イタリア/イタリアの観光・世界遺産

イタリアの世界遺産 2017年の登録数とおすすめ遺産

国別登録数世界一を誇る、イタリアの世界遺産。その数は53件にも上ります(2017年現在)。さて、どこへ行くべきか? まずは押さえておきたいイタリアの人気&基本の世界遺産と心が震える絶景に出会える世界遺産。アクセスと共にオススメベスト10をご紹介します。

岩田 デノーラ 砂和子

執筆者:岩田 デノーラ 砂和子

イタリアガイド

世界遺産の登録数世界一!

世界遺産の登録数が世界一多いイタリア

世界遺産の登録数が世界一多いイタリア

2017年、新たに「16-17世紀ヴェネツィア共和国建造の軍事防御設備」と「カルパティア山脈と欧州各地のブナ原生林(拡張共同登録)」が登録され、イタリアの世界遺産登録数は53件になりました。

世界の世界遺産総数は1073件。イタリアの登録数は世界第1位を誇ります。次いで第2位は、僅差で中国(登録数52件)。第3位から第5位までは、スペイン(同46件)、フランス(43件)、ドイツ(42件)とヨーロッパ勢が占めています。

イタリアの世界遺産は数が多いだけに、もはやどこに行っても「あ、これ世界遺産なのね」とちょっとありがたみが薄れるような気がしないでもないですが、選出されるにはそれなりの理由があるだけに、目の当たりにすればやはり、圧倒されるものがあります。

2000年もの歴史を今に伝えるローマの歴史地区内「フォロ・ロマーノ」。人類の叡智をまざまざと感じさせてくれる偉大な遺跡
人類の叡智が結集した普遍的な価値を持つ文化遺産、地球の偉大さを感じさせられる自然遺産。感動せずにはいられないイタリアの世界遺産10をご紹介します!

アクセスも比較的わかりやすく、日本での知名度も高く、一緒に写真に収まれば多分誰にでも自慢できる人気&基本の5つと、心が震える風景に出会える絶景5つ。イタリアの世界遺産観光選びのご参考に!

※ローマ、ベネチア、フィレンツェの歴史地区は、世界遺産云々以前にぜひとも訪れたいスポットゆえ、リストから外しています

基本の世界遺産1. サンピエトロ大聖堂とバチカン美術館

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登録名称:バチカン市国 La Citta' del Vaticano ラツィオ州ローマ市内 1984年登録

まずは、なにはともあれ首都ローマ! ローマ法王が治める独立国家バチカン市国の入り口にあたるキリスト教の総本山サン・ピエトロ大聖堂とサン・ピエトロ広場、そして歴代法王のコレクションである数々の芸術作品を鑑賞できるバチカン博物館は、ローマ観光の必見スポットです。

バチカン博物館には、ルネッサンス時代のマエストロたち、ミケランジェロ、ラファエッロの作品をはじめ、古代遺跡から発掘された貴重なギリシャ・古代の彫像など「教科書で見たことある!」芸術品の本物がずらり。システィーナ礼拝堂では、どんな人でも感嘆の声をもらさずにはいられません。

バロック時代の巨匠ベルニーニ設計のサン・ピエトロ広場、荘厳な巨大ドゥオモが威光を放つサン・ピエトロ大聖堂と合わせ、数時間このエリアで過ごすだけでも感性が磨かれる、世界の傑作が勢揃いしています。

【アクセスと観光のコツ】
ローマ、テルミニ駅から地下鉄A線でOttaviano駅下車。もしくは、バス64番か40番で終点まで。バチカン美術館とサン・ピエトロ大聖堂入場は並ぶ必要があります。

バチカン美術館見学からスタートし、システィーナ礼拝堂からダイレクトにサン・ピエトロ大聖堂へ入ると、ロスなくスムーズ。また、もっと時間を短縮したい人はインターネット予約も!
>>>バチカン博物館とシスティーナ礼拝堂自由拝観チケット予約(英語

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基本の世界遺産2. 最後の晩餐

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登録名称:レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院La Chiesa ed il Convento Domenicano di Santa Maria delle Grazie con

「最後の晩餐」は美術館ではなく、サンタ・マリア・デッレ・グラッツィエ教会に併設するドメニコ会修道院の食堂に描かれたフレスコ画で、ルネッサンスの巨匠ブラマンテが設計した教会と共に世界遺産に登録されています。

1495年から1497年にかけて描かれた「最後の晩餐」は、ダ・ヴィンチの最高傑作。「ミラノで最も美しい教会を」と当時の領主であったスフォルツァ家による依頼で製作された美しい教会建築と「最後の晩餐」は、ぜひ見てみたいものです。

【アクセスと観光のコツ】
ミラノの地下鉄1・2号線Cadrnaカドルナ駅下車、徒歩10分。「最後の晩餐」見学には必ず予約が必要。HPから直接チケットの予約・購入が可能です(2017年現在12ユーロ)。
>>>「最後の晩餐」チケット予約・購入(英語)

基本の世界遺産3. ピサの斜塔

登録名称:ピサのドゥオモ広場  Piazza del Duomo a Pisa トスカーナ州ピサ市 1987年登録 写真の人のように「倒れる~」カットはマスト!

