年金/損をしない年金の受け取り方

60歳以降の退職、年金と雇用保険、お得なのはどっち?

60歳以降に会社を退職した後、年金を受け取るか、それとも失業保険(雇用保険の基本手当)を受け取るかの選択をすることがあります。どちらを選ぶのがお得なのか、具体的なケースで検証します。

和田 雅彦

執筆者:和田 雅彦

年金ガイド

  • Comment Page Icon

60歳前半で退職すると「年金」か「失業保険」かの選択が待っている

失業保険は離職理由により3カ月の給付制限期間がある。定年退職なら制限はないが、自己都合退職の場合は求職の申込みをしても約3カ月間受け取れないことに注意

失業保険は離職理由により3カ月の給付制限期間がある。定年退職なら制限はないが、自己都合退職の場合は求職の申込みをしても約3カ月間受け取れないことに注意

会社を退職すると、雇用保険の基本手当(以下、失業保険)を受け取ることができるのは、皆さんもご存知だと思います。また、厚生年金や共済年金についても現在、経過的に男性は61歳から、女性は60歳から支給が開始されているため、要件を満たせば受け取ることができます。

失業保険については、65歳までの退職について支給されます。したがって、60歳前半に退職すると年金と失業保険の両方を受け取れる可能性がありますが、残念ながら現在は、両方を同時に受け取ることはできず、選択する必要があります。

どちらかしか受け取れないなら、お得なほうを受け取りたいのが人情と言うものでしょう。

求職の申し込みをした時点で年金はストップ

退職後、失業保険を受け取る手続き(求職の申込み)をした時点で年金はストップしてしまいます。年金を受け取りたいなら、失業保険の手続きをせずに年金を受け取る手続きだけする必要があります。

もちろん、失業保険を選択したからと言って、年金が永遠にストップするわけではありません。ストップするのは失業保険を受け取る期間のみですのでご安心を。

ちなみに、失業保険をもらう要件として、「再就職の意思、能力があるにもかかわらず、職業に就くことが出来ない状態であること」というものがあります。退職すれば必ず受け取れるものではないことに注意が必要です。

これらを踏まえた上で、どちらが得なのか、年金の額と失業保険の額を確認しておきたいですね。そこで、具体例を何点か挙げてみていきたいと思います。

60歳で退職した場合

昭和29年7月生まれのAさんを例に挙げて考えてみましょう。

Aさん
・大学卒業後、ずっと会社員(38年間勤務)
・今年7月に60歳となり、定年退職する
・定年後65歳まで再雇用可能。
・定年前6カ月の給与平均は50万円
・再雇用後の給与は30万円となる予定

Aさんが定年後に再雇用されず、定年退職した場合はどうなるでしょうか?

■年金額:月額0万円
Aさんの生年月日だと、老齢厚生年金の報酬比例部分を受け取れるのは61歳から。60歳の時点では年金は支給されません。

■失業保険:月額20万2000円
一方、失業保険については、雇用保険の加入期間と退職前6カ月の給料の平均で決まります。支給額は、給料の1日平均額(賃金日額)の45~80%が基本手当日額として支給されます。
※基本手当日額の上限は6723円(平成25年7月~平成26年7月)。

Aさんの場合、退職前の給与平均(50万円)で考えると、上限の6723円が支給されることになります。月額だと20万2000円ほどでしょう。

この場合は、年金が支給されないため、失業保険を受け取る選択しかありません。

61~65歳までに退職、65歳以降に退職した場合を次ページで検証します>>>

  • 1
  • 2
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます