退職後の健康保険、選択肢は4つ

退職すると、これまで加入していた健康保険から外れることになります。日本は「国民皆保険」――国民すべてが何らかの公的医療保険に加入する制度――ですので、退職後も何らかの公的医療保険に加入しなければいけません。その選択肢には次の4つがあります。

(1)国民健康保険の被保険者
(2)家族の健康保険の被扶養者
(3)任意継続被保険者
(4)特例退職被保険者制度の被保険者


退職前の健康保険加入期間や給与水準、勤続年数、家族構成などによってどの方法がお得かは異なります。そのため、それぞれの加入条件や保険料等を比較する必要があります。4つの制度の仕組みについて、順に解説しましょう。

(1)国民健康保険は前年の所得が算出基準

国民健康保険は、地方自治体(市区町村)が運営する健康保険制度です。保険料(税)(以下、保険料)は、医療分と後期高齢者支援金分の合計です。40歳以上65歳未満の人には介護保険分が加わります。

保険料を算出する基準は、前年(1月~12月)の所得です。定年退職前年の年収は高額な場合が多いので、保険料が驚くほど高額になることもあります。

保険料はそれぞれの計算式で算出された所得割、資産割、均等割、平等割の合計額ですが、地方自治体によって計算式や料率が異なる(表-1参照)ため、「所得は変わらないのに、引っ越したら国民健康保険料が倍近くになった」ということもあり得ます。
国民健康保険の計算式の例

表1:各自治体のホームページを参考にして筆者が作成(2014年5月14日現在)

「夫の前年の給与所得が346万円、妻は専業主婦、固定資産税10万円」の63歳夫婦がいたとします。世帯の国民健康保険料を、表1にある自治体で試算すると、

・練馬区  約43万円
・千葉市  約41万円
・所沢市  約42万円
・福岡市  約58万円

となりました。差は約16万円にもなります。

なお、国民健康保険料の合計最高限度額が地方自治体によって異なるのは、国が定める上限額(医療分51万円、後期高齢者支援金分14万円、介護保険分12万円)以下であれば、地方自治体の裁量で決めることができるからです。

(2)家族の健康保険の被扶養者、(3)任意継続被保険者についての説明は次ページ