世界遺産の約81%が文化遺産の価値を持つ!

イタリアの世界遺産「ベネチアとその潟」

文化遺産の登録基準をすべて満たすキング・オブ・文化遺産、「ベネチアとその潟」。写真はサン・ジョルジョ・マッジョーレ島と教会

世界遺産には文化遺産、自然遺産、複合遺産の3種類がある。2018年7月現在、世界遺産は計1092件を数えるが、このうち77.38%の845件が文化遺産となっている。複合遺産38件も文化遺産登録基準を満たしているので、なんと80.86%が文化遺産の価値を持つことになる。

世界遺産の大半を占める文化遺産っていったいなんなのだろう?

文化遺産とは何か?

中国の世界遺産「莫高窟」、第96窟の九層楼

こちらもキング・オブ・文化遺産のひとつ、中国の世界遺産「莫高窟」、第96窟の九層楼

世界遺産に登録されるためには、10項目ある登録基準を1項目以上満たさなければならない。このうち、登録基準(i)~(vi)のみを1項目以上満たす物件を「文化遺産」という。

■文化遺産の登録基準
  • (i) 人間の創造的な才能を表現する傑作であるもの
  • (ii) 一定の期間、または世界のある文化圏において、建築・技術・記念碑・街並み・景観デザインの発展において、人類の価値の重要な交流を示しているもの
  • (iii) 現存する、またはすでに消滅した文化的伝統や文明に関する唯一の、あるいはまれな証拠を示しているもの
  • (iv) 人類の歴史の重要な段階を示す建築物、建築様式、技術集合体、または景観の顕著な例といえるもの
  • (v) ある文化(ある複数の文化)や人類の環境的相互作用を特徴づける人類の伝統的集落や土地や海洋利用の顕著な例であるもの。特に、回復が困難で、存続が危うい状態にあるもの
  • (vi) 顕著で普遍的な価値を有する出来事や現在存続する伝統で、思想・信仰・芸術作品・あるいは文学作品と直接に、または実質的に関連があるもの(本基準は他の基準と関連して適用されるべき基準と考えられている)

要約すれば、(i)人類の傑作、(ii)文化交流の跡、(iii)文化・文明の証拠、(iv)重要な建築物や景観、(v)環境利用の例、(vi)出来事・伝統関連だ。

これらに加えて、文化遺産は「完全性」と「真正性」を満たさなければならない。完全性とは、顕著な普遍的価値を構成する要素がすべて含まれており、十分の大きさがあって法的に保護されていることを示す。一方、真正性とは、伝えられている文化財が本物で、再建・修復された場合でも当時と同じ意匠・素材・工法・目的で正しく継承されていることを示す。法律について、日本の場合、文化遺産については文化財保護法が主にその役割を担っている。
イタリア/スイス共通の世界遺産「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」

レーティッシュ鉄道ベルニナ線、ブルージオのオープンループ橋。イタリア/スイス共通の世界遺産「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」構成資産

文化遺産の内容について、世界遺産条約第1条は以下のように定義している。

■世界遺産条約第1条
この条約の適用上、文化遺産とは次のものをいう。
  • 記念工作物:建築物、記念的意義を有する彫刻及び絵画、考古学的な性質の物件及び構造物、金石文、洞穴住居、ならびにこれらの物件の組み合わせであって、歴史上・芸術上、あるいは学術上、顕著な普遍的価値を有するもの
  • 建造物群:独立した、あるいは連続した建造物の群であって、その建築様式・均質性、あるいは景観内の位置のために、歴史上・芸術上、もしくは学術上、顕著な普遍的価値を有するもの
  • 遺跡:人工の所産(自然と結合したものを含む)及び考古学的遺跡を含む区域で、歴史上・芸術上・民族学上、あるいは人類学上、顕著な普遍的価値を有するもの
文化遺産については、各国から推薦された物件が世界遺産にふさわしいものかどうか国際NGO(非政府組織)であるイコモス(ICOMOS:国際記念物遺跡会議)が現地調査を含む専門調査を行って評価報告書を作成し、登録・情報照会(3年以内に追加情報を提出すれば再審議が可能)・登録延期(推薦書の提出からやり直し)・不登録の4段階で勧告を行う。

この報告書をもとに、毎年1度開催される世界遺産委員会が4段階のいずれかの決議を行い、登録決議を受けたものが世界遺産リストに掲載される。不登録の決議を受けた場合は再推薦が認められない。