ベンチャー企業「バリューフラッシュ」のCFO(財務責任者)で公認会計士でもある海生さんの寄稿。自身も長らく株式投資をされてきたそうです。日本の株式市場のあり方へのコメントです。



個人投資家の方々へ

何に基づいて投資をしていますか?
毎週、毎月山ほど出ます投資関連の雑誌、投資好きの友人からの情報、アナリスト情報、証券会社情報等々さまざまでしょう。株で儲けるコツを一言で言うならば、自分の買った後に多くのひとがその株を買ってくれるかどうかです。すごく単純なものです。しかし、それを実現するためには情報が必要になります。例えば株価に影響を及ぼすと思われる情報があったとします。儲けることができるかできないかはその情報をどの段階で知ることができるかにかかっています。自分が買ったあとに多くの人が買うということはそれだけ早く情報を入手しその情報を適格に判断したことになります。しかし、現実は決算情報を含め企業情報はまずアナリスト、機関投資家、ファンドマネジャーに流れます。そのあとやっと個人投資家に情報が来るという構造になっています。これだからいつまでたっても個人投資家は儲けることができません。


投資はビジネス?
そうです。投資はれっきとしたビジネスです。ビジネスだから他人任せにすることはできません。投資先が決まればその企業に出向き直接情報を収集することは当然のことです。そして投資をするか売却するかの判断をします。しかしこのような行動ができる投資家はファンドマネジャー等の株のプロくらいでしょう。だから個人投資家には企業から積極的でしかも適時・公平な情報の開示を継続的に受けることが必要となってきます。これがいわゆる企業IRといわれるものです。もちろん企業IRが充分であったとしても投資家にその情報の分析力がなければ折角の情報の価値はなくなってしまいます。そうなんです。私たち投資家ももっと勉強をしなければならないのです。それにより企業IRをもとに投資判断ができるようになってきます。これが本来の投資の姿と言えると思います。


現状はと言えば?
個人投資家は投資の三種の神器といわれています日経新聞、四季報、株価チャートを利用されていると思いますが、それほど企業情報を分析せずに株を買っているのが実状ではないでしょうか。また、三種の神器のうち四季報は企業IRそのものでしょう。しかし、積極的に四季報に情報を提供する企業はまだ少ないと聞きます。自主的情報開示である企業IRを義務と捉えている企業トップやIR担当者は意外と多いのです。だから積極的に企業IRを実施するという姿勢よりも残念ですが最低限のことをしておけばいいというレベルに留まっています。


IRとPR
ところで企業IRと似たようなものに企業PR(パブリックリレーション)があります。この企業PRを義務で行っている企業はないでしょう。企業PRは通常、企業の製品等をアピールするために行います。他方企業IRは企業を1つの商品と見てその企業価値を高めるために行うものです。最近よく使われる時価総額は企業価値を見る一つの指標として重要視されていますことからも企業IRは大切なものです。ではどうしてPRは自主的に行うのにIRは義務として行うのでしょうか?簡単にいいますと企業PRは売上に直結します。だから広告宣伝の予算は膨大にあります。しかし、企業IRは売上に直結しないという理由で、さらにIRをしなければアナリストや機関投資家等に指摘されることを理由に仕方なくやっているのが現状です。結果としてソニー等の一部分の企業を除きIRの年間予算は平均500万円程度です。