チャイルドシート/チャイルドシートの基礎知識

新生児から使えるベビーシートの機能・特徴・対象年齢

「新生児・乳児用ベビーシート」とは、生まれてすぐの新生児から1歳頃までの間で使用するチャイルドシートのことを呼びます。またベビーシートは、眠った赤ちゃんを起さずに、車から家へ、あるいは車からベビーカーへと、簡単に移動できるのもメリット。ベビーシートはいつまで使えるのでしょうか?取り付け方や選び方のポイントは?

森本 博

執筆者:森本 博

チャイルドシートガイド

ベビーシートとは、新生児から乗れるチャイルドシート

新生児から乗れるベビーシートは、チャイルドシート、キャリー、ラック、ベビーカーと多機能に使えます

新生児から乗れるベビーシートは、チャイルドシート、キャリー、ラック、ベビーカーと多機能に使えます

新生児から使用できる、乳児期の利用に特化した「新生児・乳児用ベビーシート」は、通常の車に固定したままのチャイルドシートと違い、赤ちゃんを乗せたまま、どこへでも手軽に移動ができます。ワンタッチで車に取付できるベースメントやドッキングできるベビーカーも増え、ベビーシートはよりアクティブな活用が楽しめるアイテムに進化しています。ベビーシートの基本的な使い方の注意点を紹介します。
 
ベビーシート・目次
退院時からチャイルドシートは必要?
ベビーシートの対象年齢
ベビーシートの特徴・機能
ベビーシートの使い方
ベビーシートの取り付け方
ベビーシートが使いやすい車、使いにくい車
ベビーシートはいつまで?
 

新生児の赤ちゃんが退院時から、チャイルドシートは必要?

チャイルドシートは生後すぐの首がすわらない新生児の赤ちゃんが退院する時から必要です。どんなに安全運転をしていても、事故に遭遇しない保証はありません。子どもが乗車する車の事故例では、もらい事故も少なくないのです。生まれたばかりで身体の未熟な赤ちゃんが、事故の大きな衝撃を受けたら、生涯にわたるダメージを残すことは容易に想像できます。未熟なだけに一層の備えが必要となります。

またその備えは義務でもあります。道交法第71条の3第4項の定めで「自動車の運転者は、幼児用補助装置を使用しない6歳未満の幼児を乗車させて自動車を運転してはならない」とあります。ですから、産院に車で迎えに行く際にチャイルドシートは早速必要となります。車をお持ちの方は出産準備品として用意しましょう。

「抱っこでないと不安」という方は、タクシーやバスの利用であればチャイルドシートの使用義務が免除されます。しかしそれは、安全を確保せずに自動車に乗るというリスクのある行為であることは踏まえておきましょう。
 

ベビーシートの対象年齢は?

新生児の赤ちゃんが退院時に使用可能で、乳児期の利用に特化した「新生児乳児用ベビーシート」の対象年齢は、基になる安全基準の変化によっておよそ3種類に分かれます。

パっと見はどれも一緒に見えますし、メーカーの表記している対象年齢の目安もバラバラで、しかも製品サイズに比例しているとも言えません。それはこの時期の赤ちゃんの個体差が大きすぎるからです。大半の製品は安全基準で言うと「UN/ECE/R44/04のグループ0+」、または「R129」の製品なので、基本的にサイズは皆似たようなものと考え、いつまで使えるかは子供の体格次第。大雑把な目安として1歳過ぎまで、安全のために、狭く感じてもがんばって1歳半まで使って頂きたい、と思います。

下記は一応の規格説明です。

■体重2.5キロから10キロまで(欧州基準UN/ECE/R44 グループ0)
対象の目安:新生児から、生後9ヶ月ないし12ヶ月頃まで
サイズが小さく、2018年時点でコンビの製品がある程度で市場での割合は少ないです。

■体重2.5キロから13キロまで(欧州基準 UN/ECE/R44/04 グループ0+)
対象の目安:新生児から、生後12ヶ月ないし15ヶ月頃まで
一般的なベビーシートでおよそ1歳過ぎくらいまで使用可能。小柄なお子さんだと1歳半くらいまで使用できそうです。海外ブランドが多いです。

