
前回のガイド記事・コラムで採り上げたエルグランドに引き続いて、トヨタから最上級1BOX型ミニバンのアルファードがリリースされた。このモデルはグランビア/グランドハイエースの実質的な後継モデルとなっているが、単に車名を変更しただけでなく、その成り立ちからグランビアとは別のクルマに生まれ変わっている。

FF化はグランビアの最も大きなセールスポイント、つまり広々とした室内をアルファードにおいてさらに進化させることになる。外観を見ても分かるように、ボディ側面はほぼ垂直になっている。目の錯覚で、真正面から見るとルーフ側が広く見えるほど。この辺りは、いかにアルファードがキャビン容量の拡大を重視しているかの現れのひとつだ。
ボディサイズは全長4480mm×全幅1805mm×全高1935mm。グランビア同様に国産ミニバンでは最大級。しかも、FF化によって床面は低くなり、カタログ室内長は3085mmにもなる。カタログの数値で計算すると室内面積は約1.5坪、江戸間ならば3.2畳くらいの広さ。これは相当なもので、サードシートを目一杯後ろにセットすると、フロントシートとの距離は寂しさを感じるほど。2パーティのゴルフツアーを一台でこなせるか、グランビアに8人乗って(もちろんキャディバッグも8本積んで)も、何のストレスもなく乗っていられる。そのグランビアをも凌ぐ広さを実現。


ユーザーフレンドリィな配慮はフロントドアの開閉方式にも現れている。もともとルーフ側の傾きが少ないという利点があるのだが、さらにヒンジ角度の工夫により、ドアを開くと上側を外に傾けるようになっている。このような工夫はトヨタではラウムから採用され、最近ではモビリオも用いているが、ボディサイズの点から狭い場所での乗降が厳しいアルファードではとくに有効である。付け加えるならば、前席の座面地上高がグランビアよりも低くなり、その点でも乗降性は大きく改善されている。