、こうした副作用があるためです。

AGA治療には
しっかりとした判断が必要

明日に向かって気合いを入れる男性
AGA治療を行うには、自分の目でしっかりと、どこで治療するかを選ぶことが大切です。
最近のAGA治療でクローズアップされているプロペシアとリアップですが、こうした治療薬を使ったケアばかりがすべてではありません。漢方薬を用いた体質改善によって薄毛を食い止める治療法もあるのです。

AGAは、ストレスやそれによるホルモンの乱れ、内臓等の体内の異常といった原因によっても引き起こされるからです。AGA治療に熟練した専門家は、このような幅広い原因を見て、アドバイスを行います。また、場合によっては植毛やカツラを勧められる場合もありますが、これもAGA治療の一環なのです。では、AGAのプロ中のプロはどうやって見つけるのでしょうか? 残念ながら、広告を見るだけでは判断できないのが実情です。電話で問い合わせたり、最初の診察で自分の症状をじっくり聴いてくれるかなど、自分なりの尺度を持って選ぶことが大切です。

以上、AGAについてご説明してきました。最終的には自分自身が納得して治療にのぞめるかどうかが大切です。だからこそ、AGA治療にのぞむ際は、これまで述べたポイントに留意して、治療法や専門家を吟味していきましょう。

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