貯蓄/貯蓄する基本の方法

積立貯蓄の王道「財形貯蓄」とは

自動積立は貯蓄の大原則。中でも勤労者だけができる財形貯蓄(勤労者財産形成貯蓄)は、融資制度や優遇税制などでメリットが大きい貯蓄です。3つの財形貯蓄からライフプランに合うものを選び、計画的に資産形成を図りましょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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給与から天引きして財形貯蓄をしよう

給料天引き貯金は貯蓄の王道

給料天引き貯金は貯蓄の王道

自営業者や自由業者と異なり、公務員や民間企業に勤める会社員の多くは、毎月ほぼ一定額の給与をもらい、貯蓄と消費のバランスをとって生活しています。その中からコツコツ貯蓄し資産を形成するには、給与からの天引き貯蓄や自動振替貯蓄を利用するのが一番確実です。

給与天引き貯蓄の代表といえば「社内預金」と「勤労者財産形成貯蓄」(以下「財形貯蓄」とする)ですが、最近は社内預金制度がないという会社が多いようです。

会社員や公務員が加入できる財形貯蓄は、給与や賞与から天引きという手間いらずの堅実貯蓄である上に、税金面での優遇や融資制度がある優れた貯蓄です。ただし、勤務先の企業がこの制度を導入していなければ、加入することはできません。

財形貯蓄の仕組みと特徴

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財形貯蓄とは、1971年に制定された勤労者財産形成促進法に基づいて設けられた「勤労者財産形成貯蓄」の略称で、翌72年1月にスタートした「勤労者が事業主の協力を得て賃金から毎月または、賞与毎に定期的に天引きで行う貯蓄(=事業主が払込みを代行する)」のことです。

ここでいう勤労者とは、「職業の種類は問わず、事業主に雇用される者」をさし、民間会社の社員、公務員等が対象です。もちろん、継続して雇用が見込まれる派遣社員やパートタイマー、アルバイトも加入できます。会社の役員や自営業者、自由業者などは雇用者ではないので加入できません。

財形貯蓄には、一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類があります。また、預け入れ先の金融機関や金融商品によって、「貯蓄型」と「保険型」に大別されます。
  • 保険型:保険会社等が取り扱う。保険商品で積み立てる。
  • 貯蓄型:銀行や証券会社等が取り扱う。預貯金や公社債投信、株式投信等で積み立てる
「貯蓄型」の場合は、ペイオフ(元本1000万円とその利息を保護する)に注意が必要です。財形貯蓄の預入金融機関に個人の金融資産がある場合、その残高は合算されます。

財形貯蓄の利子等と税金はどうなる?

一般財形貯蓄と財形年金貯蓄・財形住宅貯蓄との違いは、税金面に現れます。一般に金融商品の利子や分配金には原則20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)の源泉分離課税が適用されます。一般財形貯蓄も同じで、20.315%の源泉分離課税扱いです。

一方、財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄については、元利合計550万円(財形年金貯蓄の場合、生命保険と損害保険の保険料、生命共済の共済掛金等については元本385万円)までの差益等は非課税扱いです。ただし、次の5つの理由を除いてそれぞれ目的外で払い出す場合には課税されます。

税務署の確認を受けると非課税で払い出しができる5つの理由
  • 本人や生計を一にする親族が所有する家屋が災害等で被害を受けた
  • 本人や生計を一にする親族の医療費の年間合計額が200万円を超えた
  • 本人が所得税法上の一定の寡婦や寡夫に該当することになった
  • 本人が所得税法上の特別障害者に該当することになった
  • 本人が雇用保険の特定受給資格者または特定理由離職者に該当することになった
これは、平成29年4月以降に適用されものです。このような理由で平成28年4月1日~平成29年3月31日に払い出しを行った人は、平成30年3月31日までに還付請求を行うと還付を受けることができることがあります。詳細は、国税庁のホームページあるいは住居地の税務署で確認して下さい。

目的外の払い出しには、「貯蓄型」は過去5年間の利子に対して20.315%が源泉分離課税されます。「保険型」は少し複雑です。財形住宅貯蓄は「解約返戻金・積立配当金の差益」に対して20.315%が源泉分離課税されます。財形年金貯蓄は一時所得として課税されます。

*2013年1月1日~2037年12月31日の解約は、復興特別所得税(0.315%)が上乗せされ20.315%の源泉分離課税になる。

財形貯蓄で利用できる融資制度についての説明は次ページで

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