はじめに

債権回収
 
「取引先に商品を売ったのに、代金の支払が遅れている。早く代金を支払ってもらいたい。」こうした場合、当事者同士が直接交渉して任意の支払を得られることが望ましいですが、往々にして、「きちんと払うから待ってくれ」と支払を延ばされることがあります。また、引渡した商品の内容にクレームがある、相手方が債権の存在を争っている場合などは、なおさら、支払を得るのは困難です。このような場合、どうやって債権を回収すれば良いでしょうか。

まずは交渉

債権回収の方法には大きく分けて、任意の弁済を得る方法と、強制執行による方法があります。「任意の弁済を得る」とは、文字通り、相手方との交渉により、相手方からの自発的な支払により債権を回収することをいいます。弁護士に依頼しても、常に訴訟をする訳ではありません。交渉により任意の弁済が得られれば、訴訟をするよりも、早期に柔軟な解決ができるので、一般的にはまずは任意の交渉を試みます。当事者本人による交渉がうまくいかなければ、弁護士に依頼するのが良いでしょう。

弁護士は代理人として、内容証明を送付し、交渉決裂の場合には訴訟も辞さない強い態度で臨みますので、相手方の態度も一変するものです。弁済方法が長期の分割払いになる場合等は、執行認諾文言付きの公正証書を作成すれば、後日、約束の支払が再度遅滞したときには、訴訟を経ることなく、直ちに強制執行することが可能です。

保全処分

保全処分とは、債権者が将来勝訴判決を得ても、強制執行できないおそれがある場合に、暫定的に相手方の財産を保全する処分です。中でも、金銭債権の執行を保全するために、相手方の一定の財産を差押、売買、贈与等の譲渡行為、担保権設定等一切の処分を仮に禁止することを仮差押と言い、相手方に差押可能な資産が存する場合には、大変重要な手段です。

仮差押をすることが可能な財産は、不動産、売掛金、預貯金等の債権、動産等です。相手方の売掛金等、相手方の企業活動にとって不可欠な債権を仮差押することができれば、それを契機に、一気に債権の回収を得られる場合もあります。なお、保全処分の決定を得るには、疎明という簡単な証明方法で仮差押という強力な効果が生じるため、請求債権額又は仮差押する財産の1割~3割に相当する担保金を供託する必要があります(事件によって異なります)。保全処分は、スピードが大切です。適切迅速な保全処分を講じることができるか否かで、債権回収の成否が異なると言っても過言ではありません。

訴訟

交渉によっても支払が得られない場合、また、債権の有無に争いがある等の事情により、任意の支払を得られる見込みが無い場合、訴訟を提起することになります。訴訟はいわば弁護士の本領ですので、依頼者の言い分を主張立証して、勝訴判決に向けて活動します。訴訟を提起しても常に判決、強制執行となる訳ではなく、訴訟上の和解により、早期の解決が図られることも多数あります。

強制執行

強制執行は、訴訟により支払を命ずる判決等に基づき、任意の支払をしない相手方の財産(不動産、債権、動産等)を差押、その財産を競売し、又は債権であれば直接取り立てて、債権の回収に充てるものです。相手方の意思に反してでも、財産の取立てを行うもので、債権回収の最終的なステージになります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。