修学旅行で訪れる奈良の大仏的な存在でもあるピサの斜塔。傾斜は年々進んでいるので、早く見ないと倒れちゃう?なんてことはないですが、「あんな大きな大理石の建物が倒れずに建っている!」姿は摩訶不思議。

「ピサの斜塔」を含む「大聖堂」「洗礼堂」「墓地」の4つの中世の建物が調和する「ドゥオモ広場」全体が、世界遺産に登録されています。中世のイタリア建築に大きく影響を及ぼした華麗な建築物は、今でも見る者に強い印象を残します。

【アクセス・観光のコツ】
フィレンツェ サンタ・マリア・ノヴェッラ駅からローカル線でピサ駅下車 約1時間半。ピサ駅からはバスまたは徒歩で。フィレンツェを拠点にして、日帰り観光が可能です。

基本の世界遺産4. アマルフィ海岸

登録名称:アマルフィ海岸 Costiera Amalfitanaundefinedカンパニア州アマルフィの町を含む海岸一帯undefined1997年登録

登録名称:アマルフィ海岸 Costiera Amalfitana カンパニア州アマルフィの町を含む海岸一帯 1997年登録


photo by SAWA pasqua
一帯はレモンの名産地。海岸沿いで量り売りも
ナポリの南東70キロメートル、美しい地中海に切り立った断崖絶壁が続く一帯。かつて海洋共和国として栄えたアマルフィやラヴェッロの町全体が、世界遺産に登録されています。

険しい地形に彩を添えるブドウ畑やレモン畑、中世の建築物と紺碧の地中海。明るい南イタリアの陽光に照らされた景観は、まさに絶景と呼ぶにふさわしいダイナミックさで魅了します。

【アクセス・観光のコツ】
ナポリを拠点に、バスまたは車、夏季は船でのアクセス方法があります。日帰りも可能。レンタカーや専用車、現地手配ツアーでの見学が効率的で便利です。ポジターノやラヴェッロのホテルに宿泊して、のんびりバカンスを楽しむのもオススメ!

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基本の世界遺産5. アルベロベッロ

登録名称:アルベロベッロのトゥルッリ Trulli di Alberobello プーリア州アルベロベッロ 1996年登録

photo by SAWA pasqua
小さな村だから、半日もあればOK
白い壁にとんがり屋根。世界遺産に登録されている「トゥルッリ」と呼ばれる不思議な建物は、南イタリア・プーリア州にある小さな村アルベロベッロの旧市街にあります。

先史時代からこの地方に伝わる伝統的な建築方法で造られた家屋は、接着剤を使わず、石を積み上げただけ。面白いのは、遺跡ではなく今でも暮らしている人々がいること!一部のトゥルッリは見学が可能です。

【アクセスと観光のコツ】
拠点となる街バーリから、ローカル線に乗り換えアルベロベッロ駅下車(約1時間40分)。駅からは徒歩でアクセスします。または、バーリからレンタカーを借りて、「マテーラ」「デル・モンテ城」など周辺の世界遺産もまとめて周るのもおススメです。南イタリアの田舎ドライブは、それだけでもイベントになります。

アルベロベッロのトゥルッリ群は、お土産屋さんに変身している家も多数。呼び込みの激しさにちょっとうんざりもしますが、負けずに観光を!

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トゥルッリがかわいい! アルベロベッロの町案内

お次は、多少アクセスは悪さは感動でカバー。心が震える風景に出会える絶景ベスト5です!

心が震える絶景世界遺産1. マテーラ

登録名称:マテーラの洞窟住居(サッシ) I Sassi di Matera バジリカータ州マテーラ 1993年登録

南イタリア、プーリア州とカラブリア州に挟まれた小さなバジリカータ州に位置する、世にも不思議な洞窟住居「サッシ」。広大な谷の岸壁斜面にぎっしり並ぶ洞窟住居の風景は、非日常そのものです。

旧石器時代から地中海沿岸地域に見られたという典型的な洞窟住居ですが、マテーラのサッシ群は、広範囲に渡り完全な形で残った貴重さから、世界遺産に登録されました。

1950年代頃まで、居住地として使用されていたため、どことなく生活の香りが残されているところがドラマチック。当時の暮らしを再現したリアルな博物館もあります。

【アクセスと観光のコツ】
プーリア州バーリを拠点に、私鉄Calabro Appulo Lucane線でマテーラへ。所要約1時間半。もしくは、ローマやナポリから長距離バスで。それぞれ所要時間は約5時間と4時間。レンタカーでアクセスするのが最も早く便利です。

サッシを一望するホテルやリストランテもあり、観光地として発達しています。アクセスの悪さをのぞけば、かなり見ごたえのある世界遺産でしょう。

心が震える絶景世界遺産2. オルチャ渓谷

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登録名称:ヴァル・ドルチャ(オルチャ渓谷) Val d'Orcia  トスカーナ州オルチャ渓谷一帯 2004年登録

フィレンツェを州都とするトスカーナ州中部、シエナ南東部に広がる一帯は、なだらかに幾重にも連なる丘に、糸杉の並木。修道院や農家など、昔ながらの建物が風景と見事に融合した美しく牧歌的な風景が広がります。まるで絵本のよう!

