文章 : 佐藤 明男(All About「男のヘアケア」前ガイド)
あなたは何を決め手に育毛剤や養毛剤を選んでいますか? 売れ筋であること? ユーザーの評価が高いこと? 確かに、そういう観点から購入に踏み切るのは、賢い消費者の正しいありかたです。しかし、今一歩踏み込んで、含まれている成分にも注目してみてはいかがでしょうか。

育毛剤・養毛剤・発毛剤の違い

髪を気にする男性
育毛剤、養毛剤、発毛剤はそれぞれ、薬事法で区別されています。
まずは、育毛剤・養毛剤・発毛剤の違いからお話ししましょう。育毛剤は文字通り、髪の毛が育つのを促すもの。フケ・かゆみを抑え、脱毛の予防を目的としています。養毛剤は、頭皮と髪の毛に各種の栄養成分を補給して、健やかな状態にするためのものです。最近では、この2つに加えて、発毛剤も登場。こちらは、先の2つのように毛にいい環境を作り出すのではなく、毛を生やすことを目的としたものになります。

育毛剤、養毛剤、発毛剤を明確に区別しているのは薬事法です。育毛剤は「医薬部外品」、発毛剤は「医薬品」と、この2つには「薬」の文字が入っていますが、養毛剤だけは「化粧品」。つまりスキンクリーム等と同じ扱いになるわけですね。ちなみに一般的なヘアトニックも薬事法では化粧品の扱いです。「薬用」と名前についているヘアトニック等は「医薬部外品」となっています。

化粧品は「肌や髪の毛を美しく健やかに保つためのもの」という、主に美容を目的としています。「医薬品」と「医薬部外品」の違いは、前者が「病気の診断や治療予防に使われるもの」であるのに対し、後者は「作用が緩やかで副作用も少ないもの」であることです。「医薬部外品」は、専門家が介在しなくてもユーザーが使用説明書をよく読めば安全に使用できると定義されているのです。

効果がある分、副作用も大きい

本調子でない男性
効果があるものには、副作用もあります。そのバランスも大切です。
この3つを、効き目が大きい順に並べると、「発毛剤>育毛剤>養毛剤」となります。ただし、ここで大事なのが、効果がある分、副作用等のマイナス面も考慮する必要があるということです。

売っている場所にも違いがあって、医薬品は、薬局やドラッグストアのように薬剤師がいるお店でしか入手できない決まりになっています。

育毛剤・養毛剤・発毛剤の3種類を説明してきましたが、「薬用」とついたヘアトニックのように、商品名からはなかなかその分類がハッキリとわからないこともあります。確実なのは、パッケージになんと書かれているのかを確認すること。医薬品、医薬部外品はそれぞれパッケージに表記する義務があるからです。なお、薬事法上、化粧品と表示する義務はありません。

次ページでは育毛剤・養毛剤・発毛剤の成分にスポットをあててみましょう。

髪の毛に、何がどう効く?

笑顔を見せる男性
髪の毛に効果的な成分をマスターして、ハッピーなヘアケアライフを送りましょう。
現在主流の発毛剤の有効成分には、ミノキシジルとフィナステリドがあります。何度かご説明してきましたが、覚えていますか? ミノキシジルは頭皮の血行を促進させる成分で、これを使った塗り薬に「リアップ」(大正製薬)があります。フィナステリドは発毛を邪魔する男性ホルモンの働きを遮断する効果がある成分。これを使った内服薬には「プロペシア」(万有製薬)があります。

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内服薬のプロペシアは別として、頭皮に塗るタイプのリアップや、他の育毛剤・養毛剤には、今ご紹介した以外にも、薄毛解消のためのさまざまな成分が含まれています。その成分にはどんなものがあるのか? それをこれから効能別に見ていきましょう。

毛母細胞の活性化を促進する成分

毛母細胞は髪の毛の製造工場です。この部分を活性化させることで薄毛を予防・回復させたり、発毛を促すのです。

◎ペンタデカン酸グリセリド……脂肪酸(油)の一種で、毛母細胞の細胞分裂を活発にさせる働きがあります。
◎白薬子(びゃくやくし)エキス……中国・台湾に見られる「タマサキツヅラフジ」という植物の根茎から採取されるエキスで、東洋医学で使われてきた生薬です。毛母細胞の増殖を促す効果があります。
◎ビチオン……ビタミンB群の1つで、ビタミンHとも呼ばれています。毛母細胞を活性化させ、脱毛や白髪に効果があるといわれています。
◎パントテン酸カルシウム……身体の成長を促進する物質として、髪の毛だけではなく皮膚や筋肉、神経組織を作り出し、維持する作用があります。
◎t-フラバノン……セイヨウオトギリソウに含まれ、高い育毛効果がある「アスチルビン」をベースに開発された成分。髪の毛の根本部分に直接作用し、毛の成長を促します。

頭皮を殺菌する成分

フケやかゆみは薄毛を招く危険信号。頭皮の殺菌により、フケやかゆみを改善・予防する働きがあります。

◎ヒノキチオール……ヒバやタイワンヒノキの精油から抽出される成分で殺菌効果に優れ、フケやかゆみを予防する効果があります。
◎I-メントール……ハッカ・セイヨウハッカなどの植物から採れる揮発性の精油成分で、ボディローションやシップ薬などにも広く使われています。消炎作用があるため、頭皮の殺菌に効果があります。
◎β-グリチルレチン酸……甘草(かんぞう)というマメ科の植物の根・茎から抽出・分解を経て生成される成分。雑菌の繁殖を抑える他、抗アレルギー作用があります。

血行促進を促す成分

髪の毛に栄養を送り届けるのは血液です。血行促進は、健やかな髪の毛にとって欠かせません。

◎センブリエキス……センブリというリンドウ科の植物から抽出されるエキス。毛根を刺激し、発毛を促す作用があります。
◎トウガラシチンキ……頭皮の血行を促進させて、毛根部分に栄養が良く行き渡るようにする効果があります。
◎ニンジンエキス……血行促進作用の他、保湿作用があります。
◎ショウチョウチンキ(しょうが根エキス)……トウガラシチンキ同様、頭皮の血行を促進させて、毛根部分に栄養が良く行き渡るようにする効果があります。
◎ニコチン酸アミド……血行を促進させる他、毛母細胞を活性化にも作用します。

その他の成分

◎ビタミンE……抗酸化作用と活性酵素を取り除く作用があり、頭皮の老化を予防します。また、血行促進、血管拡張作用もあります。
◎ビタミンB6……皮脂の過剰な分泌を抑える働きがあります。
◎海藻エキス……保湿効果の他、皮脂の分解効果もあります。
◎ナイアシンアミド……皮膚・頭皮の老化予防に効果があります。

育毛剤・養毛剤・発毛剤の違いと、含まれる主な有効成分を見てきましたが、いかがでしたか? 1つの薬剤の中にも、いろいろな成分が含まれているのです。とはいえ、これはまだまだ、ほんの一角。こうした視点で育毛剤・養毛剤・発毛剤を捉え直すきっかけになれば幸いです。