イタリアでジュエリー産業が栄えている都市は、数多くあります。ヴィチェンツァ、ヴァレンツァ、アレッツォ、ミラノ、バッサーノ・デル・グラッパ、トーレ・デル・グレコ……。このうちヴィチェンツァは、手作りやマシン・メイドのチェーンづくりで知られる都市。《キメント》は1964年にヴィチェンツァで創業し、ハイテクを駆使した近代的なファクトリーで生まれたジュエリーを、世界各国に輸出している大手マニュファクチャラーです。

 

 

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平たいパーツをつなげた《キメント》の代表的コレクション。
よくポリッシュされているので、ゴールドが優しくキラキラと輝きます。
表はイエロー、裏はホワイト・ゴールドと、リバーシブルな使い方も可能。

今回訪ねたファクトリーがある街は、ヴィチェンツァとパドヴァのほぼ中間に位置する、グリスグナーノ・デ・ゾッコ。ハイテクノロジーを駆使した近代的なファクトリーで、《ヴィチェンツァ・オロ 1》で発表されたばかりの最新作が続々と作られていました。ここではキャスト(鋳造)の一部を除き、純金のインゴットを溶かすところから最終仕上げまで、ジュエリー・メイキングのすべてを下請けに出すことなく、このファクトリー内で行っているのだそうです。

中に招き入れられてまず驚いたのは、働いているほとんどの工員が、ごく若い女性たちだったこと。みな10代半ばで《キメント》に入社し、2年間のトレーニング期間を経た後、ロウづけ、磨き、クリーニングなどのアセンブリー・ラインに加わります。これは、繊細で地道な作業への耐性が高いといわれる女性の“特性”を考慮した人材配置なのだそう。母と娘の2代にわたって働いているという人もおり、《キメント》が地元にしっかりと根を下ろしていることをうかがわせます。

 

 

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左:ずらっと並んだ作業台で、BGMを聴きながら女性たちが仕事中。
中央:ネックレスのパーツ1つ1つを接着したり、かしめたりしていきます。
ライターが転がっているのは、もちろん煙草を吸うためではなく、
彼女たちが右手に持っている小さなバーナーに火をつけるため。
右:仕上げの磨きには、ケガ防止の厚い手袋をはめて作業に当たります。

この他、写真を撮ることは許されませんでしたが、レーザー・マシンを置いた部屋があり、そこではブランドロゴの刻印やメレ・ダイヤモンドのパヴェ・セッティングなどが、レーザー・ビームを使って行われていました。

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イタリアには古くからの家内工業的な小規模ジュエリー工房が少なくないのに対し、《キメント》では機械化、ハイテク化がかなり進んでいるのも特徴のひとつ。ネックレスやブレスレットを形づくるパーツ、及びそのジョイントなどは、3DのCADソフトを使って設計します。デザイナーたちのパソコンも、モールド(原型)を自動生成するマシンに直結していて、描いた図面をすぐに立体として見られるシステムになっていました。

 

 

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ブレスレットの構造を3D画面で確認。
設計図が次々とプリント・アウトされます。

また、《キメント》の白眉であるエレクトロ・フォーミング(電鋳法)の過程も、ほとんどが自動。ボリュームがあるのに極めて軽い、中空のジュエリーは、この大がかりなエレクトロ・フォーミング鋳造機によって生み出されているのです。最新の機械を積極的に導入することによって、このファクトリーは週に300Kgものゴールド・ジュエリーを生産しているとのこと。

 

 

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左:エレクトロ・フォーミング鋳造機。
すべて無人のままメッキなどの行程が進んでいきます。
右:マシン・チェーンを製造する機械。
リボン状のホワイト・ゴールド(手前)が機械にぐいぐい呑み込まれ、
自動的にロープ・チェーンに編まれて排出されます
(機械の内部中央から細く垂れ下がっているのがチェーン)。

いかがですか? この合理的なシステム。《キメント》ではこのように、熟練の宝飾職人のハンドクラフトを必要とせず、レベルの高いジュエリーをつくり出すことに成功していました。こうした徹底的なオートメーション化には、ある種の違和感を持たれる方もいるかもしれません。しかしイタリアには《キメント》をはじめ、このようなシステムを持つ大手企業がいくつか存在します。

年間500トン以上の純金が加工され、60億ユーロを超えるゴールド・ジュエリーを生産するジュエリーの超大国、イタリア。その底力が、このファクトリーから見えてくるのです。

 

■お問い合わせは、
キメント・ジャパンオフィス 電話 03-3237-3635 へ。

 

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