モンタルチーノ、モンテ・プルチアーノなどワインの名産地や、世界遺産に登録されているシエナ、ピエンツァ、サン・ジミニャーノも近く。アグリツーリズモやホテルに滞在し、オルチャ渓谷の美しい風景とトスカーナ料理、ワインをゆっくり楽しみたいものです。

【アクセスと観光のコツ】
フィレンツェかローマから、レンタカー。もしくは現地発着ツアーがオススメ。

心が震える絶景世界遺産3. チンクエテッレ

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登録名称:ポルトヴェーネレ、チンクエテッレと小島群 Portovenere, Cinque Terre e Isole (Palmaria, Tino e Tinetto リグーリア州ポルトヴェーネレ、パルマリア島、ティーノ島、ティネット島、モンテロッソ、ヴェルナッツァ、コルニリア、マナローラ、リオマッジョーレ 1997年登録

チンクエテッレは「5つの土地」の意味があり、フランス国境までのびるリヴィエラ海岸沿いの入り江に並ぶ5つの村、モンテロッソ、ヴェルナッツァ、コルニリア、マナローラ、リオマッジョーレの総称。セレブ御用達のポルトフィーノやサンタ・マルゲリータ・リグレと共に、一帯が世界遺産に登録されています。

青い海に突き出した崖を覆うブドウやオレンジ、レモンの段々畑は、圧巻。厳しい自然条件を克服しながら生きてきた村人たちの暮らしを垣間見れば、人間の力ってすごい!とシンプルに感動できることでしょう。カラフルなパステルカラーで彩られた建物群は可愛らしく、リゾート気分が盛り上がります。

【アクセスと観光のコツ】
ジェノバから電車で約1時間~1時間半。モンテロッソで各駅停車に乗り換え、5つの村へ。電車の乗り降りが無料になるなど、観光に便利なカード「チンクエテッレ・カード」の利用がオススメです。購入は各駅のインフォメーション・ポイントで。
>>>チンクエテッレ・カード
 

心が震える絶景世界遺産4. サンマリノ共和国

登録名称:サンマリノ歴史地区とティターノ山 Centoro Storico di San Marino e il Monte Titano  サンマリノ共和国 2008年登録

photo by SAWA pasqua
F1グランプリの記念切手は、サンマリノ共和国のお土産の定番
世界で5番目に小さい独立国家サンマリノ共和国。その歴史は古く、4世紀頃ローマ帝国のキリスト教迫害から逃れるため、修道士たちがティターノ山に潜伏したことに始まります。

13世紀に自由共和国が設立され、その政治体制が今も継続している、世界でも珍しい国家。標高739mのティターノ山の頂上付近にある首都サンマリノの歴史地区とその周辺、55ヘクタールもの範囲全体が世界遺産に登録されています。

坂ばかりですが、山頂からの眺めはまさに絶景……高所恐怖症の人にはオススメしません!

【アクセスと観光のコツ】
ボローニャから海沿いの街リミニへ。そこからバスで約1時間。リミニはイタリアでも有数のリゾート地。夏季ピークシーズンは、若者たちでごった返すので避けた方が無難かも。

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心が震える絶景世界遺産5. エオリエ諸島

登録名称:エオリエ諸島 Isole Eolie  シチリア州リパリ島、ストロンボリ島、サリーナ島、ヴルカーノ島、パナレア島、アリクーディ島、フィリクーディ島 2000年登録 フィリクーディ島からアリクーディ島を望む

photo by SAWA pasqua
のどかな島の風景 ストロンボリ島にて
シチリア島の北側に浮かぶ7つの美しい島々エオリエ諸島。噴火が続くストロンボリ島、温泉が湧き出る島ブルカーノ島、映画「イル・ポスティーノ」の舞台となったサリーナ島、先史時代の遺跡が残るフィリクーディ島など、それぞれに個性的で魅力的な島々が、世界遺産に登録されています。

地球の営みさえも感じるほど手つかずの大自然が残る島々は、イタリア人にとっても憧れのバカンス地。キラキラと透明に輝く紺碧の地中海とのんびり流れる島の時間をどっぷり体感できるよう、できれば数日滞在が、オススメです。アイランド・ホッピングも楽しい!

【アクセスと観光のコツ】
ナポリからフェリー、パレルモ、ミラッツォから高速船でアクセスします。観光客が多いのは、シチリア島に最も近いリパリ島とブルカーノ島で、ミラッツォからは日帰りも可能。それ以外の島では、ホテルもありますが貸別荘長期滞在が一般的です。
>>>エオリア諸島への高速船時刻表・チケット
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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