■身長40から83センチまで(参考体重13キロまで)(欧州基準 UN/ECE/R129)
対象の目安:新生児から、生後15ヶ月ないし18ヶ月頃まで
2018年時点で最新の安全基準。今まで体重を基準にしいていたのが身長基準に変更になりました。体重よりも身長の方が個人差が少なくなり、製品がフィットしやすいためです。身長83センチと高身長まで対応しますので、およそ18ヶ月つまり1歳半頃まで使用可能な安全性能を持っていることになります。ただし以前の基準と認証テストの内容が変わったものの、製品自体のサイズアップはほとんどしていないので、見た目に違いは明確ではありません。

 

ベビーシートの特徴・機能

ベビーシートは、基本的に進行方向後ろ向きに取り付けするイス型がメインです。お子さんへのダメージが最も危惧される正面衝突への対策で、背もたれを45度程度起こした製品となります。

身体が未熟な新生児はフラットに乗せてあげたいところですが、事故時の衝撃を背もたれの「面」で広く分散する必要があります。つまりは「常に事故に対して身構えた乗車姿勢」を強いるので、快適さが第一優先ではないということを踏まえておきましょう。

ただし、ベビーシートはロッキングできるように底面が丸くなっていますので、取り付け方次第で、背もたれ角度は自由に設定できます。必要以上にきつい姿勢になる心配はいりません。むしろ角度を倒し過ぎないように注意が必要かもしれません。

また新生児を乗せるときに姿勢を緩やかにするシンナークッションが付いていたり、ベビーシートの底の部分が自動的に持ち上がって姿勢を楽にするブリタックスレーマーやサイベックスのベビーシートもあります。

注意するべきは、専用のベースメント(台座)を使用する場合です。台座に角度調節などの特別な仕組みがない限り、車の座席の角度に影響を受けるので、座席のお尻側がかなり窪んでいる、傾斜している座席に取り付ける場合は注意が必要です。

 

ベビーシートの使い方

ベビーシートは、シートベルト固定が一般的ですが、ベースを利用するととても簡単便利

ベビーシートは、シートベルト固定が一般的ですが、ベースを利用するととても簡単便利

ベビーシートは、一般的なチャイルドシートと違い、自動車に固定したまま利用するのではなく、赤ちゃんを乗せたまま、家から車へ、車から家へ、あるいは対応するベビーカーがあれば、ベビーカーへもワンタッチで装着できる移動性がメリットです。

ベビーシートはキャリーとしての利用が便利で、お友達の家、病院、レストランなどお出かけ先で赤ちゃんの居場所を確保できます。ロッキングも出来ますから、ぐずってもそのまま揺らしてあげて対処できたりします。車に取り付けたままにする必要はありませんから、常に屋内で保管するようにすれば、夏の炎天下の車の中で、シートが異常に熱くなってしまう心配もありません。

日本で一般的なチャイルドシートは「新生児から4歳ころまで」使えるタイプで、車に固定したままになります。使用期間も長いし手間がかかりませんので、通常はその方が無難でしょう。けれど、キャリーとしての機能はありません。ほとんど寝てすごす1歳過ぎまでの特定な時期に、キャリーとしての活用は思いのほか便利です。特に上のお子さんがいて、外出機会も多くなりがちな場合に、機動性のあるベビーシートは大活躍します。
 

ベビーシートの取り付け方

ベビーシートの取り付け方法は、シートベルトを巻きつけて固定します。お部屋の中でお子さんをあらかじめ乗せてから、ベビーシートごと車に移動し、座席に乗せたら、車のシートベルトをベビーシートに巻きつけて取付します。

お子さんを降ろす際は、先にシートベルトを取り除いてから、お子さんを降ろす、またはベビーシートに乗せたまま降ろすという手順です。特にお子さんが小さいうちはシートベルトを取り外さずに、お子さんだけ乗せ降ろしも出来ますが、本来ベビーシートごと移動するキャリーとしての利用がお奨めです。

