今や日本において、いわゆるメインストリームにあるクルマ(つまりミニバンやその他)を得意とし、そのジャンルではトヨタさえ寄せ付けない感のあるホンダであるが、今回マイナーチェンジされたNSXのようなクルマに触れるとやはり「大切なこと」を決して忘れてしまったわけではないと思えた。

なぜなら新たに生まれ変わったNSXには、ホンダのスポーツモデルに対する想いが、ハッキリと示されていたからである。「Our Dreams Come True」という言葉を単に現実にしただけでなく、その言葉に対して常にしっかりとした責任を持ち続けてきた。

そうして11年という、現代の自動車で考えれば3世代に渡る長い年月を経ているにも関わらず、未だ登場時のものを基本に進化し続け、日本の頂点に存在し続けている。

平成初期に数々の歴史を刻んだ、変更前のNSX
この事実こそ、NSXがいかに高い志の元に生まれたスポーツカーであるかを物語る。そしてこれは同時にホンダが、スポーツカーとは表層的な販売台数に関係なく、常に進化を止めず育てるものである、ということを公言するようなものでもある。

振り返れば、20世紀の最後の10年で、数多くの夢が散っていった。日産フェアレディZしかり、三菱GTOしかり……トヨタ・スープラは苦境に耐えながらも少しずつ進化し続けたが、2002年ついにその生涯を全うする。日産スカイラインGT-R、マツダRX-7は現代の排ガス規制の前にその生涯が風前の灯火状態でもある。

経済状況、ユーザーニーズ、環境、社会性など様々な変化によって、スポーツカーの多くはデビュー当時の夢をあきらめざるを得ない状況となっている。しかしそんな中にあって、ホンダNSXは継続を表明した。それはスポーツカーとして最大級の責任の取り方であり、大切な意志である。NSXはそれを確かに持っていたことを証明した。