シートベルトでの取り付けがわずらわしいと感じる方は少なくありません。そんな方には台座の利用をおすすめします。最近は対応する専用の台座(ベース)を用意しているメーカーも増えました。車に台座をあらかじめ取り付けておけば、脱着はワンタッチです。
 

ベビーシートが使いやすい車、使いにくい車

ベビーシートを台座無しで使用する場合は、車のシートベルトの仕様で取り付けのしやすさが変わってきます。

■年式の新しい車
シートベルトを引き出して長さを計ってみてください。230センチ以上ありますか?また、座席のシートベルトを全部引き出すと、短くなる方向にしか動かなくなるチャイルドシートロック機能(AELR)があります?「長さが十分」にあり、かつ「ロック機能が付いていない」ものが最新の仕様で、ベビーシートも使いやすくなります。
(チャイルドシートロック機能は幼児用チャイルドシートの取り付けに便利なように開発されましたが、ベビーシートの取り付けが困難になるため、車業界全体で無くしていく方向です)

■少し年式の古い車
長さはあるけど、チャイルドシートロック機能(AELR)が付いているという場合は、出来るだけシートベルトを全部引き出さないように、つまりロックがかからないように気をつけて取付しましょう。もしどうしてもロックがかかってしまう場合は、取り外しの歳にシートベルトの巻き込み側の根元を握っておいてから取り外すことをしてみてください。通常バックルを解除すると直ちに巻取りが始まりますので、それがないように片手で握っておいてから、ベビーシートに回っているシートベルトを外すようにすれば利用できます。

■古い車・狭い車
シートベルトの長さが230センチより短い場合、取り付け自体が出来ない、またはコツが必要になる場合がありますのでおすすめしません。どうしてもという場合は、台座が利用できるベビーシートを選び、台座の取り付けが出来るかどうか適合表を確認しましょう。
また、スポーツタイプの車や、古い年式でキャビンの狭いタイプの車は、後部座席のスペースが狭い場合があります。ベビーシート自体は小型ですが、後ろ向きに設置するため、意外と前後にスペースをとります。メーカーの適合表を確認しましょう。

 

ベビーシートはいつまで?チャイルドシート移行の時期目安

ベビーシートは、13キロまで対応の製品を選べば、おおよそ1歳過ぎまで、最新の規格の製品だと身長83センチまで対応なので、1歳半頃まで使用可能ですが、乳児期のお子さんは体格差が大きいので、お子さんによって実際の使用可能期間はかなり変動します。

特に体格の大きいお子さんで9ヶ月で体重オーバーとなった例があります。また逆に小柄なお子さんの場合、24ヶ月を超えて使用されてる方もありました。

ベビーシートから幼児用のチャイルドシートに移行する時期については次のことを参考にしてください。
  • ベビーシートは、狭く感じてきたとしても、頭部が背もたれ部からはみ出さないうちは安全に使用可能
  • お子さんは意外と狭いことでは文句を言いません。フィット感があるのでむしろ安心します。親は、見た目に狭く感じると、子供がかわいそうに感じて早く卒業したがる傾向がありますが、お子さんが馴染んでいるのであれば、頭部がはみ出す前までは使い続ける方が、安全性は高まります
  • 1歳前後に春を迎える方は、服が薄くなっていくので、1歳半頃までラクに使える傾向
  • 逆に1歳前後に秋を迎える場合は、着膨れと相まって早くに窮屈感を感じるでしょう。実際の体格は未熟なのに着膨れで狭く感じてしまうだけのこともありますので、重ね着の方法などを工夫しましょう
1歳前後の小さなお子さんにとっては、構造的に前向きの幼児用チャイルドシートより、後ろ向きベビーシートの方がずっと安全性が高いので、あまり慌てて次の幼児用シートに移行せず、ぎりぎりまでしっかり使い倒す心構えで使用しましょう。

特に最新の安全基準(R129)では、1歳半までの後ろ向き利用は必須条件となっていますので、今後は1歳半がベビーシートから幼児用チャイルドシートに移行する時期の目安となるでしょう。

 

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